▲メインに戻る
■第5節 キャラクター作成指針 (初心者向け)
 当サイトは、玄人向けガープス個人サイトとして運営しており、初心者向けのレポートは上げない方針でした。

 ですが、yahoo!ジオシティーズ(無料ホームページ公開サービス)が停止し、ガープス関連のサイトはほぼ全滅しました。
 当時存在したガープス系のほとんどは、「ガープス初心者」のキャラクター作成方法を紹介していたので、当サイトは「同じ内容を繰り返す必要がない」と楽観視して好きなようにやっていたのですが、上のような事があって以降、そもそも初心者相手のサイトがなくなってしまったため、当サイトの存在意義も怪しくなってきました(TRPGガープスというより、ただのファンタジー系読み物サイトの色合いが強い)。

 そこで、当サイトなりに「ガープス初心者向けの記事を上げておくべき」と判断し、ガープス第三版でのキャラクター作成のコツのようなものを紹介する事にしました。以下は、「ガープス・ルナル完全版」の環境下における100cpのキャラクター作成のノウハウを記録したものです。
■前準備
■■ 環境を整える
 当たり前ですが、まず以下のものがないと何もできません。

(絶対の絶対に必要なヤツ)
■「ガープス・ベーシック(第3版)」(文庫版) ※中古で入手
 初版の文庫版でOK。可能ならば「ガープス・ベーシック完訳版」(A4サイズ)の方が良いですが、高いので最初は無理しなくていいです。
■「ガープス・マジック(第3版)」(文庫版) ※中古で入手
 ベーシックの呪文だけでは、まともな魔術師を作る事はできません。
■「ガープス・ルナル完全版」(A4サイズ書籍) ※中古で入手
 後期に出版されたA4サイズの書籍です。初版の文庫版は現在のルールと完全に異なるため、現状ではもう使い物になりません。
■サイコロ(6面ダイス 3つ以上)
 ホビーショップやネット通販で購入可能。できれば5つくらいは欲しいです。6面以外は必要なし。一応、ネット上でも簡単なダイスツールが無料で入手できます。
■紙と鉛筆 またはノートパソコン等
 文字を書いて記録しておく媒体が必要。パソコンを持ってるなら「メモ帳」でOK。
■友達!
 1人でも戦闘テストとかできますし、ガープスはそれでも結構遊べたりしますが、ちゃんとセッションで遊ぶなら最低2人のユーザーが必要です。
(あったら多少便利なヤツ)
■「ルナル・サーガ」小説またはリプレイ ※中古で入手
 読めばルナル世界への理解が深まります。今から読むなら、小説だと「ルナル・ジェネレーション」シリーズ(全4巻)や「〈龍〉を守る者」(全1巻)、リプレイだと「ガープス・ルナルリプレイ」第1部~第3部(上・下)あたりがお勧め。
■「ガープス・ルナル」(初版文庫版) ※中古で入手
 最初のガープス・ルナルのルールブック。ルール部分は古いので使い物になりませんが、読み物としてはこちらの方が優秀で、世界観の詳細が書かれています。割と安いので、余裕があればどうぞ。
■「ガープス・ベーシック完訳版(第3版)」(A4サイズ書籍) ※中古で入手
 文庫版より詳細なルールが載っており、やり込むならこちらを買う方をお勧めします。また、呪文の掲載量はショボいクセに、なぜか魔化アイテムの市場価格表はあるので、マジック文庫版と合わせれば魔法関連のルールがおおよそ揃います。
■「ガープス・マジック完訳版(第3版)」(A4サイズ書籍) ※中古で入手
 内容は初版の文庫版とほぼ同じですが、魔化アイテムの市場価格表があるのに加え、生得魔法やルーン魔法のルールが載っていたりと、マジックをやり込むなら役立つルールが載っています。余裕があればどうぞ。
■「ガープス・グリモア(第3版)」 ※中古で入手
 マジックにはない高度な呪文が掲載されているのでGMなら欲しいところですが、プレミア価格になっていて少々お高いので、初心者が購入する必要は全くないです。現状、第3版の世界観関連ルールでグリモアが必要なものはありません。
■「ガープス・妖魔夜行」「妖怪伝奇」(文庫版) ※中古で入手
 第3版の妖力・妖術のデータが載っており、GMをやるなら必要です。「妖怪伝奇」も前半部分に追加データが掲載されているので、関連ルールを全て揃えるなら必要になります。大幅ルール改変後に発売された「ガープス・百鬼夜翔」(第3版)という大型書籍もありますが、絶版後は高価になっているのでお勧めしません。
■「ガープス・マーシャルアーツ」(文庫版) ※中古で入手
 旧ルナルでは必須でしたが、後期の完全版では基本ルールに組み込まれているので、プレイヤーには基本不要です。しかし、GMの立場で格闘動作の追加など行う際、資料として必要になります。なお、A4サイズの「完訳版」もありますが、格闘動作【キック】が抜け落ちているという致命的な誤植があるため、これだけ購入しても理解不能だと思われます。
■「ガープス・サイオニクス」「ガープス・サイバーパンク」(文庫版) ※中古で入手
 直接的には使いませんが、GMとして追加ルールを作りたいなら必要。サイオニクスは一般的な「超能力」のルールで、彷徨いの月の「月の賜りもの」の原型です。「サイバーパンク」は、TL8の近未来装備一式とサイボーグ化のルールが載ってます。なお、これらを使った世界観ルールは何も発表されてないため、メインで使うなら自作するしかありません。
■インターネット接続環境
 うちのサイトの「改変ルール」を使うなら必要ですな(笑)
■複数の友達! ※入手困難
 2人よりは3~4人いた方が盛り上がります!
■キャラクター作成
■■ 概要
 以下の手順での作成がお勧め。

①役割の分担
②能力値の決定
③特徴の決定と技能CPの調整
④習得技能の決定
⑤装備の購入
⑥完成



①役割の分担
 キャラクターを作る前に、参加プレイヤー同士で役割分担を行います。
 ガープスは「自由なキャラ作成」が売りのゲームですが、他のTRPGと同じく、ある程度はクラス(職業)を意識して作成し、仲間同士で役割分担した方が良いです。

 「ガープス・ルナル」のおける典型的なクラスは、大体以下のようなものです。

■戦士
▼専業戦士
 白兵戦のプロ。いわゆる脳筋戦士。知力を捨て、肉体活動に特化したタイプ。
 1系統の武器に完全特化した「剣豪」タイプと、複数の武器の扱い、オール・レンジに対応可能な「傭兵」タイプの二種に分かれる。マンチキン的な強さを求めるユーザーは剣豪タイプに走るが、メイン武器が壊れると戦闘力ガタ落ちなので冒険者には不向き。
▼魔法戦士
 武器と魔法の両方を扱うインテリ戦士。ドラクエの勇者と同じタイプ。
 「信仰レベル」や「魔法の素質」、能力値全てにCPを割り振るため、中途半端な性能になりやすい。主武器を1つに絞り、使う呪文だけにCPを投資するのがセオリー。最終的には最強になるが、そこまで冒険の回数を重ねる前にセッション自体が終わる事が多い。

■斥候
▼密偵
 町での情報収集能力に長けたスパイ。ファンタジー世界の盗賊的な存在。
 主に人間を相手にするため、対人技能が必要。勢力間抗争に備えて、ある程度の白兵能力もあった方が良い。隠密行動メインなので必然的に軽装となり、本格的な戦闘には向かないが、〈空手〉など格闘技との相性は良い。
▼野伏
 屋外での生存術に長けたレンジャー。現代地球の軍人に近い存在。
 対人ではなく大自然を相手にするため、野外系・運動系・盗賊系技能を満遍なく習得しておく必要がある。また、動物やモンスターと戦うため、射撃武器の扱いに習熟しておくことが望ましい。軽装ではあるが、遠距離アタッカーとして期待される。

■魔術師
▼戦闘魔術師
 戦闘に特化した魔術師。ガープスにおける最強の存在。
 対個人用の一撃必殺系、範囲効果の鎮圧呪文などを習得する。一方、自身は浮遊したり射撃を遮断したりと、防御面でも無敵に近い。マンチキン的に作るとGMが出す敵を調整せねばならなくなるほど面倒な存在。ただし、キャラ作成・運用は難しいので上級者向け。
▼探索魔術師
 情報収集に特化した魔術師。怪盗などの魔法盗賊的な存在。
 壁を透視して向こう側を見たり、ドローンを飛ばして安全に偵察を行ったり、相手の心を覗いて情報を得たり、占いで過去や未来を見たりと、呪文でしかできない情報収集を行う。本気で作ると、推理ものクエストを単独で早解きするほどGMにとって面倒な存在。
▼付与魔術師
 身体強化で支援する魔術師。他ユーザーに対する奉仕奴隷的な存在。
 戦闘中の身体能力強化、負傷治癒など補給面を担当する。大量の消費コストを要求されるので、パワーストーンが必須。別途で攻撃手段を用意しておかないと、戦闘中にやる事がなくてヒマになりやすい。

■異種族
▼ドワーフ
 一般的なファンタジー世界におけるドワーフとほぼ同じ山の小人族。
 人間と同じ青の月信徒なので、クラスも人間の選択肢の中から選択。種族的に機械文明を好み、特定の種族独自信仰を選択すれば、銃を装備可能。職人系技能が強制習得で、生まれつきの職人。種族的に低身長で女性は合法ロリ(ただし体重が重い)。
▼エルファ
 一般的なファンタジー世界におけるエルフとほぼ同等の森の妖精族。
 独自の緑の月を信仰し、作成ルールも人間とは内容が異なる。種族的に魔法習得が推奨されており、文武両道が望ましい。また、独自で動物系と植物系の呪文が習得可能。種族的に非常に長身で、女性でも標準で180センチを超える。長身フェチ向け。
▼ミュルーン
 一般的なファンタジー世界におけるホビットとフェアリーを混ぜたような鳥人族。
 種族的に飛行能力を持つため、対空ユニットとして期待される。軽装な上、魔法は「月の賜りもの」しか習得できないため、斥候以外の選択肢が乏しい。産卵期以外は「自宅」の概念がなく、常に旅している。設定上、関西弁でしゃべる事が義務付けられている。
▼ウィザード
 指輪物語のガンダルフのように魔術師が種族として独立した存在。普通は人間出身。
 「ガープス・マジック」の呪文を全て習得可能な事から、専業魔術師をやるのがセオリー(それ以外はやっても損なだけ)。マンチキン的に作れば、いくらでもチートクラスの強さになるが、他の仲間の足りない部分を補う形で作成する方が望ましい。要・協調性。
②能力値の決定
 まず最初に、クラスに応じた能力値を決めます。

 具体的な各能力値の数値はどのくらいがいいか?ですが、クラスに応じた適正数値が経験的に知られています。ここでは、そのテンプレを提示しますので、まずはそれでキャラクターを作ってみて下さい。その後、改造して自分なりの適正値を見つけていくと良いでしょう。

 以下、クラス別のお勧め能力値セットです。「魔法の素質」獲得で大量のCPが必要な魔術師以外は、70~80cp前後で収まるように調整しています。

■専業戦士向け
①体力13 敏捷力13 知力10 生命力11 (総計+70cp)
②体力12 敏捷力14 知力10 生命力11
(総計+75cp)
③体力14 敏捷力12 知力9 生命力12 (総計+75cp)

(解説)
 武器の致傷力を稼ぐため、体力12以上は必須。加えて、肉体系技能をたくさん取るので敏捷力も必要。さらに被弾に備えて生命力も12以上欲しい…のだが、欲しい「有利な特徴」も多いため、大抵はここらでCPが尽きてしまう。ガープスでは、耐える事よりも回避する事に重点を置いた方がやや有利なので、11で妥協するのが一般的。
 ②は「剣豪」タイプに大きくシフトした形で、大剣やアックスなどの大型武器で致傷力の低下をフォローするのが前提。いわゆる「日本刀を振るう、腕力はイマイチだけど技量が凄い侍」を表現するのに用いられる。
 ③は欧米人好みのマッチョマンを表現した形で、技量はそこそこで妥協しつつ、一撃の威力に賭けるタイプ。「モール(必要体力14)を装備する戦士」の作成で用いる。魔法抵抗のフォローにまでCPが回らない事が多く知力も低いため、冒険者にはやや不向き。

■魔法戦士向け
①体力11 敏捷力13 知力13 生命力11 (総計+80cp)
②体力13 敏捷力11 知力13 生命力11
(総計+80cp)

(解説)
 武術と魔術の両立を目指すと、敏捷力と知力の双方が必要となるため、斥候と似たタイプの能力値セットになりやすい。ただし、体力11で振るう武器だと前衛火力としてはちょっと低すぎるため、体力が低くても扱いやすいスピアを主武器とするのが一般的。
 ②は魔法戦士特有の能力値セットで、「腕前は雑魚兵士と同レベルまで下がってもいいので、とにかく火力の高さをキープしたい」場合の選択肢。例えば「ハルバード(必要体力13)を使いつつ呪文も使いたい」場合などに有効。武器技能は12レベルあたりで妥協しつつ、致傷力だけは専業戦士並みにしておく。

■斥候向け
①体力9 敏捷力14 知力14 生命力10 (総計+80cp)
②体力11 敏捷力14 知力13 生命力10 (総計+85cp)

(解説)
 斥候は、肉体・精神両方の技能を多数習得せねばならないため、基準となる能力値自体を高く保つ事が重要。必須の特徴はほとんどないので、能力値に優先してCPを振る感じでOK。特に、敏捷力と知力は13以上欲しいところ。代わりに削られるのが体力と生命力で、これにより前衛に立つのがやや辛くなる弊害がある。
 ②は、戦闘力もある程度は想定して、体力を確保した形。主に射撃武器の装備を想定しているので、野伏向きの能力値である。

■魔術師向け
①体力9 敏捷力11 知力15 生命力9 (総計+50cp)
②体力8 敏捷力13 知力14 生命力8
(総計+45cp)

(解説)
 専業魔術師の能力値。特にウィザード種族を選んだ場合、「魔法の素質3」の特徴と組み合わさって「呪文に1cp投資するだけで呪文レベルが16になる」バランスになるため、このタイプが比較的安定する。知力を14に下げて他にCPを回すのもOK。なお、体力を下げた分、呪文コストの支払い能力が落ちるので、「財産」を上げてパワーストーン購入が必要。
 ②は射撃呪文メインで戦う場合の選択肢。命中判定に必要な〈呪文射撃〉が肉体技能なので、少しでも敏捷力を底上げするために体力・生命力を極限まで削っている。
③特徴の決定と技能CPの調整
 まず大前提ですが、不利な特徴は-40cp分まで目一杯獲得して下さい。不利な特徴は、そのキャラクターの「個性」を決める作業でもあるので、頑張って-40cp分の不利な特徴を選んで下さい。癖を5つ分取得する事も忘れずに。
 こうして、-45cp分の余剰CPを得た後、有利な特徴と技能に費やすCP量を決めます。すでにイメージが固まっているのであれば、そのイメージに合った特徴を取得すればいいでしょうが、まだ漠然としている場合、以下のテンプレに沿って特徴を取得すると良いでしょう。
 なお、この時点で技能に費やすCP量も決めておいた方がいいです。どのくらいCPを技能に投資するかですが、これも経験的に次のような指針があります。

①40cp以上 熟練者。少なくとも一つの技能を14レベル以上で習得している。
②30~35cp 突出はしてないが、基礎的な事は学び終えている新人エリート。
③25cp以下 現状は弱いが、経験を積む事で伸びる可能性が高い新人。

 技能に費やせるCP量は、年齢による制限がある事を忘れないで下さい。年齢の2倍が技能に費やせる最大CP量です。最初から技能にCPを目一杯投資すると、冒険後に技能へCPを投入できない(年齢制限に引っかかって成長できない)といった弊害が起こるので注意して下さい(卓によっては、年齢制限ルールが無視される事もあります)。

 以下は、クラス別のお勧め特徴セットです。

■戦士向け
「財産」「意志の強さ」「我慢強さ」「戦闘即応」(旧「反射神経」)

(解説)
 専業戦士であれば、「戦闘即応」と「我慢強さ」はほぼ必須。
 「戦闘即応」は全ての能動防御を+1してくれる他、完全な奇襲を絶対に受けない、恐怖判定で+2のボーナスがあるといった様々な特典を内包しており、特に頭の悪い(知力にCP投資してない)戦士は、奇襲されて立ち竦まないためにも必須。
 「我慢強さ」は、攻撃を受けて被弾した際、ダメージによって一時的に戦闘力が大きく低下するのを防ぐ特徴。特に、複数と戦う時に必要。
 「意志の強さ」は負傷で気絶しにくくなる他、魔法に対する抵抗力を底上げできるので、魔術師との交戦距離が一番近くなる戦士にとっては重要。
 「財産」は、装備を揃えるのに必要。できれば10cp投資して「快適」にしておきたい。

■斥候向け
「暗視」「戦闘即応」「方向感覚」

(解説)
 斥候は技能CPの投資が最優先なので、特徴にCPを回せない事が多く、必須な特徴もあまりない。敢えて取得するならば、盗賊系キャラの定番である「暗視」。暗がりでもペナルティなしで見る事ができる。
 「戦闘即応」は奇襲対策だが、そもそも斥候は知力が高いはずなので、奇襲される前の感覚判定で成功する可能性が高く、必須ではない。
 「方向感覚」は、現在地を知るための〈航法〉判定に+3もの修正を加えられる有用な特徴。また、何をせずとも方角の「北」が分かるので、迷子の確率をぐんと減らせる。必須ではないが、安い割に斥候にとって便利な特徴。

■魔術師向け
「魔法の素質」「財産」「意志の強さ」「方向感覚」「使い魔」

(解説)
 まともに魔法を使っていくのであれば「魔法の素質」が2レベル以上必要。1だと習得呪文に限界があり、高度な呪文を習得できない。
 「財産」は、パワーストーンを取得するために必要な特徴。
 「意志の強さ」は、戦士と同じ距離で戦うなら必要。敵の魔法に対する抵抗力。
 「方向感覚」は、主にテレポート系呪文を使用した際、到着場所で〈身体感覚〉技能判定を要求されるので、レベルの底上げに使われる。これ1個で、肉体系技能に+3修正は破格の安さなので、《瞬間移動》の呪文を習得する際は押さえておきたい。
 「使い魔」はウィザード種族独自の特徴で、偵察用の動物を確保する事ができる。

■全クラス共通
「容貌」「カリスマ」「美声」

(解説)
 ビジュアル面にCPを回してる場合か?と思うかもしれないが、少なくとも冒険者にとって反応の良さは、受注可能なクエストや報酬の増減に影響するため、最低でもパーティーの交渉役のキャラクターは獲得しておくべきである。
 「容貌」は、第1段階の「魅力的な容姿」があれば十分。これによって、NPCの反応が無条件で+1されるのは大きい。同様の理由で「カリスマ」も有用で、相手の性別、種族を選ばない分、こちらの方が若干有利。
 なお「美声」は、反応に+2の修正があるだけでなく、いくつかの交渉系技能にも+2の修正があるという、CP量の割にやたら特典が多い特徴なので、このジャンルに10cp以上を突っ込むのであれば、最優先で欲しい。エロボイスは正義。
 なお、「美しい容貌」(+15cp)単品よりも「魅力的な容姿」(5cp)+「美声」(+10cp)のコンボの方が明らかに効率的なのは、古参ユーザの常識である(意識高い系の偏見)。
④習得技能の決定
 「具体的に何レベルまで上げれば満足していいのか?」が分かりにくい技能レベルですが、目標値に応じた確率を見て判別します。以下、簡単な指針です。

▼技能レベル10(成功率50%)
 素人レベル。50%の確率で失敗とか、実戦では到底使い物にならない。敢えてこのレベルで技能を取るのは、キャラクターの背景を表現するための「アクセサリ」の意味合いが強い。例えば「免許持ってるけどペーパードライバー」というキャラの場合、〈運転〉技能にちょっとだけCPを振るが、冒険中に技能を使う事はまずない。そういう感じ。
▼技能レベル12(成功率75%)
 一応実戦で使えるレベルだが、判定4回毎に1回失敗するので信頼はできない。教育課程を終えたばかりの新人エリートの初陣といったところ。冒険中に頻繁に使わないのであれば、このレベルで妥協しても良い。ちなみにガープスでは、このレベルで「1人前」と見なされ、他技能の前提条件になっていれば、それを満たした事になる。
▼技能レベル14(成功率90%)
 独立して仕事しても使い物になるレベル。10回判定して9回は成功するので、ミスったら不慮の事故と言っていい。冒険中にメインで使う技能は、なるべくここまで上げたい。
▼技能レベル15以上(成功率95%~)
 その道のオタク。普通なら失敗しそうな仕事でも任せられるレベル。最終的に主技能がここまで上がれば十分だが、最初からこのレベルで習得するのはCP的にかなりキツい。
▼技能レベル20(成功率98%)
 達人とかプロフェッサーと呼ばれる、そのジャンルにおける世界的権威。普通なら高確率で失敗するような事を、初見で成功させてしまうレベル。冒険者であれば、チャンスがあれば歴史に名を残す可能性はある。

 とりあえず、メイン技能を14レベル以上に上げておき、サブで使う技能を12~13レベルで取っておけばよいと思えば良いでしょう。10レベル前後の技能はただの飾りであり、実際に使う場合では「運試し」だと認識しておくこと。

 以下、クラス別で取っておいた方が良い技能を提示します。ここでは最低限しか書いてませんので、もっと突き詰めたい方は、過去に当サイトで挙げたレポート「第8節 クラス制から学ぶ習得技能」を参照して下さい。(→こちら)

■戦士向け
(戦闘関連)
使用する武器技能、使用する武器の準備技能
(移動関連)
〈水泳〉〈ランニング〉
(知識関連)
〈地域知識〉〈戦術〉


(解説)
 使う武器の技能は当然だが、1種類に制限するのではなく、関連しそうな武器種の技能も取っておいた方が良い。例えば〈剣〉を極めたいにしても、それ以外に〈両手剣〉〈ナイフ〉など同じ武器系統でサイズが異なるものも押さえておくと汎用性が上がる。また、専業戦士なら射撃武器も取得しておくべき。「獲物が届かないから何もできない」という状況はNG。
 〈水泳〉と〈ランニング〉は最低限の運動技能。機動性の向上と、水場に落ちた際の脱出手段くらいは最低限押さえておきたい。
 〈地域知識〉と〈戦術〉は、アクセサリ技能に近い。ただし〈戦術〉は、ちょっとでも習得しておけば恩恵があるという趣旨の技能なので、必ず0.5cpは突っ込んでおくのがセオリー。

■斥候/密偵向け
(戦闘関連)
使用する武器技能、格闘系の戦闘技能
(移動関連)
〈軽業〉〈水泳〉〈跳躍〉〈ランニング〉〈忍び〉〈登攀〉
(対人関連)
〈言いくるめ〉〈演技〉〈嘘発見〉〈裏社会〉
(旧〈交渉〉)〈尋問〉〈地域知識〉
(探索・隠蔽関連)
〈鍵開け〉〈偽装〉〈探索〉〈尾行〉〈変装〉〈罠〉


(解説)
 「依頼を受ける」「目標地点に移動」「標的を発見」「盗む」「味方陣地まで帰還」までの工程を実行するために必要な技能群。盗む標的は物品、人、情報と多岐に渡る。
 これら全てを習得しようとすると器用貧乏になるため、最初は5~6個ほどを選択して集中的に上げた方が良い。密偵が何を盗むのを専門にするかによって選択肢が大きく変わるため、「この技能は絶対必要!」とは言えない。
 ただし〈裏社会〉技能に関しては、密偵稼業を営む上で組織と連絡を取り合ったり、入手したものを売り払う窓口と接触するのに必須であり、習得してないと不自然なキャラになるので、最低限押さえておくべきである(そうでないと生活ができない)。

■斥候/野伏向け
(戦闘関連)
使用する武器技能、使用する武器の準備技能

(移動関連)
〈軽業〉〈水泳〉〈ランニング〉〈ボート〉〈忍び〉〈登攀〉
(生存関連)
〈応急処置〉〈航法〉〈生存〉〈地域知識〉〈動植物知識〉〈気象学〉
(探索・隠蔽関連)
〈偽装〉〈追跡〉〈探索〉〈罠〉


(解説)
 密偵と似ているが、こちらは町の外での大自然の中で生き残るための技能群。「狩場に向かう」「仮設拠点を設営する」「動物を探す」「狩る」「獲物を担いで帰還」までの工程を行う。
 密偵と被る部分もあるため、密偵技能の一部をかじっておくのも有用。例えば冒険者の場合、無人の遺跡の探索を行うはずなので、追加で〈鍵開け〉技能を習得しておけば、扉や宝箱を開錠する場面で役立つだろう。
 また、密猟者としてのレンジャーの場合、裏タマットと接触するのに〈裏社会〉技能が必要。

■魔術師向け
(知識関連)
〈動植物知識〉〈考古学〉〈神秘学〉〈調査〉
(旧〈研究〉)〈錬金術〉
(宮廷魔術師関連)
〈政治〉〈戦略〉〈地域知識〉〈礼儀作法〉

(解説)
 魔術師は魔法の専門家なので、呪文に大量のCPを費やす事になる。そのため、魔法が関わらない技能は最小で抑えるのがセオリー。
 とりあえず、モンスターの識別能力くらいは持っておいた方がいいので、〈動植物知識〉と〈神秘学〉くらいはあった方が良い。また〈錬金術〉は、自前でエリクサーを作らずとも、拾ったエリクサーの鑑識で必要になるので、多少なりともかじっておいた方が良い。
 宮廷魔術師関連は、政府に仕える魔術師が職業に就くために必要な技能群。職業表で求められている〈政治〉〈戦略〉〈礼儀作法〉の他、仕える国の基礎情報は押さえておくのが当然なので〈地域知識〉が必要。

 以下、魔術師の「お勧め呪文」である。前提呪文は省略しているので、「ガープス・マジック」で調べて欲しい。
(お勧め魔法一覧)
 マンチキン的な視点から「実戦で使えそうな呪文」だけを挙げておきます。習得に必要な前提呪文は、「マジック」で調べて確認してください。
⑤装備の購入
 ルナル世界における「財産/標準」(0cp)のキャラクターの所持金は$1,000です。この範囲内で「買い物」を行い、装備を整えます。

 冒険者は少数精鋭なので、何か特別な「縛りプレイ」でもないかぎり、「貧乏」以下に下げるべきではありません(装備の質の低さは、そのまま死に直結します)。なのでここでは、「標準」(0cp)~「快適」(10cp)の範囲でテンプレートを紹介します。慣れてくれば「富裕」(20cp)クラスのキャラクターも作っていけば良いですが、最初に大金を渡されても、何を買えば良いか分からないと思うので、ここでは初心者向け装備を紹介します。

 以下は、クラス別のお勧め装備セットです。


■剣士向け
▼剣士(財産/標準)
ブロードソード($500 1.5kg)
ミディアム・シールド($60 7kg)
ヘビー・レザー($350 10kg)
残り所持金$90 総重量18.5kg 受動防御5 防護点2

▼剣士(財産/快適)
突き刺し用ブロードソード($600 1.5kg)
ミディアム・シールド($60 7kg)
スケイル・アーマー($750 25kg)
残り所持金$590 総重量33.5kg 受動防御6 防護点4

(解説)
 基本的に剣は高価なので、可能な限り「財産/快適」で冒険を始めた方が良い。「標準」だと剣を買うだけで手一杯になり、他の装備を購入する余裕がない。一応、「安物」の青銅の剣(価格は通常の剣の40%)でごまかす手はあるが、技能判定でファンブルすると高確率で折れてしまうため、さすがに初級冒険者でもお勧めはできない。
 余った所持金は、予備武器の購入に充てるか、射撃武器の購入を考えると良い。予備武器で一番安上がりなのは「小型クラブ」($10 1.5kg)で、メイン武器と同じ〈剣〉技能で扱える上、スケルトンなど「叩き」攻撃に脆弱な相手をする時は、持ち替え武器として十分な性能を期待できる。
(…見栄えを一切気にしないのであれば、複数の棍棒を持ち歩いても全然OK。「五竜亭」のカールスいわく「防具さえしっかりしていれば武器なんざどうでもいい」は正論である)。

 射撃武器を購入する場合、「標準」だと「ショートボウ」($50 1kg)か「スリング」($10 0.3kg)、「快適」なら「クロスボウ」($150 3kg)がお勧め。いずれも、それぞれの射撃武器に応じた技能の取得と、矢筒や弾丸の購入も忘れずに。

■槍兵、戦斧兵向け
▼槍兵(財産/標準)
スピア($40 2kg)
ミディアム・シールド($60 7kg)
スケイル・アーマー($750 25kg)
残り所持金$150 総重量34kg 受動防御6 防護点4

▼戦斧兵(財産/標準)
ハチェット($40 1kg)
ミディアム・シールド($60 7kg)
スケイル・アーマー($750 25kg)
残り所持金$150 総重量33kg 受動防御6 防護点4

(解説)
 剣以外の武器は価格が安いため、「財産/標準」の範囲内で十分な装備が揃う。予備としてメイン武器と同じものを1~2つ追加購入しつつ、余った所持金で射撃武器を購入すると良い。通常は「ショートボウ」($50 1kg)か「スリング」($10 0.3kg)となる。
 防具を「チェイン・メイル」($550 22kg)に下げる事を許容するなら、クロスボウ($150 3kg)の購入を検討できる。ただし、ガープスのチェイン・メイルは欠点が多く、金額・重量に見合った防御効果かと言われると微妙。特に射撃能力が欲しい時以外はお勧めしない。
 防御を下げずに射撃威力を向上させる選択として、手投げ武器という選択が存在する。射程はぐんと落ちるが、威力はかなりの向上が見込める。スピアの代わりに投擲用の「ジャベリン」($30 1kg)、あるいは「ハチェット」の追加購入が考えられる。


■斥候向け
▼密偵(財産/標準)
クロスボウ($150 3kg)
大型ナイフ($40 0.5kg)
ヘビー・レザー($350 10kg)
矢筒($10 0.2kg)
太矢($2)×50
鍵開け器($30)
残り所持金$320 総重量13.7kg 受動防御2 防護点2

▼野伏(財産/標準)
クロスボウ($150 3kg)
大型ナイフ($40 0.5kg)
ヘビー・レザー($350 10kg)
矢筒($10 0.2kg)
太矢($2)×50
残り所持金$350 総重量13.7kg 受動防御2 防護点2

(解説)
 キャラクターのイメージに依存するのだが、特にこだわりがない限り、ガープスにおける射撃武器はクロスボウ一択である。また、荷重レベルを下げて機動性を確保したいところだが、冒険者は全員戦力として機能した方が良いので、斥候でも戦闘参加も想定して防具はヘビー・レザーくらいは着用した方が良い。
 弾丸に関しては、矢筒1個を使いまわす事を想定しており、残り40本はバックパックなどに入っているものとして扱っている。1回の戦闘で11本以上の矢を放つのであれば、矢筒の追加購入も考えた方がいいだろう。

 残り所持金に余裕があるので、「装備表―――古代・中世」のページを見ながら必要な品を購入する事。斥候なら「鍵開け器」を「上質鍵開け器」にするとか、登攀を想定して「ロープ」と「引掛け鈎」を購入するなど、欲しい物はたくさんあるだろう。


■魔術師向け
▼魔術師(財産/快適)
クォータースタッフ($10 2kg)
ヘビー・レザー($350 10kg)
パワーストーン [2点] ($300)×4
残り所持金$440 総重量12kg 受動防御2 防護点2

(解説)
 どの種族、職業で専業魔術師をやるかによるが、いずれにしても体力だけでは必要コストの支払い能力に限界があるため、「財産」を「快適」(10cp)に上げてパワーストーンを大量購入した方がよい。
 どのサイズのパワーストーンを買うかだが、1つだけ大きめのものを購入し、残りは「作業用パワーストーン」にするのがセオリーである。作業用パワーストーンとは、主に魔化師の業界で使われる俗語で、「1日で充填完了する小さめのパワーストーン」のことを指す(マジック完訳版の例文に登場する用語)。ルナル世界はマナ濃度「密」で、パワーストーンは1日で2点回復してくれるので、1~2点が作業用という事になる。
 なお、初版の「マジック」には部分的にしかパワーストーンのサイズに応じた価格が載っていないので、キャラクターが手にする可能性のあるサイズの市場価格を以下に載せる。
[パワーストーン価格表]
パワーストーンのサイズ(=エネルギー量) 小売価格
1点 $150
2点 $300
3点 $500
4点 $900
5点 $1,200
6点 $1,600
7点 $2,000
8点 $2,500
9点 $3,100
10点 $4,000
20点 $15,000
30点 $40,000
40点 $80,000
●魔化アイテムの購入に関して
 「ガープス・ルナル完全版」では、「ガープス・マジック」を使う事が前提になっていますが、一方で「魔化アイテム」の導入に関しては厳密に規定されておらず、どこのページにも書かれていません。
 また、ガープス最盛期は導入せずにプレイした卓が多かったようで、そもそもユーザー間でルールがあまり浸透していません(ルナル原作者当人のルール理解度が低かったため、ユーザー側も無視または部分導入または大幅改変ハウスルールで進行していた卓が多かったようです。そのため、ユーザーによってルールの理解がかなり異なっている現状です)。

 しかし当サイトは、可能な限り正式なルール下で
「魔化アイテムを積極的に使用する」側に振り切っているため、キャラ作成時によく購入される魔化アイテムに関して記しておきます。魔化アイテムを大々的に導入するのであれば、ぜひ参照して下さい。
 逆に導入しないのであれば、以下のルールは無視して構いません。仮に魔化アイテムは一切なし(出すのはGMが報酬として用意した場合のみ)でも、魔術師が呪文を使えば魔法要素は残りますので、問題なく冒険できます。ただしその場合でも、最低限パワーストーンの小売価格のルールは導入して下さい(そうしないと魔術師キャラクターはエネルギー不足でほとんど呪文が使えなくなります)。

 なお、魔化アイテムの正確な価格算出法は、「第3版ガープス・ベーシック完訳版」と「第3版ガープス・マジック完訳版」に掲載されています(いずれもデカい方の書籍)。ルナル世界にどっぷり漬かるつもりであれば、少なくとも片方は購入を検討した方が良いかもしれません(一応、このページを見ただけでもできるようにはしておきます…対象書籍がプレミア価格になりかけているので)。
⑤完成
 後は、キャラクターの名前、年齢、身長、体重などを決定し、完成となります。


 名前は、出身地に応じて一応法則じみたものがありますが、そこまで気にする必要はなく、出身地の命名法則に合わない名前であれば「両親が異国から引っ越してきたから!」と言ってしまえば、だいたい通るはずです。

 年齢は、技能に投資できる最大CP量を決定する項目なので、投資したCPに応じて決めます。別作品に登場する既存の人物を模倣したキャラクターを作成する場合など、おそらく「年齢縛り」のようなものが発生するので、キャラ作成の腕の見せ所です。一般に「技能CPがどうしても足りない」場合(10代の若いキャラだとそうなる事が多い)、能力値を底上げするのが解決策となります。

 身長・体重は、体力に応じた値になりますが、身長は±15センチ、体重は0.9~1.1倍の間であれば自由に決められるので、よほど極端な体格でない限り、ほぼ再現できるはずです。なお、体重はこの範囲を超えてしまうと、良い「容貌」が取れなくなるケースがあるので注意して下さい。
 一応、体重に関しては、呪文をかける際に問題が生じるケースもあるので(例えば《浮遊》で浮く場合、体重によっては維持コストが1点ほど差が生じ、「維持できるかできないか」の問題に発展するケースはある)、幼女キャラが作りたくて体重を極限状態まで削りたい男性ユーザも多いでしょうが(笑)、この部分はきちんと守っておいた方が、公平なゲームをする上で無難です。どうしても軽さを追求するなら「やせっぽち」(-5cp)を獲得すれば、合法的に体重40キロ以下を再現できます(ただし、「美しい」以上の容貌が取れなくなります)。


 最後に、上の理論で作ったキャラクターのサンプルをいくつか提示しておきます。これをベースにして、適当に改造していくと良いでしょう。
[編集手記]
 予備知識のようなものを、つらつらと書いておきます。

■現実的なクラス編成
 ガープスは一見すると複雑なシステムに見えますが、物理戦闘だけを見ると「武器の命中判定と回避判定の単純な応酬」が基本なので、戦況が膠着するとなかなか戦線が動かなくなります。
 なので、すばやく戦いを終わらせたいのであれば、専業戦士より魔法戦士の方が好ましいです。専業戦士はパーティーに1人いれば十分。リプレイでも、主人公アンディとエフィは2人とも魔法戦士でした(エフィは能力が中途半端すぎて、出来損ないの魔法盗賊的な立ち位置でしたが)。
 以上の理論で行くと、「専業戦士」「魔法戦士」「密偵」「専業魔術師」となり、一般的なファンタジーにおける「戦士・勇者・盗賊・魔法使い」といった編成がバランスが良いとなります。

 ガープスにおいて、呪文を使って膠着状態を打開する手法として、①《朦朧》か《心神喪失》で敵一体を朦朧状態にして、そのターンは全員でそいつに集中攻撃して切り崩す、②《閃光》で敵全体の敏捷力を下げ、攻撃能力を大幅に下げる、③《倍速》で味方戦士1人を加速して全力攻撃を連打させる、などが有名です。③は特にリプレイで頻繁に使われる方法でした(こればっかでつまらんって話もありましたが…)。
 そんな事情から、リプレイに登場する味方の魔術師は「《倍速》と治癒系呪文に特化した付与魔術師」ばかりで、敵に影響を与えたり地形を変えて戦況を有利にする例があんまりなかったので、「ガープスの魔術師=味方戦士を強化した後はヒマなクラス」「戦闘後に治癒呪文でも使ってりゃいいクラス」というイメージが張り付いてしまいました。
 結果、魔術師キャラクターのマンチキン作成というのは、最盛期でもほとんど見かけませんでした。ガープスのセッションの時間の8割は戦闘に費やされるというのが定説であり、そんな環境だと付与魔術師はその8割をヒマするため、やりたがる人が少なくなるのは当然の結論ですが。

 そんなわけで、当サイトのレポートに登場する魔術師は、付与魔術だけで終わるような者は出さない方針になっています。
 他の解決法として、GMがNPCの雑魚兵士を用意してパーティーに随伴させ、戦闘中は代わりに操作してもらう手もなくはないですが、常に使える手ではありません。

■第4版で魔化アイテムのルールが単純化した理由
 第3版では複雑な価格設定になっていますが、第4版では魔化アイテム作成時にパワーストーンを用いられる事はない事になってしまいました(魔法大全いわく「経済的観点から見ると非効率すぎて、現実的ではない」んだそうです)。
 結果、エネルギー60点(魔化長+助手5人の体力合計)までは第三版と同じくエネルギーコスト1点につき$1で済みますが、61点以降は一律$25(魔法大全のルールだと$33)で計算する事になり、第三版の環境下では$100で買える魔化アイテムが、第4版では$2,500~3,300という超高価格になってしまいました。結果、第3版のように「生活で便利な品」の大半は、ほぼ使えなくなりました。

 こうなってしまった理由なんですが、以下のような理由が考えられます。
①価格算出がめんどくさい
 エネルギーコスト101~270の価格とか、古参ユーザーでも覚えられない(笑)
②パワーストーンのレンタル業者などそもそも成立しない
 現実のTL3の社会を想定すると、そもそもレンタル業が成立しない可能性があります。パワーストーンの場合、コンパクトなので持ち運びが非常に楽で、紛失や持ち逃げが発生しやすく、貸し手がハイリスクすぎるのです。そのため、貸し借りするくらいなら完全に売りつけて後腐れがないようにするのが無難な経済活動となります。
 また、パワーストーンの充填には広いスペースが必要であり(パワーストーン同士の距離を2メートル以上空けないと互いに競合する)、レンタルしてない間は強力な警備体制を敷いて保管庫を守らないと、盗賊団や手段を選ばぬ同業者に根こそぎ盗まれる可能性があります。その現実が、レンタル業をますます現実的でない業界にしています。
 結局、魔化師は魔術師団を組み、内部経済の一環としてパワーストーンを回し、エネルギーを融通し合うという形態に収まると思います。部外者に貴重な魔石をレンタルするなど、よほど信頼のある相手でないと行えないはずです。

 なお、ルナル世界に関して言えば、垂直都市ピールのような一般公開された魔道都市が存在し、リプレイでゴーレム製造業者が登場したり、街の神殿に巨大パワーストーンがあったりする上、〈天空の龍の島〉から「〈龍〉の排泄物」という形でパワーストーンが自然生産(?)されるという謎環境なので、市場が成立しそうな環境と言う事で、当サイトでは大目に見る事にしています。「パワーストーンを通貨の一種として見る」のであれば、そこまでレンタル業が非現実的な存在ではないでしょう―――「金貸し」が普通に存在するんですから。

■実際の「魔化師」ってどのくらいのCPキャラクターなの?
 ルールブック内では、当たり前のように「魔化長は《魔化》を20レベルで習得しているのが普通」みたいな書き方をしてるのですが、実際にそのようなキャラを何CPくらいで作り出せるのかを試してみました。以下、そのシートを提示しておきます。
 …ほとんど「魔化人間」のようになってしまいましたが、一応100cpの段階でも「魔化長」を作る事は可能なようです。魔化系呪文の習熟やアイテム製造には膨大な時間がかかるため、おそらく多くの魔化師ウィザードが「魔術による不老」(10cp)を取得して、寿命の延長を行っていることでしょう。

 ただ、100CP帯だと魔化以外の事がほとんど何もできなくなって、PCとしてはほぼ使えない&個性が出にくくなっているので、余裕を見て最低でも125cpくらいのキャラを想定した方が良いでしょう。つまり、ルナルにおける一般的な魔化長は、おおよそ150cp前後の英雄だと思って下さい。一般にはかなりレアな存在ですが、魔術師団の本拠地や垂直都市ピールのような魔道都市にいけば、遭遇する事はできるはずです。

■今さら第3版とか何で勧めるの?
 現在のガープスは第4版で、ガープスの発祥地アメリカでは第4版でほぼ埋め尽くされていると言います(もう10年以上、第4版のままで続いています)。
 ところが日本では、第3版から第4版に移り行く過程で、翻訳を担当したグループSNEが、ユーザーの誘導に失敗しました。今、ガープスの翻訳権がどこの会社にあるのか管理人は存じませんが、少なくとも最初に翻訳・出版したグループSNEに権利はなさそうですし、あっても「売れない」と判断し、もう再販もしないでしょう。

 結果、第4版のルールブック自体が売れなかったため、中古市場にもほとんど流れてません。というか、いきなり\5,000もする分厚いルールブック、しかもそれ単品ではほぼ使いようがないのに、そんなものを販売して売れると考えたのでしょうか?第4版には、まず「世界観」の資料が何もないんですよ。一応、「ルナル」の後継にあたる「ユエル」(リアド大陸のはるか南、ジャナストラ大陸が舞台で、ルナル時代の200年後という設定)が存在しますが、ユエルのルールブックはほとんど省略形のデータしかなく、しかも出版されたリプレイは1つだけ。第3版の「ルナル」を知ってる人じゃないと、ほぼ遊べないと思います。
 そして、第4版の「マジック」に相当する「ガープス魔法大全」に至っては、販売直後に誤植が見つかり、無償で交換するとかいう始末でした。そして今は、\100,000とかわけの分からないプレミア価格がついています―――購入者がほとんどおらず、流通量があまりに少なすぎたのです。これではもう、今から第4版で遊ぶなんて物理的に無理です。管理人も、こんなものを買わせてまで新規ユーザーを獲得しようなんて欠片ほども思いません。

 そうなると、中古市場に大量にルールブックが流れている第3版なら辛うじて今からでも集められるので、ここから推していくしかありません。で、第3版で遊べるちゃんと設定された世界観資料は、基本的に「ルナル」と「妖魔夜行」しかありません。妖魔夜行は600cpが基本スタートとか、ガープス初心者がやるにはちょっと無理があり過ぎる世界なので、ここは素直に100cpの常識的なキャラクターで遊べる「ルナル」を推すのが無難ということになります―――要するに、ルナル以外に選択肢なんてないんですよ。

 そんなわけで、今さらガープスに手を出そうなんて奇抜な人(苦笑)は、第3版のルールブックを揃える事をお勧めします(ベーシック、マジック、マーシャルアーツの3つがあれば何かできます)。「ソード・ワールド」のような割と単純なルールの世界観をガープスにコンバートする手もありますが、とりあえずすぐにプレイしたいのであれば、「ルナル」を使うのが無難でしょう。
▲メインに戻る