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編集後記 |
管理人は、マンチキンのキャラクター作成論を語るのが大好きなんだが… でも結局のところ、作ったマンチキンキャラも実践で使う機会がなければ、あまり意味があるとは言い難い。オマケに「ガープス」というシステム自体が、もはやTRPG業界から忘れられつつあり、私のように20年も前の旧システムを弄り回して喜んでるユーザなんて、少なくともこの日本には、数えるほどしかいないんじゃなかろうか…いや、本当に私以外にいるのか?w つまり、もう一緒に第3版の「ガープス・ルナル」をプレイしてくれる仲間なんて、とっくの昔に絶滅したのだ。もう仲間はいない。だから、プレイしようと思えば、自分でソロシナリオを作るしかないと思い、この「ゲームブック」の出来損ないのようなものを作るに至ったわけだ…短いけど。 参考にしたのは、古い文庫版の「ガープス・マーシャルアーツ・アドベンチャー『武神降臨』」に掲載されているソロシナリオ「武神への道」である。ひたすら同格CPと思われるキャラクターたちと決闘し、最後まで生き残れば勝ちという単純なシナリオだが、これをルナル版で作ったらどうなるか?と考え、結果としてこうなった。 武神降臨は、格闘家という狭いジャンルに収まっているため、バランス調整は割と簡単だが、ルナル世界では剣から魔法に至るまで、幅広い範囲でマンチキンを考えねばならず、バランス調整は困難を極める。とくに呪文が厄介で、《透明》《倍速》《物質障壁》など「チート呪文」を軸としたキャラは、かならずメタゲームの中核を担うことになる。今回は「倍速マンチキン」キャラは出さなかったが、作ろうと思えば100cpの段階でも倍速25レベルで常時二回行動するキャラとか、作ることは一応できる(かなりピーキーで紙装甲だが…)。 ルナルにおけるマンチキンキャラの多様性は、「どの呪文を軸に置くか」「あるいは呪文を完全カットするか」で決まると思われる。 …実は、本作「わたしがかんがえたさいきょうのあなた」より一つ前に、ゴブリン退治系のソロシナリオを作っていたのだが、あまりに作ったシナリオが長すぎたのと、内容を充実させようと分岐ルートを多く作りすぎたせいで、半分くらい作成した時点で、完成を諦めてしまった。そのせいで、サイトの更新期間が3か月ほど空いてしまうことにw でも、その失敗経験を活かし、今回の初ソロシナリオは、それほど作成時間をかけずに完成した。これくらいの長さのソロシナリオをたくさん並べれば、もはやルナルユーザがいないこの世界でも、キャラを作ったあとに、実際にそれを使って遊ぶ環境を作る事は可能だろう…本当なら、パソコンでプログラムでも組んで、もう少しオートメーションにデータ管理できればいいのだろうけど、あいにく管理人には本格的なプログラムの知識はないし、そっちの作業に対するモチベーションもない。だから、この「ゲームブックの出来損ない」で我慢するしかないのだろう。 以下、シナリオ内で登場したマンチキンキャラの実際のデータを、シート形式で表現したものである。 |
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【設定】 ジャング氏族の長身巨乳のエルファ姉さん。ルナル小説「虹の影」シリーズで登場したエルカ姉さんをモチーフにしている。 小説の巻末データでは「残忍」とか入ってたりするのだが、エルカの場合、真面目すぎてジョークが通じない&プライドが高く人の言うことを聞かない独断専行タイプという気がしたので、「朴念仁」や「直情」に置き換えている。 【マンチキン考察】 このキャラは、21レベルまで鍛え上げた瞬間発動呪文を放ちつつ白兵攻撃を繰り出す事で、事実上の1ターンで2回攻撃を行うタイプ。ガープスを始めた頃、誰もが思い付く最初のマンチキンだ。 瞬間発動させる呪文によって、単純に一撃必殺狙いだったり、武器との連携コンボを組んだりと、作成のバリエーションは無数に存在する。ただ、一撃必殺呪文を使う場合、21レベルでは足りないことが多く、結果として25レベルの呪文一個に頼り切りとなり、白兵戦闘能力はオマケみたいな地位になる事が多い。このキャラクターは、体力を削った分を別のダメージ魔法に回すことで、白兵能力が無意味化するのを避けている。 もっと楽したいなら、白兵武器は《音噴射》の音の刃にしてしまう手もある(呪文が15レベルあれば、とりあえず維持できるので)。ただし、音噴射はサイズが大きい相手や、生命力が高い相手だと、途端に無力な武器となってしまうので、汎用性に欠けるのがネック。 なお、このタイプはマンチキンでない雑魚相手なら無双できるのだが、同じくマンチキンキャラが相手だと、先手を取った方が一方的に勝つか、対策をとられて膠着状態になるといった弊害がある。なんせ戦術自体は単調な作業なので、ほかの行動をとることで戦況を打開することが難しいのだ。 また、サイズが大きい敵に対応してないことが多く、サイズ2へクス以上のモンスター相手だと、たった一つしかない頼りの呪文が思うようにかけられず(通常呪文は1へクスの相手にかける事が大前提なので)、これまた半端な戦士としての性能だけが残るといった弊害もある。 |
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【設定】 ルナル・サーガで敵役として登場する、トルアドネス帝国の士官クラスをイメージしたキャラクター。性格は、ルナル主人公アンディ・クルツを基準としているが、帝国兵はとにかく偉そうなヤツばかりだったので、「味覚消失」を「高慢」に置き換えている。 【マンチキン考察】 いわゆる呪文を完全無効化して白兵戦で挑むタイプ。 対魔術師キャラとしてよく使われるのだが、改変ルール下では、「意思の強さ」は5レベルが上限にしてある都合上、〈強靭精神〉技能が独自技能に設定されている信者に限られる。「意志の強さ」程度では、100cpの段階だと知力、生命力にそんなにCP過剰投資できないため、抵抗目標値16~18あたりしかキープできないだろう。しかしそれでは、確実に抵抗できるとは言い難い。確実に呪文を阻害したいなら、やはり抵抗値は20以上ほしい。 と言うと、よく陥る落とし穴がある。「じゃあ魔法の耐性の特徴にすればいいじゃん!」というものだ。しかしこれは、絶対にやってはいけない罠である。 というのも、下記の「完全障壁に引きこもるタイプ」のキャラと遭遇すると、攻め手が全くなくなってしまうからだ。「魔法の耐性」を持っているキャラは、自身も呪文が使えなくなるため、魔化アイテムで《悪臭》を放つことすらできなくなってしまう。これは致命的だ。 また、「呪文は味方に任せるわ~」ということにしても、今度は味方の身体強化呪文や治癒呪文にも「魔法の耐性」が勝手に抵抗してしまうという弊害があり、これまた連携が取り辛い。 要するに「魔法の耐性」という特徴は、神殿の宝物庫を守る中ボスといった、NPC向けの特徴と言えるわけで、少数連携が重要な冒険者向きの特徴とは言えないわけだ。 なお、サンプル・キャラクターに挙がっている「ガヤン強化猟兵」も、このキャラクターの亜種である。あれこれテストプレイしてみた結果、このタイプのキャラクターが、どのマンチキャラに対しても安定した戦果を出せる事から、サンプルとして選ばれたという経緯を持つ。 |
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【設定】 ルナル世界に登場したウィザード系のキャラというとザドリーやケルナーだが、両者ともに支援呪文特化キャラなので、戦闘系のウィザードというのが見当たらない(カルシファードにツカサとかいうのがいたっけ?) そんなわけで、イメージしたのは、SEGAのファンタシースターシリーズに登場した魔術師ルツである。別項目でアリサ・ランディールを作ったのだから、ルツも作っといていいだろうという考えの元、設定された。 【マンチキン考察】 おそらく、「ガープス・ルナル」世界で一番扱いが面倒な《完全障壁》で引きこもり、一撃必殺系の呪文を飛ばすタイプである。 何が面倒かというと、この通称「シールド魔術師」、プレイヤーキャラとして一人いるだけで、GMとしては「登場させる敵が限定されてしまう」こと。引きこもられてしまうと、倒すための手段がえらく限定されてしまう。マンチキン・トーナメント大会を開いたら、参加者全員が《悪臭》の杖を持つとかいう、異様な状態になるくらいだからw ただし、実際のセッションでシールド魔術師を動員すると、「動けない」という弱点がある。シールド魔術師はCPの都合上、コスト支払い能力(体力や「財産」など)にCPを回す余裕がないため、ギリギリ運用にせざる得ない。なので、相手があちこち移動するタイプだと、無敵シールドを何度も張り直しさせられる羽目となり、支払う疲労点が枯渇するわけだ。 ぶっちゃけGMとしては、「出した敵がこいつにかなわないなら、いったん逃げればいい」のである。防衛シナリオには強いが、積極攻勢シナリオでは運用が辛いキャラといえる。 |
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【設定】 当サイトの最初のマンチキン記事で登場した、「小説主人公エフィの代わりにバドッカで正義の味方を続けてるエフォメラ(偽名)さん」を、改変ルールに合わせて調整しなおしたもの。 追加として、「もともとは帝国に滅ぼされたペテルギュアの王家直属の特務儀仗兵だった」という設定が加わった。儀仗兵といってもパレードしたりするだけでなく、卓越した《透明》の呪文によって、諜報組織のスパイのような実務もこなしているわけだ。 小説「ルナル・ジェネレーション」シリーズにおいて、バドッカにはペテルギュア王族で現俳優の王女シーダ・アルタィがいる設定になっているため、エフォメラは王女の護衛士を務めつつ、「趣味」として正義の味方ごっこをしている…実際は、透明になって覗き見するのが趣味であり、その途上でたまたま困ってる子供を見つけたら、ついでに助けるといった程度のものだが。 今回のソロシナリオにおいては、赤の月のシャストア神が定期的に開く、脳内劇場の司会進行役という大役を仰せつかった。良かったネ。 【マンチキン考察】 常時透明状態を維持し、白兵戦闘で優位に立ち続ける魔法戦士タイプ。中二病をこじらせたシャストア信者が、よく使いたがるタイプでもある。 《透明》の呪文は《倍速》の呪文と並んで「マジックにおける最強呪文の一角」を占めるくらい、有用性の高い呪文。特に、戦闘だけでなく探索でも使える点で《倍速》よりも優れている。 当然のことながら、《完全障壁》ほどではないにせよ、ガープス・マンチキンにおける「メタゲームの一角を占める戦術」であり、何らかの対策をとってない側は、非常に不利になる。ただ、シールド魔術師よりは対策は立てやすく、最低限、「聴覚」のレベルを上げておけば、対処可能ではある。 逆を言うと、知力が低く感覚も強化してないアホな専業戦士だと、何もできずに封殺される可能性が高いので、知力を削って白兵に特化するタイプのキャラの乱造を抑える役割もあったりなかったり。 なお、マンチキンキャラとして単独で《透明》の呪文から白兵戦まで一手に引き受けるオールラウンダーを作ろうとすると、100CPの段階ではCP不足に陥る。だいたいにおいて、火力不足か技量不足に悩まされる。 本編では、クエスト進行役NPC「エフォメラ」がこのタイプのキャラとして使われたが、体力と生命力が低く、一撃食らうと即落ち。攻撃火力も弱くはないが微妙という、半端な性能となってしまった。 |
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【設定】 今回のソロシナリオのラスボス役。スクエニのFFシリーズで登場した四天王の一人「風のバルバリシア」のイメージそのまんま。元キャラの設定に忠実で、ロクな鎧を来ておらず、防御面でかなり不安が残るのだが、《風》の呪文を常時まとっている関係から、まず彼女に攻撃が当たらないといった現象が起こる。 性格的には、孤高の王として覇を唱えるよりも「女としての自由奔放に生きる事」を最優先としており、意識高い系のトロールにあり勝ちな「崇高な使命感に基づくカリスマ性」は放っていない。当然、軍団を率いる事にもあんまり興味がなく、使える部下(ゲルーシャの魔法戦士など)が側近として数名いる程度である。 彼女は普段、オータネス湖王国に存在する森の一角に一人で住んでおり、そこで人間の若い猟師などを誘惑して自分の小屋に連れ込み、肉体関係を持った後で油断しているところを絞め殺すといった、快楽殺人みたいなことをやりながら生活をしている。 一方で、トロールとしての闇の使命感(笑)も持っており、オータネスの中央に存在する「魔性湖」の壁を破壊し、グラダス半島を〈悪魔〉が跋扈する素敵な土地にしようと画策している。つい最近、「魔性湖の壁に隕石が落ちる」事件があったのだが(ルナル完全版の世界設定に記載)、それに一枚噛んでいたようである。 この事件は、壁の〈見張り手〉たちの活躍によって何とか終息したものの、彼女はまだ壁の破壊を諦めてはいないようだ。 【マンチキン考察】 350cpもあるだけあって、いくつかのマンチキン・タイプを複合したタイプとなっている。 まずは《凍傷》と白兵武器の連携により、1ターンに2回の攻撃を行う。これだけでも、相当な脅威である。 さらに、《風》の呪文2倍消費を常時維持することで、彼女を攻撃しようとすると風によって転倒させられ、そもそも攻撃ができないといった具合になっている。これは、シールド魔術師の亜種と言えるだろう。なお、転倒を回避しても風のへクス内では敏捷力-5になるため、よほど腕がよくないと、そもそも攻撃が当たらないだろう…ちなみにこの能力、さすがに100cpの段階で繰り出されると辛かったので、イベントで弱体化させた際はOFFにしてもらった。 あと、黒の月の魔元帥から直々に〈強靭精神〉技能を教えてもらったことにして、呪文抵抗を目標値20で行える。やはり、ボスが一撃必殺魔法で倒されるのはさすがにどうかと思ったので、この能力は実装させてもらった。 以上、3タイプのマンチキン戦術を合成したのが、今回のラスボスということになる。陽光による弱体化なしで戦った場合、100cpキャラだと一撃必殺呪文がクリティカルで成功した、という幸運でも発生しないかぎり、撃破は難しいだろう。 …ちなみに余談だが。 このバルバリシアさん。構築の段階で、かなり手を抜いている。 本気で強くするならば、まず《倍速》25レベルを取得して常時2回行動にし、《風》のシールドと〈強靭精神〉に守られながら、バスタードソードで全力2回攻撃→通常1回攻撃(合計3回攻撃)とかやれば、これよりもっとシンプルに強くなるのは、テストプレイの段階で判明している。 ただそれをやってしまうと、陽光で弱体化させてもなお、3Dの斬り攻撃が1ターンに3回も飛んでくることになり、100cpでは到底太刀打ちできないことが判明w なので、敢えて《凍傷》+ポールアームで1回攻撃に抑えていたりする。 |