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● サンプル・キャラクター(ヴァンパイア) |
以下は、改変ルールに則って作られたサンプル・キャラクターです。敵役かNPCとして登場するはずなので、高いCP総計になっています。 |
■ ペーテル・キュルテン (総計350CP) | |
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ヴァンパイア/男 身長178cm 体重73kg 39歳で老化停止 ■■ 能力値 (75cp) ST20(0cp) DX14(25cp) IQ14(25cp) HT14(25cp) ■■ 特徴 (395/-105cp) ヴァンパイア種族セット(300cp)、財産/快適(10cp)、意志の強さL5(20cp)、戦闘即応(15cp) 秘密/吸血鬼である(死)(-40cp)、敵/ファウン神殿の吸血鬼ハンター/稀(-10cp)、好色(-15cp)、誇大妄想/自分は影の支配者として選ばれた存在(-10cp)、サディスト(-15cp)、偏執狂(-10cp) 癖(-5cp) 同性愛嗜好 少年の血しか吸わない 血の風呂に入る 世間に対しては善人のフリをする 血が流れる様に性的興奮を感じる |
■■ 技能 (35cp) 剣(8cp/Lv16)、準備/剣☆(0.5cp/Lv14)、格闘(2cp/Lv15)、御者/馬(0.5cp/Lv12)、乗馬/馬(0.5cp/Lv12)、動物使役(1cp/Lv12)、農業(0.5cp/Lv12) 言いくるめ(2cp/Lv14)、演技(2cp/Lv14)、商人(0.5cp/Lv13)、性的魅力(0.5cp/Lv12)、地域知識/ソイル選王国(0.5cp/Lv13)、忍び(2cp/Lv14)、尾行(2cp/Lv14)、変装(0.5cp/Lv12) [呪文] 感知防御(6cp/Lv18) 死の幻影(1cp/Lv15)、霊気感知(1cp/Lv15)、霊媒(1cp/Lv15)、死人使い(1cp/Lv15)、体力奪取(1cp/Lv15)、生命力奪取(1cp/Lv15) ■■ 装備 総重量11.5kg(無荷) 所持金345ムーナ 突き刺し用ブロードソード($600 1.5kg) Lv15 切り3D+3(長さ1)/刺し2D+1(長さ1) ヘビー・レザー($350 10kg 〈強化L1〉〈防御L1〉魔化+$150) 蜃気楼の指輪(アクセサリ(リング)$50《幻覚変身(幻影)》魔化+$505) ■■ 身体能力 格闘:パンチ/キック Lv15/13 叩き2D-2(長さC,1)/叩き2D+1(長さ1) 移動力=7 能動防御=よけ:8/受け:9(格闘11)/止め:- 受動防御/防護点=3/5 |
【設定】 これは、「ガープス・ルナル完全版」の例に挙がっている吸血鬼のサンプルデータを、改変版ルールに合わせて調整したものです。 キュルテンはソイル選王国のデュッセルドルフ伯領アーグ村に現れた吸血鬼で、その村の自作農民でした。「親」となる吸血鬼の馬車がその村を通過した際、表向きは善良な村人を演じながら、裏で密かに美少年を自宅地下室に連れ込んで無理やり情事を働きながらも、その事を誰にも悟らせない狡猾な生き様が気に入られ、この地域における影の支配者として選ばれました。 彼は、吸血鬼になった後も立ち位置を変える事なく、陽光に弱いのは一種の病気であると誤魔化し、少し変わってるけど善良な村人を演じ続けます(たいていのヴァンパイアは力を得て有頂天となり、根拠もなく貴族を名乗りたがるものですが)。一方で、以前からやっていた悪事もエスカレートし、近隣の村に住む少年たちを次々と自宅の地下に連れ込み、飽きたら殺すといった堕落した生活を送り続けます。 キュルテンは、力を得て自信過剰な性格になりやすい新参吸血鬼には珍しく、かなり用心深い性格であったため、発見されるまでの7年間、50人近い少年の犠牲者を出し続けたにも関わらず、なかなか検挙されませんでした。 また彼は、エージェントとして非常に便利なレッサー・ヴァンパイアをほとんど作らない事でも、吸血鬼にしては変わった存在でした。完全従順な劣等種とはいえ、血液の供給を余分に用意せねばならないため、そこから正体が露見してしまう事を用心していたのです(隠蔽を優先するならば、おそらく正しい判断でしょう)。 |
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しかしある時、ヘマをやらかしてしまいました。 彼によってさらわれ、失踪扱いだった1人の少年の両親が、ガヤン神殿に捜索願いを出していたのですが、たまたま別件でガヤンの捜査に協力していたペローマ神官が《方向感知》の呪文を使った事で、子供の位置を特定されてしまったのです。農家の子供の失踪はよくある事件であり、その程度の事でわざわざ呪文を使う事は稀ですが、さらった少年が金持ちの農家の息子だったのが仇となりました。 そして、《魔法の目》や《透明壁》を用いた捜索を受けた結果、アジト内部で行われていた所業が全て露呈してしまい、彼の正体もバレてしまいます。 その後、アジト内でガヤン特務捜査官に急襲された彼ですが、それまで犠牲にしてきた少年たちの白骨死体に《死人使い》の呪文をかけてスケルトンを作り出し、それを盾にして何とか逃げ仰せました。そして現在、故郷から少し離れた別の村に紛れ込み、今度は村の酒場の店主になりおおせています。 キュルテンはヴァンパイアとしての経歴が7年しかなく、真性のヴァンパイアとしては最弱の部類です。データだけを見ると弱そうに見えますが、ヴァンパイアとしての特殊能力を忘れないで下さい。例えば、生得呪文の《忠実》を使えば、抵抗を受ける事なく対象を確保できますし、《恐慌》を範囲拡大して発動すれば、知力の低い戦士集団ならば大混乱に陥るはずです。《肉体気化》による霧化や各種《変身》の呪文も、逃走の際に役立つでしょう。 また彼は、最初に見つかって逃げ出した際に、魔獣王から呪文操作系呪文《感知防御》の啓示を受けています。彼は、起きている間は常にこれを常時維持しているため(熟練により維持コストはゼロ)、《方向感知》などの位置を特定されるような情報呪文に対し、18レベルで抵抗します。 さらに闇タマットの故買屋を通じて、「蜃気楼の指輪」と呼ばれる《幻覚変身》が魔化されたアイテムを入手しており、以前とは少し異なる外見に変装しています。当時、捜査にあたったペローマ神官が人相書きを描いたのですが、それだけで彼を探し出すのは困難でしょう。 |
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■ マイエル=リンク (総計500CP) | |
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ヴァンパイア/男 身長185cm 体重75kg 30歳前後で老化停止 ■■ 能力値 (90cp) ST20(0cp) DX15(40cp) IQ15(40cp) HT13(10cp) ■■ 特徴 (406/-105cp) ヴァンパイア・ソーサラー種族セット(280cp)、第7師団の〈悪魔〉との契約(精霊系呪文+2)(0cp)、カリスマ1レベル(5cp)、美しい容貌(15cp)、財産/富裕(20cp)、地位レベル1(自動)、意思の強さ5レベル(20cp)、戦闘即応(15cp)、方向感覚(5cp)、生前の信仰(シャストア信者)(10cp)、鉤爪2レベル/腕のみ(36cp) 社会的弱者/吸血鬼(反応-4)(-20cp)、敵/地元のガヤン神殿の巡察官/ときどき(-20cp)、敵/ファウン神殿の吸血鬼ハンター/ときどき(-20cp)、偉大な誓い/これ以上の吸血鬼を増やさない(-15cp)、吸血鬼の名誉(-15cp)、義務感/シャーロットと村人たち(-10cp) 癖(-5cp分) ワインは飲まない 吸血の対象を殺さない 400年前から直接的な血の摂取は止めている 邪術武器に宿った〈悪魔〉からいつも皮肉を飛ばされている(遠回しな悪への引き戻し勧誘) いかに法治国家であろうと、根本は弱肉強食だと痛感している |
■■ 技能 (109cp) 格闘(2cp/Lv16)、シャストアのマント(16cp/Lv18)、身体感覚☆3(1cp/Lv16) 御者/馬(0.5cp/Lv13)、乗馬/馬(0.5cp/Lv13)、動物使役(0.5cp/Lv13) 踊り(0.5cp/Lv13)、絵画(0.5cp/Lv12)、吟遊詩人(0.5cp/Lv13) 追跡(0.5cp/Lv13)、地域知識/オータネス湖王国(0.5cp/Lv14) 考古学(1cp/Lv13)、神秘学(1cp/Lv14)、法律(0.5cp/Lv12)、歴史(0.5cp/Lv12) 管理(0.5cp/Lv13)、演劇(0.5cp/Lv13)、外交(4cp/Lv15)、指揮(0.5cp/Lv13)、政治(0.5cp/Lv13)、戦術(0.5cp/Lv12)、戦略(2cp/Lv14)、礼儀作法(-/Lv17) 裏社会(0.5cp/Lv13)、偽装(0.5cp/Lv14)、忍び(1cp/Lv14)、探索(0.5cp/Lv14) [呪文] 精霊系呪文+2 鉱物探知(1cp/Lv18) 水探知(1cp/Lv18)、水浄化(1cp/Lv18)、水作成(1cp/Lv18)、霜(1cp/Lv18)、冷凍(1cp/Lv18)、凍傷(14cp/Lv25) 方向感知(1cp/Lv16)、追跡(1cp/Lv16) 体力賦与(1cp/Lv16)、生命力賦与(1cp/Lv16)、小治癒(1cp/Lv16) 感知防御(1cp/Lv16) 韋駄天(1cp/Lv16)、倍速★(36cp/Lv25)、念動(1cp/Lv16)、浮遊(1cp/Lv16)、飛行★(2cp/Lv16)、高速飛行★(1cp/Lv15)、瞬間移動★(1cp/Lv15)、瞬間回避(1cp/Lv16) 体力奪取(1cp/Lv16)、生命力奪取(1cp/Lv16) ■■ 装備 総重量12.5kg(無荷) 所持金1440ムーナ シャストアのマント(壮マハノチ製(受動防御1 防護点2)$1000 5kg) Lv18 切り3D+2(長さ1) ヘビー・レザー($350 7.5kg <強化L2><防御L1><軽量化L1>魔化+$1990) 黄金の指輪(アクセサリ$50 邪術具+$150) ■■ 身体能力 格闘:鉤爪パンチ Lv16 切り3D+3(長さC,1) 格闘:キック L16 叩き2D(長さ1) 移動力=7 能動防御=よけ:8/受け:11/止め:10 受動防御/防護点=3/8 |
【設定】 マイエルリンクは、双月歴400年頃(約600年前)のシュラナート帝国初期の貴族であり、現在のオータネス湖王国付近にあった領土の領主でした。元から貴族であったため、吸血鬼化した後も自然と貴族として振る舞っています。 生前の彼は、英雄にして名君として知られていましたが、より完璧な秩序を求めるあまり、際限なく力を求めました。そして行き着いたのが、真性のヴァンパイアとして君臨する事でした。「親」となった吸血鬼はヴァンパイア・ソーサラーであり、「ヴァンパイアにしてやる代わりにソーサラーとして〈悪魔〉と契約せよ」という条件を提示され、彼はその条件を飲みました。 「親」としては、公明正大で名君として君臨する英雄王が、悪に染まってズタボロになっていく過程を楽しみたかったというのが、真性の吸血鬼にしてやろうと考えた主な理由だったようです。 吸血鬼化した直後は、同時にソーサラーとなったことも影響して、吸血鬼の血の圧倒的な力に陶酔してしまい、秩序のためと称して領内の悪党どもを次々と殺して回りました。彼が「親」から授かった邪術武器には、殺戮を尊ぶ第7師団貴下の〈悪魔〉が宿っていたため、その微妙な心理的誘導により、やがて秩序維持よりも、戦いそのものを追い求める性格へと変貌していきます。その頃に、第7師団の魔元帥より出し入れ自由な鉤爪を授かっています。 しかし200年も立つと、そんな戦いの日々にも飽き、それが未来永劫に続くであろう自分自身の境遇にも嫌気がさしていました。さらに、つい最近になって、吸血鬼ハンターとの戦いに敗れて瀕死状態で倒れていたところを、地方の村のサリカ司祭シャーロットに助けられてから、性格ががらりと変わってしまいます。彼女の純粋な愛に触れ、不覚にも彼女に恋してしまった彼は、かつて貴族だった頃の「公明正大な名君だった英雄王の頃の自分」を取り戻したのです。 |
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それ以降、彼は再び「貴族の名誉」に則って生きようと決心しました。そして、自分のような永遠の渇きに苛まれる醜い存在を増やたくないと願い、吸血鬼を根絶する道はないか、文献を集めては読み漁るようになりました。 現在、自身の存在維持のために必要な血液は、命の恩人であるシャーロットから定期接種しています(彼女を傷つけたくない彼は、血液を直接接種することはせず《生命力奪取》の呪文で代用しています)。マイエルリンクを助けた彼女は、彼のとてつもなく長い苦悩を理解し、その後も自らの意思でひそかに彼に仕えてくれているのです(これ以上、吸血の犠牲者を出さないため)。 一方で、彼の居城は彼女の農園の近くに存在しているため、農園で何かトラブルが発生すれば、必ず彼が解決しようと裏で尽力しています。 一見すると上手くいきかけている現状ですが、それまで延々と殺戮を働いて罪状を積み上げてきた過去や、ソーサラーとして現在も〈悪魔〉を使役している事などを考慮すると、今さら光の下で人生をやり直す事などできない事も、また事実であります(特に〈悪魔〉との契約を打ち切る事など、普通はできません)。 そんな彼が救われる未来とは、いつ方法が見つかるかも分からない「吸血鬼を絶滅する方法を探る」事ではなく、シャーロットがまだ若く、未来の選択肢がある内に、自分は戦いの中で討たれ、さっさと彼女の前から消え去る事ではないか…と、彼自身は思い始めていますが。 マイエルリンクは、ターン冒頭に瞬間発動可能な《倍速》によって、常に2回行動が可能な設計になっています。当然ですが、呪文の発動も2回行えるため、同じように瞬間発動が可能な《凍傷》を1ターンに2回放てますし、本来ならば集中で2ターンかかるような呪文でも、1ターンで詠唱を終えてしまいます。 おそらく、100cpキャラクターでは到底太刀打ちできない設計なので、一時的な共同戦線を張る展開で出すか、150cp以上の英雄キャラクター複数による討伐セッションで出す方が無難でしょう。 |
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■ セラーナ (総計350CP) | |
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ヴァンパイア/女 身長165cm 体重52kg 17歳で老化停止 ■■ 能力値 (40cp) ST18(-10cp) DX14(25cp) IQ14(25cp) HT12(0cp) ■■ 特徴 (370/-105cp) ヴァンパイア種族セット(300cp)、ナーチャ高司祭(15cp)、美しい容貌(15cp)、財産/大金持ち(30cp)、地位レベル1(自動)、意志の強さL5(20cp) 秘密/吸血鬼である(死)(-40cp)、敵/ファウン神殿の吸血鬼ハンター/稀(-10cp)、誠実(-10cp)、好奇心2レベル(-10cp)、誓い/父の野望を阻止するつもりですの(-15cp)、淑女の名誉(-10cp)、義務感/自分を助けてくれたナーチャ神殿の同志たち(-5cp) 癖(-5cp分) いつでもお嬢様口調ですのよ 綺麗好きですのよ?清掃の書は手放せませんの 何事も自分で経験しないと気が済まないのですわ 寂しがり屋ですの… 家族と平和に過ごせれば十分でしたのに…(涙) |
■■ 技能 (35cp) 弓矢(8cp/Lv15)、準備/矢(1cp/Lv14)、短剣(4cp/Lv15) 神秘学☆(1cp/Lv14)、心理学☆(0.5cp/Lv12)、ミイラ作成(1cp/Lv12) 踊り(0.5cp/Lv12)、外交(6cp/Lv15)、政治(0.5cp/Lv12)、礼儀作法(-/Lv16)、地域知識/スティニア高地王国(1cp/Lv14)、礼儀作法(-/Lv16)、埋葬儀礼(0.5cp/Lv13) 偽装☆(0.5cp/Lv14)、忍び(1cp/Lv13)、探索(0.5cp/Lv13) [呪文] 痒み(1cp/Lv15)、ひきつり(1cp/Lv15)、不器用(1cp/Lv15)、すばやさ(1cp/Lv15) 体力賦与(1cp/Lv15)、生命力賦与(1cp/Lv15)、覚醒(1cp/Lv15)、小治癒(1cp/Lv15) 念動(1cp/Lv15)、浮遊(1cp/Lv15) 死の幻影(1cp/Lv15)、霊魂感知(1cp/Lv15)、霊媒(1cp/Lv15)、死人使い(1cp/Lv15)、復活★(2cp/Lv15)、体力奪取(1cp/Lv15)、生命力奪取(1cp/Lv15)、可視化(1cp/Lv15) ■■ 装備 総重量10.7kg(無荷) 所持金65ムーナ アーリエルの弓 (コンポジットボウ$900 2kg 魔化(合計)+$16720) Lv15 刺し2D 抜撃ち14 正確さ+3 射程360/450m [魔化詳細] 《正確さL2》《対象設定/吸血鬼(コスト1/3)》魔化+$8360 《鋭さL2》《対象設定/吸血鬼(コスト1/3)》魔化+$8360 *最大致傷力に基づきダメージは体力15で計算、距離計算は体力18扱い *吸血鬼相手の時のみ技能レベル+2、ダメージ+2 矢筒($10 0.2kg <豊穣の角>魔化+$100) ショートソード($400 1kg) Lv15 切り3D(長さ1)/刺し1D+2(長さ1) ヘビー・レザー($350 7.5kg 《強化L1》《防御L1》《軽量化L1》魔化+$250) 清掃の書(アクセサリ(書籍)$50 《清掃》魔化+$100/内蔵型パワーストーン(3)+$500) 万華鏡のピアス(アクセサリ(イアリング)$50《幻覚変身(幻影)》魔化+$505) ■■ 身体能力 格闘:パンチ/キック Lv14/12 叩き1D(長さC,1)/叩き1D+3(長さ1) 移動力=6 能動防御=よけ:6/受け:7(格闘10)/止め:- 受動防御/防護点=2/4 |
【設定】 セラーナは、スティニア高地王国の封建貴族の令嬢であり、双月歴1094年(1年前)に吸血鬼化したばかりの真性のヴァンパイアです。 彼女は、スティニア貴族であるハルコン卿とヴァレリカ夫人の間に生まれた一人娘でした。3年ほど前に父ハルコン卿は、ウォルグレイ・アーカムという名の国外からやってきた吸血鬼から血の洗礼を受け、真性のヴァンパイアとして覚醒しました。そして間もなく妻ヴァレリカと娘セラーナも、父の手によって真性のヴァンパイアにされました。 両親が人間だった頃は普通の田舎貴族で、家族もおおむね上手くいっていましたが、吸血鬼の洗礼を受けてからは家庭事情が一気に崩壊します。まず、ハルコン卿は吸血鬼としての圧倒的な力に魅了されてしまい、「黄金の姫がいなくなり、王家がなくなった今、高貴なる夜の貴族たる我らが王国を取り仕切るべきだ!」などと主張し始めたのです。 |
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…双月歴1095年のルナル世界では当たり前の事ですが、〈悪魔〉戦争時代ならまだしも、双子の月が統治する現在において、吸血鬼が支配者の国が受け入れられる事など、まずありえません。 そもそもスティニアはつい最近、国の伝統的象徴だった「黄金の姫」の称号を持つ娘が、実は受肉した〈悪魔〉だったことが露呈してしまい、五王国が総出で「掃除」したばかりです。国際的に現スティニアの印象は最悪、信頼は地の底に尽いているというのに、そこへ黒の月を崇める吸血鬼集団が支配者層として立つなどという事をすれば、今度こそ五王国連合軍にとどめを刺されるでしょう。 妻ヴァレリカは夫より冷静で、表向きの支配者ではなく、あくまで裏社会からスティニアを支配すべきだと主張し、ハルコン卿とは一歩距離を置き始めました。 ハルコン卿は8大神への挑戦として「8魔貴族」なるサークルを結成し、8人の吸血鬼からなるスティニアの支配を目論んでいます。8人のうち3人はハルコン卿も含む身内であり、「ガヤン神に反抗する魔元帥シファールを象徴し、魔貴族を統率する王ハルコン卿」「アルリアナ神に反抗する魔元帥ザンガーニを象徴し、魔貴族に芳醇なる血を供給するヴァレリカ」「シャストア神に反抗する魔元帥ハーディリータを象徴し、魔貴族内の謀反者を粛清するセラーナ」以下、身内外から選ばれた5名の吸血鬼と化した貴族たちで構成されています。 ですが、懲罰係の役割を与えられたセラーナは、最初からこのようなバカげた話に乗る気はなく、早々に離反しました。そもそも彼女にとって、自身が忌まわしき吸血鬼である事自体が、受け入れられない現実だったのです。 結果、サークル内の秩序は早々に崩壊を始めています。表向き、残っている8魔貴族(セラーナ以外の7人)は、ハルコン卿の定めた「魔貴族の掟」(必要以上に獲物を狩らない等)を守っているようにふるまってますが、実際は監視の目がないことを良いことに、個々が好き放題に人間を狩っています。 結果、悪事が外部に露呈し始め、ガヤン神殿やファウン神殿の注意をひいてしまいました。そして、吸血鬼VS討伐隊の戦争一歩手前のところまで発展しています。 そして、ただ1人逃げ出したセラーナですが… 行き場に困って山中を放浪した挙句、スティニアの奥地リヒテンダール山脈の峡谷に隠された小さなナーチャ神殿を偶然発見し、そこに駆け込みました…(おそらく彼女を哀れんだ女神が導いたのでしょう)。 |
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神殿の司祭は、アンデッドの王たるヴァンパイアがやってきた事に大層驚き、即座に始末しようとしたのですが、長旅で疲れて生きる気力を失いかけていた彼女は、「どうぞ殺して下さい…」と涙を流しながら呟き、跪いたまま抵抗しようとしませんでした。 その態度に不振に思った司祭があれこれ話を聞いてみると、彼女が邪悪ではないこと、両親の愚行を止めようとしていた事が分かったため、裁きの鉄槌の代わりにナーチャの教えを授けました。 そして、それを受け入れた彼女は、間もなく女神ナーチャからの啓示を受けます。その内容は「父の邪悪な野望を阻止するまで、仮初めの生を用いて人々のために献身せよ――」というものだったようです。 現在の彼女は、父を粛清するための支援者として、自分の立場を理解してくれる冒険者たちを探しています。自分を祝福してくれたナーチャ司祭と神殿の数少ない信者たちは、助力を約束してくれましたが、彼らは神殿を離れるわけにはいかず、実質彼女一人で外征せねばならない状態です。 かつて謀反者の粛清のために、標的である父親本人から下賜された対ヴァンパイア討伐用の神聖魔法弓「アーリエル」を手に携え、彼女は一人、茨の道を行くのでした。 全てを終えた暁には、自らの呪われた命も絶ち、月へ旅立つ覚悟を胸に秘めて… セラーナは、魔法弓を用いた支援キャラとして作成されています。常時《浮遊》で体を浮かせておき、戦闘の冒頭で《すばやさ》を使い、敏捷力+5の状態にします(ヴァンパイアの体力があればこそパワーストーンなしでも可能な芸当です)。 あとは、ひたすらアーリエルの弓を打ち続けます(豊穣の角が魔化された矢筒があるので、弾数の管理は不要です)。この弓はヴァンパイア種族に対してのみ、命中判定とダメージに+2修正が付くようになっています。 一応、射撃が通らない場合に備えてショートソードも持っています。 |
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■ 特務兵ドーン・ガード (総計75CP) | |
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ドワーフ/男女共通 身長125cm 体重65kg 平均年齢30歳前後 ■■ 能力値 (50cp) ST12(10cp) DX12(20cp) IQ11(10cp) HT11(10cp) ■■ 特徴 (48/-45cp) ドワーフ種族セット(15cp)、ファウン入信者(5cp)、財産/快適(10cp)、意志の強さ2レベル(8cp)、我慢強さ(10cp) 狭量/吸血鬼(-5cp)、偉大な誓い/この世から吸血鬼を駆逐する(-15cp)、その他、直情、朴念仁など-20cp分、癖(-5cp分) |
■■ 技能 (22cp) イヴニング・スター(8cp/Lv13)、弩(2cp/Lv13)、準備/矢(1cp/Lv12)、ナイフ(1cp/Lv12)、盾(1cp/Lv12)、格闘(1cp/Lv12)、水泳(0.5cp/Lv11)、登攀(0.5cp/Lv10)、ランニング(0.5cp/Lv8) 生存/山岳(1cp/Lv10)、追跡(1cp/Lv10)、応急処置☆(1cp/Lv12)、武具屋(-(+1cp)/Lv10)、採掘(-(+2cp)/Lv11)、神秘学☆(2cp/Lv12)、埋葬儀礼(0.5cp/Lv10)、地域知識/神殿周辺(0.5cp/Lv10)、戦術(0.5cp/Lv8) ■■ 装備 総重量32.45kg(並荷) 所持金430ムーナ イヴニング・スター($350 3kg) Lv13 切り2D(長さ1) クロスボウ($150 3kg) Lv13 刺し1D+3 抜撃ち12 正確さ+4 射程240/300m 矢筒($10 0.2kg 〈豊穣の角〉魔化+$100) 大型ナイフ($40 0.5kg) Lv12 切り1D(長さC,1)/刺し1D-1(長さC) ミディアム・シールド($60 7kg) Lv12 叩き1D-1(長さ1) スケイル・アーマー($750 18.75kg 〈強化L1〉〈防御L1〉〈軽量化L1〉魔化+$250) ファウンの聖印(アクセサリ(十字架)$50 〈霊魂感知〉魔化+$100) ■■ 身体能力 格闘:パンチ/キック Lv12/10 叩き1D-2(長さC,1)/叩き1D+1(長さ1) 移動力=4 能動防御=よけ:3/受け:6(格闘8)/止め:6 受動防御/防護点=7/5 |
【設定】 ドーン・ガード(夜明けの番人)とは、ファウンの聖戦士たち(対アンデッド討伐専門の戦士)の中でも、ある程度の経験を積んだ後、選抜を受けてヴァンパイア討伐専門となったエリートたちを指します。 ヴァンパイアは、アンデッドの中でも最強クラスのモンスターであるため、ドーン・ガードになるためには、戦士としての確かな腕、専門家としての知識、呪文にかからない強い意志など、様々な資質が求められます。加えて、かなりの重装備を所持しています。 しかし、この程度の実力では、ドーン・ガードとしてはまだ駆け出しの新人であり、ドーン・ガード拠点の守衛や、討伐隊の数合わせ程度にしか期待されていません。吸血鬼のアジトに乗り込むレベルの「一人前」のドーン・ガードは、100cpを超える魔法戦士であるのが普通です。 そして、吸血鬼相手に物量に物を言わせた人海戦術をとっても、余計な犠牲者が出るだけなので、基本的には少数精鋭の形で挑みます。腕利きのドーンガードが不足している状況だと、外部のファウン信者以外の傭兵なども雇い入れます(PCたちのような英雄候補生が最適でしょう)。 なお、彼らの持つファウンの聖印(十字架)は、一般信者に配られる安物の聖印(せいぜい$5程度の鉄製品)とは異なり、アクセサリとしても通用する貴金属製の魔化アイテムです。《霊魂感知》(タイプa)の魔化が封じられており、吸血鬼をはじめとするアンデッドを探知するのに役立つでしょう。 |
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■ ドーン・ガード(モンスター表記) 体力:12 敏捷力:12 知力:11 生命力:11 移動力:4 能動防御:よけ3/うけ6(格闘8)/止め6 受動防御/防護点:7/5(魔法のスケイルアーマー+ミディアムシールド) 体重:65kg 大きさ:1へクス 攻撃/イヴニング・スター(長さ1):技能レベル13/切り2D 攻撃/クロスボウ(抜撃12 正確+4 射程240m):技能レベル13/刺し1D+3 攻撃/大型ナイフ(長さC,1):技能レベル12/切り1D 攻撃/格闘パンチ(長さC,1):技能レベル12/叩き1D-1 特殊:意志の強さ2レベル、我慢強さ、霊気感知15レベル |
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[編集手記] どのサンプル・キャラクターも元ネタがあるので、それを紹介しながら各性能を簡単に解説しておきます。 (ペーテル・キュルテン) ルナル完全版に掲載されている吸血鬼のサンプルキャラですが、おそらくこれは、実在した犯罪者「デュッセルドルフの吸血鬼」ことペーター・キュルテンの事だと思われます。キュルテンは、19世紀ごろのドイツの連続殺人犯で、快楽を得るために殺人を繰り返したと言います。 彼は表向きは善人を演じきっており、ちゃんと結婚して自宅には妻もいて、彼女は夫が告白するまで、全く犯行に気づかなかったそうです。当時は警察の捜査能力が低かったという理由もあるでしょうが(今みたいに監視カメラだの指紋や遺伝子による科学的な立証方法などない時代です)、彼の犯行の立ち回りと、それをやってのけた度胸は見事だったのは確かでしょう。 ルナルのキュルテンは、ドイツ人なのでソイル選王国(ソイルはドイツ文化をイメージした国です)の地元民という設定と、表向きは善人を演じきったという設定だけを拾い、あとはほぼオリジナルです(実在したキュルテンは、同性愛者ではありません)。 戦闘データとしては、ほとんど吸血鬼としての能力のみに頼っています。とりあえず《恐慌》をぶっ放したあと、剣で攻撃するキャラクターとなります。 なお、《恐慌》の消費はかなり激しく、ヴァンパイアの倍増化した体力でも、2~3回打つのがせいぜいだと思います。しかも生得呪文は特殊な増強をしていなければ、熟練による消費コスト軽減が一切ないため、1ヘクス呪文をにかけるだけでも消費コストが4もかかり、重くのしかかってきます…ま、あんまり魔法戦士として優秀に作りすぎると、今度はPC側が勝てなくなるくらい強くなってしまうので、こんなものではないでしょうか。 キュルテンの場合、戦闘よりも、彼の正体を見抜くまでがシナリオのメインになると思われます。100cpのマンチキン作成のPC4~6人で、ギリギリどうにかできるレベルってところではないでしょうか。 (マイエル=リンク) 映画版「バンパイアハンターD」に登場したイケメン吸血貴公子が元ネタです。原作では、吸血鬼の中で唯一、人間から尊敬される人格者という設定なのですが、吸血鬼としての血液に対するあくなき食欲には勝てず、ついに通りすがりの村人たちを手にかけてしまうところから物語は始まります。 その後、ダンピール(吸血鬼と人間のハーフ種族)の主人公「D」に追われ、商売敵マーカス兄弟やバルバロイの里の手練れたちと紆余曲折あった後、悲劇ながらも感動のラスト(?)を迎えます。 ルナル世界でも、基本的にヴァンパイアにまともな結末などありません。まして、このマイエルリンクはソーサラーでもあるので、いずれ邪術武器に宿っている悪魔の誘惑に負けて、魂ごと滅びる運命は決まっています。 しかし、善と葛藤する悪役というのは、物語を美しくするための定番であるため、そこはしっかりと導入しました。一応、敵役として設計しましたが、性格は決して悪くしていませんので、何らかの利害一致による交渉の余地はあるでしょう。 ただ、さすがに500cpというだけあって、もうあれこれ細工しても仕方ないので、手加減なしで戦闘力を追求した結果、常時倍速で動き、1ターンに《凍傷》25レベルを2回飛ばしてきた挙句、威力3D超のシャストアのマントで3回攻撃が当たり前とか、もはや100cpのPCが相手にできるような相手ではなくなりました(笑)。意志の強さも5レベルきっちり取っているので、21レベル超の通常呪文で一撃必殺するのも、かなり難しいでしょう。 (セラーナ) 出典は、任天堂スイッチやらPC版Steamやらで人気のオープンフィールド型RPG「スカイリム」に登場する女吸血鬼セラーナです。原作では完全にプレイヤーに味方する吸血鬼として登場しているので、ルナル世界でもナーチャ信者として登場させる事にしました。背景設定の方も、原作の両親との骨肉の争いを、ルナルっぽい形で再現しています。 原作のセラーナは、吸血鬼であること自体はそれほど嫌というわけではないのですが、ルナルでは「望んでもないのに吸血鬼にされた」ことになっており、最終的には父親の愚行を止めたあと、自分も日光の下で自決するつもりでいることになっています。残念ながら、ルナル世界の吸血鬼は、スカイリムのように治癒して人間に戻れるような、軽い設定ではありません。なので、最終的には悲劇で終わってしまうヒロインです。 …どうしても助けたければ、《大祈願》の魔化アイテムでも出して、彼女の「時間」を巻き戻して人間だった頃に戻すとか、何らかの仕掛けを用意して下さい。 性能の方ですが、原作では氷系魔法でサクサク攻撃していく魔術師タイプなのですが、ルナルでは自在に魔法を使おうとするとヴァンパイア・ソーサラーになるしかなく、それでは味方NPCにするのは問題がありますので、原作に登場した太陽弓アーリエルで射撃するレンジャー系キャラクターに変換しています。 一応、ナーチャ高司祭であれば高司祭共通呪文も習得可能なので、ある程度は習得呪文も融通が利きます。使えそうな呪文をいくつか習得させておきました…何気に《復活》の呪文を知っていたり、ナーチャ独自呪文《不可視》で通りすがりの幽霊と会話できたりします。 無論、原作のようにその辺の死体を《死人作成》で再起動し、操る能力も持たせています。街の中で使うには無理がありすぎる能力ですが、遺跡などであれば、人目にはつきません。ダンジョンのトラップに突っ込ませてわざと罠にかかってもらい、味方への被害を回避するといった使い方ができるでしょう。 (ドーン・ガード) セラーナが存在するスカイリムの世界には吸血鬼討伐専門のハンターたちが存在しており、ドーン・ガードと呼ばれています。同じくファンタジー世界のルナルでも普通にマッチする設定なので、そのまんま導入しました。PCに代わって犠牲者の役割を務める(?)雑魚兵士として使えるでしょう。 ルナル世界でアンデッド退治人=ファウン信者ですので、基本的に彼らはドワーフの聖戦士の一種という扱いになっています。 武器となるイヴニングスターの価格が高く、必要体力も12以上要求されることから、残念ながら75cpの段階で魔法戦士にするのはCPが足りないので、専業戦士として設定しています。ルナルでまともなファウンの魔法戦士を作ろうとすると、最低でも125cpくらいは必要な気がします。 なお、この特務兵たち5人で、一番最初のサンプルキャラ「キュルテン」に基本戦闘ルールで戦いを挑んだところ、吸血鬼を圧倒しました。もちろん、キュルテンが逃げられない状況という設定での戦闘ですが…(吸血鬼はヤバいと思えば、事前に各種《変身》や《肉体気化》を用いて、どうとでも逃げられます。なので、吸血鬼に「こいつらなら勝てそう」と思わせた上で、戦闘に引きずり込む必要があります。そこまで持ち込む戦術行動がシナリオの中心となるでしょう)。 キュルテンは最初、《恐慌》3倍拡大(12点疲労)で5人を巻き込んで範囲呪文を放ったのですが、さすがに知力11で「意志の強さ」まで備えたドーン・ガードたち相手だと抵抗されてしまい、何の成果もありませんでした。 その後、フェイントしながら地道にドーン・ガードに切り付けていたのですが、先鋒に手傷を負わせた程度で、誰も倒れません。一方で、ドワーフたちの聖別されたイブニング・スターが、キュルテンにメテオのごとく降り注ぎ、「よけ」しか回避手段がないキュルテンは、生命力をあっという間に削られ、生命力マイナス60あたりで生死判定に失敗してお亡くなりになりました…案外、イケるもんですな。 一方、もう一人の真の貴族マイエル=リンク様にも同様のメンツで挑みましたが、毛ほどの傷も与えられず、きっちり5ターン後に全員生死判定失敗による死亡。見事に全滅の憂き目に合いました(笑) 本気のマイエルリンク様は、ターン冒頭に《倍速》を使った後、最初の2回行動をまるまる「集中」に使って《飛行》をかけ、《凍傷》と連携して空中アタック(相手の能動防御-3)をかける戦術なんですが、この程度の雑魚相手であれば、そんな事するまでもありません。とりあえず凍傷で生命力3以下に追い込めば「よけ」が激減するので、あとはシールドによる「止め」を1回使わせた後に、追加でマント攻撃を浴びせるだけでスパスパ切られていきました。 75cp程度の戦士では全く相手にならん(笑) |