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■魔導兵器 |
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この項目では、小説やリプレイで搭乗した大型の乗り物の作成ルールを紹介します。また、いくつかのサンプル事例も紹介します。 なお、この作成ルールでは『ガープス・妖魔夜行』(初版)が必要になります(ルールを熟知しているのであれば「ガープス・百鬼夜翔」で作成しても構いません)。 |
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■概要 |
ルナルの小説やリプレイでは、主に物語の終盤において、魔法で動く大型の乗り物が登場しました。例えば、〈多足のもの〉の戦闘用巨大ゴーレムであったり、トルアドネス帝国軍の空中要塞などです。 これらの搭乗可能な巨大魔法兵器をまとめて『魔導兵器』と呼称します。 |
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魔導兵器はルール上、全て「特殊な形状をしたゴーレムの一種」として扱われ、マナで稼働しています。生産を行っているのはウィザードの魔化師が集う魔術師団です。 また、地底に住む〈多足のもの〉の発明家たちも、元素魔法とテクノロジーを駆使した妙なゴーレムを生産しており、その中には魔導兵器に分類される巨大な兵器も存在します。 魔導兵器は、作成の時点で《動像》《ゴーレム》等の魔化呪文により「人工の魂」が封入されるため、「知力」の能力値を持ち、キャラクターシートで管理される1個人として扱われます。そして、作成者である魔化師長の命令に服従します。 また、標準的なゴーレムと同じく「他人に従わせる」事で他人に貸与する事が可能です(完全な所有権の譲渡はシステム的に不可能です)。 実際のところ、魔導兵器は国家の命運を左右する軍事力として扱われる事が多いため、作成者が直接搭乗して最前線で運用されるケースは稀です。作成者本人が兵器と共に前線に出てしまうと、敗北した際にゴーレムもろとも喪失してしまいますし、敵に呪文などで操縦者の脳内情報を抜かれて兵器を乗っ取られてしまうと、取り返しがつかない事になりかねないからです。 また、作成者は通常、ウィザード種族の魔化師長クラス(《魔化》のレベル20以上、鍛冶屋でいうところの職工頭相当)の人材であり、国家レベルで見てもたいへん貴重な人材です。そんな彼らは他にも多くの仕事を抱えているため、作った1つの兵器のためにいちいち時間を割いてなどいられません。 そのため通常は、現代地球の兵器産業と同じように、国家等から注文を受けてから作成を開始し、製品として軍組織などに納品する形になります。納品後の魔化師長は、メンテナンスや技術的な問題が発生した際のみ、呼び出されて作成した兵器の元に訪れます。 定期メンテナンス程度であれば、魔化師長本人ではなく、共に魔化儀式に立ち会った弟子の魔化師が代理で訪れるのが普通です(そこで何か問題があれば、魔化師長が呼び出されることもあるでしょう)。また弟子が魔導兵器を常時管理するために、運用されている職場に「技術顧問」として赴任する事もあります。 |
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魔導兵器の大半は、人間を遥かに超える巨体を持ち、個人の装備品では到底不可能な高火力と厚い装甲を誇り、膨大な量のHPを持ちます。これらをガープスのデータ上で再現するのに最もお手軽なのは、「ガープス・妖魔夜行」のルールで「器物妖怪」として作成する事です。 以下は、初版の「妖魔夜行」を用いた基本的な作成ルールを紹介します。 |
■基本セット |
魔導兵器のキャラクターは、おおよそ350cp以上で作成されます。最初から決まったCP量などガチガチに設定せず、作成してから切りの良い値で収めてしまう方が良いでしょう(どうせNPC扱いです)。想像していた魔法兵器がどの程度のCP量で再現可能かどうかは、実際に作ってみないと分からないと思います。 まず最初に、「ガープス・妖魔夜行」における妖怪作成時の種族基本セットと同等のものを取得せねばなりません。セット内容は以下になります。なお、魔導兵器における「妖力」「妖術」は、「特殊性能」(=妖力)「特殊能力」(=妖術)という呼称に変更します。 ■『魔導兵器』基本セット(100cp) 特殊な背景/魔法生命体である(20cp) 不老(15cp) 飲食不要(10cp) 酸素不要(25cp) 睡眠不要(20cp) ダメージボーナスなし(10cp) 毒無効(15cp) 病気耐性(10cp) 無感動(15cp) 精神攻撃無効(50cp) 我慢強さ(10cp) 記憶力L2(60cp) 計算力(5cp) 時間感覚(5cp) 投影L1(1cp) (合計+271cp) 自然治癒しない(-30cp) 即時退場(-40cp) マナが存在しない空間では一切行動不能(-15cp) 味覚消失(-5cp) 性的不能(-5cp) 正直(-5cp) 朴念仁(-10cp) 癖/加減ができない(-1cp) 財産/どん底(-25cp) 社会的弱者/物質的財産(-15cp) 危険な使命(-20cp) (合計-171cp) 以下、個別に解説していきます。 ●特殊な背景/魔法生命体である 《ゴーレム》の呪文により人工の魂を封入されて作られた器物です。コンピューターのAIよろしく知能を持っており、命令範囲内で自律行動が可能です。能力値「知力」の初期値は、人間と同じく「10」です。 製作者が技能をインプットすれば習得可能ですが、自前の学習能力がないため、経験によって経験値(CP)を得る事はできません。何度も同じことを経験しても、常に同じレベルで実行し続けます。 ●不老(特殊性能) 構成する物質が経年劣化で老朽化しますが、寿命の概念自体は存在せず、適切に整備されている限りは永久に運用可能です。 ●飲食不要、酸素不要、睡眠不要、毒無効、病気耐性(特殊性能) ゴーレムは基本的に無生物であり、人工の魂がそれをマナで動かしているにすぎません。通常の食事や睡眠、酸素呼吸は必要なく、活動エネルギーは大気からのマナを取り込んで稼働するので、「弱点」として何かしら設定しないかぎり、別途で燃料の補給は必要ありません。 また、通常の生物に対して効果のある毒や病原体からも何の影響も受けません。ただし、腐食性の毒(酸など)の影響は受けます。誘眠系の呪文や特殊能力に対しては、抵抗に+5修正があります。 ●ダメージボーナスなし(特殊性能) 本ルールでのこの妖力の扱いは、「ガープス・妖魔夜行」とは異なりますので注意して下さい(「百鬼夜翔」の限定バージョン(-75%)に沿っています)。 この妖力は、脳や重要器官が存在しない事を示すものとして扱います。つまり部位狙いルールのうち、「脳狙い」「重要器官狙い」「喉狙い」によるダメージ倍増効果は一切受けつけなくなりますし、頭部や重要器官に「叩き」攻撃を受けても、それによって気絶する事はありません。 一方で、「切り」「刺し」の攻撃タイプによる追加ダメージは通常通り受けるので注意してください。なお、この特徴を持っていても四肢の概念はあります。 この特徴の詳細は、以下の項目でも確認できますので参照して下さい。 ●無感情(特殊性能) 感情は存在せず、常に冷静です。恐喝なども無意味で、恐怖判定などを行う必要がなくなります。 この特徴は「精神攻撃無効」の前提条件でもあります。 ●精神攻撃無効(特殊性能) 人工の魂は、通常の「人」としての精神とは根本的に異なります。精神に影響を与えるタイプの呪文や能力は一切利きません(幻覚も含む)。 また、自身も精神操作系の特殊能力を取得する事はできません。 ●我慢強さ(特殊性能) 一般的な特徴ではなく、特殊性能として扱います。 痛覚によって行動に支障をきたすことはありません。ただし、どの部位に損傷を受けたかはメモリーに記録されており、ダメージを正確に認識しています。 ●記憶力L2(特殊性能) 見た映像や音声は全て「魂」に記録されており、必要に応じて幻影画像として出力可能です。 ●計算力(特殊性能) 基本的な演算能力を有しています。 ●時間感覚(特殊性能) 《時計》の魔化アイテムを標準装備しており、正確な現在時刻を認識しています。 ●投影L1(特殊性能) 「放送」の妖力のバリエーションです。電波ではなく、テレパシーや幻影魔法を使っての「放送」なので、前提条件は「電波聴覚」「電波視覚」ではなく「記憶力」(L1以上)となります。 魔導兵器がカメラから見ている現在の映像、あるいは過去に見て記憶している映像を、制御ルームの指定箇所に幻影の映像として「放送」します。音声も同時に再生可能です。あるいは「精神感応」を持っているのであれば、操縦者の脳に直接イメージ映像+音声を送りつけられます。 この特殊性能は本来3cpですが、「制御ルームの指定箇所に対してしか使えない」という状況限定(-50%)がかかっているため、必要CPが少なくなっています。 ●自然治癒しない(特殊性能) 生物のように自然治癒能力を持ちません。老化こそしませんが、損傷によって劣化していきますし、普段の活動中、他の物質と接触することによって、構成する素材がすり減っていきます。然るべき修理を受けない限り、受けたダメージはそのままです。 なお、魔導兵器は通常のゴーレムとは異なり、《修理》の呪文で修復を行います。また、作成者以外の有益な呪文も受け付けるので、作成者たる魔化師長が直々に呪文をかけに行く必然性はなく、《修理》の呪文を習得した他人が修理業務を行う事も可能です。 ●即時退場(特殊性能) ゴーレムや《死人使い》の呪文で生成されたアンデッドに共通の特徴で、HPがゼロになった時点で自動的に死亡し、大破した扱いになります。 ●マナが存在しない空間では一切行動不能(特殊性能) 魔導兵器は魔化アイテムの一種なので、マナが存在しない空間では全く機能しません。ルナルでは滅多にないケースなので「頻度:まれ」扱いになっています。 ただし、何らかの理由で一切マナが存在しない空間をGMが設定する事はできますし(例えば月食で月が隠れた等)、《魔力除去》などの呪文で意図的にマナなし空間を作ることも可能なので、そうしたエリアでは注意が必要です。例えば空中戦艦型の魔導兵器だと、該当エリアに侵入した途端に唐突に落下を始め…乗員は助からないでしょう。 ●味覚消失(特殊性能) 通常の生物が行う食事は一切必要ないため、匂いや味を感じる器官も備わっていません。視聴覚は人間と同レベルで備わっているものとします。 ●性的不能(特殊性能) 生殖の概念はありません。 ●正直(特殊性能) ウソの情報を伝えたり、相手を誤認させた疑いがある状態のまま、タスクを進行させる事ができません。 機密情報に関しては、聞かれない限り教えないという形をとります(嘘はついてないけど全てを語らない状態)。仮にユーザーの側から聞かれたとしても「その情報に関して、当方は他者にお伝えする権限を有していません」「あなたのユーザーレベルでは、その情報に関する内容は一切お答えできません」等の拒否返答だけを返します。 ●朴念仁(特殊性能) 「無感動」の効果の延長です。人の感情を感知したり、空気を読むといった事は一切出来ず、投げかけられた言葉をそのままの意味で解釈します。お世辞を言ったり、作り笑いをする機能もありません。 ●癖/加減ができない(特殊性能) 言われた命令を常に全力で実行します。手加減という言葉を知りません。 そのため、例えば巨大な人型魔導兵器に「対象に掴みかかって拾い上げろ」という命令を出した場合、掴みかかった後に怪力で締め付け、対象に「窒息」でダメージを与えてしまうかもしれません。無論、「優しく握れ!殺すな!」と命令すれば即座に加減しますが、命令されるまではそのような配慮は一切しませんし、「悪い事をした」という認識もありません。そしてまた同じ状況になった時、同じことを繰り返します(経験による学習機能がないため)。 そういった状況を回避したいのであれば、事前に詳細命令を設定しておいた方がよいでしょう。 ●財産/どん底 社会的に個人財産を持つ事を許されていません。本体にマウントされている装備は、可能な限り特殊性能や特殊能力で再現して下さい。また、それらを他者に譲渡する権限もありません。 ●社会的弱者/物質的財産 自身もまた組織や国家の「所有物」で、加えて基本的な人権は一切ありません。高価な品なので大切にはされますが、基本的には戦闘用なので、状況によっては「突撃して玉砕しろ」と命令されることもあります。そしてその命令に対し、法的に拒否する権利もありません。 ●危険な使命 クライアントのコマンドに対して絶対服従し、そのためだけに活動しています。 ただし、自衛が必要であれば最低限の行動は行えます。どの程度の自衛行動を行うかは、作成者が作成時にプログラムで決めておきます。場合によっては「何があっても動くな」とインプットすることもあります…自動防衛リアクションが、かえって自軍の邪魔になるケースもあるからです(特に巨大兵器の場合)。 また、あらかじめ命令にインプットされていない限り、主人を自発的に防衛する「義務」もありません。 |
■特殊性能 |
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魔導兵器のキャラクターは、基本的には「妖魔夜行」の妖怪のように「妖力、妖術、弱点」から必要なものを取捨選択して作成していきます。なお、「弱点」は「特殊性能」(=妖力)に含めて下さい。 妖怪とは異なり、社会的な特性は基本セットで全て完結しているため、「人間変身」や「人間に対する態度」、「戸籍」といった部分でCPを費やす必要はありません。 以下、「ガープス・妖魔夜行」の妖力とは微妙に異なる点、あるいは原作では説明不足なものについてのみ記載します。 ●巨大(3cp/L) 多くの魔導兵器は、人間よりサイズが大きいのが普通なので、この特殊性能を持つ魔導兵器は多く存在するでしょう。 魔導兵器の実際のサイズを決定する際、基準サイズ(「巨大」0レベルの時のサイズ)は「1へクス・高さ2メートル」で統一します。そして「巨大」1レベルごとに、上級戦闘におけるヘクス上のサイズが+2されます(1レベルで大きさ3へクス、2レベルで大きさ5へクス…)。また、身長も「巨大」レベル+1倍されます。 ちなみにこれは、二足歩行の人型の魔導兵器の標準サイズです。普段から横倒し状態の「爬行姿勢」(後述)の者は「倒れた状態」がデフォルト姿勢になるため、ヘクス上のサイズも大きく変わっていきます(乗り物型の魔導兵器は爬行姿勢の事が多いでしょう)。 サイズに関する詳細は、下記の「その他 詳細ルール」を参照して下さい。 なお、「巨大」2レベルごとに基本移動力が+1されます(歩幅が増えるためです。「よけ」は増えません)。また、白兵戦で武器や素手の届く範囲も1レベルごとに+1されます。 逆に、巨大な相手を殴る相手側は、「巨大」のレベル分だけ命中判定にプラス修正を得ます(大きくて狙いやすいため)。ただし、サイズが倍以上異なる場合、小さい側は普通に攻撃してもこちらの脚しか狙えません(目や脳などを狙えなくなります)。 ●ダメージボーナスなし(10cp) 当サイトでは、この妖力は「百鬼夜翔」の限定バージョン(40cp 限定-75%)のものを適応しているので注意して下さい。 この妖力を獲得すると「重要器官」「脳」「首」の概念がなくなり、それらを狙った攻撃に関して、追加ダメージが一切発生しなくなります。また、それらの部位の損傷による追加効果(気絶や朦朧)も一切発生しません。当然、生命力判定などの要求も無視できます。 ただし、攻撃タイプ「切り」「刺し」の効果は、通常のルール通りに適応されます。 注意点ですが、これは「部位狙いを無効化する」特徴ではありません。この特徴を有していても「支持肢なし」(-50cp)や「歩行障害/両足喪失」(-35cp)を取得しないかぎり、四肢の概念は残っています(人型や動物型の魔導兵器だと、それらの部位は残っているはずです)。 ●特殊な移動(5cp) 足がなく、這ったり転がったりキャタピラっぽい移動を行うなどの形状になっています(ルナルにキャタピラの概念はまだありませんが、例外的に〈多足のもの〉の発明品であれば存在するかもしれません)。通常の転倒が発生しなくなり、何らかの特殊効果で転倒しても1ターンで立ち上がれます。 代償として、キックによる攻撃が一切できなくなります。 原作ではキックができない部分の説明がなく、「百鬼夜翔」で説明のフォローがなされているので、ここでも一応挙げておきます。 ●無言の会話(5cp) 「精神感応」と読み替えて下さい。「使い魔」の同名の特徴と同じように、「操縦者」とのやりとりをテレパシーによって行えるようになり、声を出す必要がなくなります。ただし「操縦者」が変わると、音声以外で交信できなくなるので注意して下さい。 ●荷重拡大(5cp) 「ガープス・百鬼夜翔」で追加された妖力です。背負った場合に限り、通常より重い荷物を持って移動できるようになります。体力×2.5kgで「軽荷」、体力×5で「並荷」、体力×10㎏で「重荷」、体力×15㎏で「超重荷」となります。 船舶タイプの魔導兵器は運搬量増加の関係で、ほぼ確実に持っている事でしょう。 ●支持肢なし(-50cp) 腕そのものがない事を示す弱点(妖力)で、主に船舶型の魔導兵器がこの特徴を有するでしょう。無論、船舶型でも「非常に優秀なクレーン機構があって、荷物の積み下ろし作業を自動で行える」という設定にするならば、「手」を残しておくケースも考えられます。 なお、腕がなくとも「特殊能力」(=妖術)の使用に何ら影響はありません。「腕にマウントした発射口から発射したい」場合は、腕を残してそういう「設定」にして下さい。 「百鬼夜翔」では「特定部位がないと妖術が使えない」などの限定でCPを稼げたりします。必要な部位への部位狙い攻撃時のペナルティに応じて、限定の度合いが設定されています。±0で-30%、-2で-20%…となっています。導入したい場合は、ルールブックで詳細を確認して下さい。 ●両足喪失(-35cp) 脚そのものがない事を示したい場合、この特徴で再現します。これも主に船舶型の魔導兵器が所持しているでしょう(逆に船舶に足が生えてたら…なにそれ怖い)。魔導兵器が所持する場合は、「不利な特徴」ではなく「特殊性能」として扱われます。 なお、「この特徴がある=一切移動できない」ではない事に注意してください。単に「脚」に相当する部分がなく、徒歩での移動や蹴り攻撃ができないというだけです。 例えば空中要塞など、「飛行」の妖力で自在に移動する事が可能な一方、地面に下りた状態では全く動けないといったケースが考えられます。 完全に移動できず、固定兵器にしたい場合は、「百鬼夜翔」で追加された「移動できない」(-50cp)を取得して下さい。魔導兵器としての存在意義はあまりないかもしれませんが、例えば、PSO2に登場した「魔神城」など、完全固定だが非常にアクティブな拠点(自身は動けずとも他の徒歩兵力や機動兵器を出撃させられる)を再現したい場合など、魔導兵器という形で表現するのは「あり」でしょう。 ●爬行姿勢(-) 「ガープス・百鬼夜翔」で追加された弱点で、腹ばい状態がデフォルト姿勢である事を示すものです。人間が常に飛行状態(横倒しで2へクスの状態)であるときのように、身長がそのままヘクス数になりますので、船舶など横長の形状をした魔導兵器が、この特性を持つでしょう。 ただし「妖魔夜行」の時代には、これに関するルール的な有利・不利は特に規定されていなかったため、このハウス・ルール下でもこの特徴は一切無視します。船舶タイプの魔導兵器が横長にしてサイズを稼ぎたい等の場合は、「横倒しの状態がデフォルト姿勢」という初期設定を宣言して下さい(宣言を示す意味で、この特徴を記載しておくと良いでしょう)。 これらの特性によるCP増減や、戦闘中の有利・不利は一切存在しないものとします。 ●搭載(-) 「ガープス・百鬼夜翔」で追加された「乗り物妖怪」用の妖力ですが、「妖魔夜行」時代にこの概念は存在しなかったので、当ルールでも一切無視して下さい。 操縦者および乗組員の扱いは、以下のように設定します。 1)中に乗り込む 乗組員が魔導兵器の「体内」にいると宣言すれば、外からの攻撃に対しては無条件で魔導兵器の体によって保護されるものとします。敵の攻撃に対する能動防御は魔導兵器が行い、ダメージを受けるのも魔導兵器のみです。 ただし、中にいる乗組員もまた、外に対して一切戦闘行為が行えないものとします(砲座に座って射撃を行うという例外はあります―――後述を参照)。また、魔導兵器が大破するようなダメージを受けているにも関わらず、脱出せぬまま居座っていると、余剰ダメージを問答無用で受けることもあるでしょう(具体的な処理はGM判断とする)。 2)上に乗る 船舶型の魔導兵器の甲板にいる場合など、「上に乗っかっている」場合は、敵の攻撃で直接狙われる可能性がありますが、一方でこちらの射線も通る事になります―――これは、馬に騎乗しているのと同じ扱いとなり、乗組員が個別で白兵戦や射撃を行う事が可能な代わりに、敵から攻撃される可能性があるものとします。 また、魔導兵器の「背中」が十分に広いのであれば、背中の範囲内での自由な「移動」や「後退防御」等も可能です。稼働中の魔導兵器から「飛び降りる」事も可能です(妨害は受けません)。 これらの特性によるCP増減や、戦闘中の有利・不利は一切存在しないものとします。 |
■特殊能力および増強と限定 |
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搭載された兵器のほとんどは、攻撃妖術で表現できます。特に増強/限定を行わないならば、準備1秒、抜撃ち12、正確さ+1の射撃武器として扱います。射程は半致傷「威力レベル×5」メートル、最大射程「威力レベル×10」となります。 なお、妖術とは異なり、敵が撃ってきた特殊能力を、自身の特殊能力で「受け」る事はできません(バリスタでカタパルトの石を「受け」るとか物理的に無理なので)。 攻撃以外の特殊な兵器などは、GMがそれぞれ決めて下さい。ただし、基本セットに「精神攻撃無効」が入っている事から、精神操作系の妖術は取れないことに注意して下さい。 [追加増強/限定] 主に初版には載っていない増強と限定のうち、魔導兵器の再現で必要そうなものを表記しておきます。特に「特殊能力」(妖術)に関わるものが基本となります。 これらは主に「ガープス・百鬼夜翔」で追加されたものですが、このサイト独自のものもあります。 ●移動可能(+20%) 「移動」しながら「集中」が可能になる増強で、「妖怪伝奇」に記載されています。多くの飛行タイプの魔導兵器が持っている事でしょう。 なお、「瞬間」増強がなされていてそもそも「集中」が必要ないのであれば、この増強は必要ない事に注意して下さい。 ●射程延長(+20%/L) 1レベルごとに、有効射程と最大射程が倍になります。2レベルで4倍、3レベルで8倍…といった具合にどんどん延長していきます。延長1レベルごとに抜撃ち+1、正確さ+1の修正を受けます。 この増強は「ガープス・百鬼夜翔」で追加された増強ですが、抜撃ちと正確さの補正に関しては、このサイト独自のルールです。 ●曲射(±0%) 上方向の弓なりの弾道となり、相手の遮蔽物などを無視して攻撃します。命中判定の際、遮蔽物などによるペナルティを無視できます。ただし、相手の頭上に天井などがあると効果はありません。また、攻撃対象が能動防御「止め」を行う手段を持っている場合、-2修正を与える事ができます。 一方、この増強がなされた特殊能力は、撃つ側も弾道が予測しにくいので抜撃ち+2、正確さ-2(最低0)の補正がなされます。 この増強は「ガープス・百鬼夜翔」で追加された増強ですが、内容は全く異なるので注意して下さい(原作ではフレイルの攻撃と同じように、能動防御にペナルティを与える増強です)。これは主に、カタパルトなどの弓なりの弾道を表現するためのものです。 ●連射(+40%/L) 魔導兵器に同種の兵器が複数配置されている場合、それらは同時に使えるはずなので「連射」の増強で表現します。この増強を行う場合、撃つ回数分だけ「増強」を重ね取りした上で(「限定」の方は一度しか適応できません)、特殊性能の「攻撃回数増加」(50cp/L)も増えた攻撃回数分だけ取得せねばならないことに注意して下さい。 この増強は、初版ルールの「ガープス・妖魔夜行妖怪伝奇」の追加ルールに掲載されています。 ●個別連動(+40%) 「独立連動」と似ていますが、二つの妖術を1つとして発動するのではなく、それぞれの妖術を個別かつ同じタイミングに運用するというもので、このルール下でのみの特殊な扱いの増強です。例えば、「石弾」の妖術相当の「バリスタ」と、「火炎」の妖術相当の「火炎放射器」を、同じターン冒頭にそれぞれ発射する場合などに有効です(既存の「連動」の増強では、そもそも攻撃妖術二つを連動させる事ができません。これは別個で撃つので、それを可能とします)。 二つの妖術を同じタイミングで個別に使えるようにするには、それぞれの妖術にこの増強を行わねばなりません。この増強はレベル制ではなく、それぞれの特殊能力について+40%を一回適応すればOKです。また、同時に「連射」の増強を行う場合、発射回数分だけ乗算適応する必要もありません(「連射」の重複増強の対象外とします)。 ただし、増えた攻撃回数分の「攻撃回数増加」の特殊性能は、全ての攻撃回数を合計して取得する必要があります(この部分は「連射」と同じ)。 例:「射程延長L1」の増強が施されたバリスタ(石弾)4台と、「瞬間」増強が施された近接戦闘用の火炎放射器(火炎)2基を搭載した魔導兵器が6台全てを同じタイミングで個別に運用したいと考えました。 この場合、バリスタ(石弾)に「射程延長L1(+20%)」×4「連射L3(+120%)」「個別連動(+40%)」(合計+240%)と、火炎放射器(火炎)に「瞬間(+20%)」×2「連射L1(+40%)」「個別連動(+40%)」(合計+120%)を適応した上で、「攻撃回数増加L5」(250cp)の特殊性能を別途で取得する必要があります。 これにより、ターン冒頭の妖術発動のタイミングで、石弾4回+火炎2回の計6回の射撃を同時に行えるようになります。 なお、この増強によって3つ以上の特殊能力の同時射撃も可能です…ただし、凄まじい量のCPを要求されるでしょうが。 ●弾丸が必要(-30%) 物理的弾丸の射撃を行う特殊能力に適応される限定で、能力を1回使用するたびに別途で用意した弾を1発消費します。弾の重量は、PL5までは「パワーレベル×0.1kg」、PL6~10までは「パワーレベル×0.5kg」、PL11以降は「パワーレベル×1kg」となります。 「範囲に影響」する場合、効果範囲が半径1ヘクス拡大する毎に10倍にして計算します(面単位でばらまくためです。範囲1へクスのみであれば5倍とします)。 この限定は「ガープス・百鬼夜翔」で追加された「燃料・触媒が必要」(-10~-30%)の一種です。 ●手動(-100%) 特殊能力に適応される限定で、「精度レベル」の概念が消失し、魔導兵器自身による射撃ができなくなります。代わりに乗組員が「砲座」に付き、〈砲術〉など適切な技能で命中判定を行わねばならなくなります。 命中判定関連(「攻撃」「狙い」)以外の動作(例えば特殊能力発動のための「集中」行動など)も、乗組員が「準備」の戦闘行動として代理で行う必要があります。 この限定が付いた特殊能力に関しては、命中判定を必要な技能をあらかじめ決定しておいてください。代表的なものを挙げると、バリスタは〈砲術/アーバレスト〉、カタパルトは〈砲術/カタパルト〉となります。その他、電光や冷凍光線ビームなど純魔法的な攻撃を行う「魔導砲」的なものは全て〈砲術/艦載兵器〉で処理してください。なお、〈砲術/艦載兵器〉で魔導兵器に搭載されたバリスタやカタパルトなどを撃つ場合、-2修正でそれらの技能なし値として代用できます(逆はできません)。 「砲座」は通常、外部に露出しており、この部位を狙って攻撃されると、砲手がダメージを受ける可能性があります。砲座部位は人間で言うところの「手首」と同様に扱われ、-4修正で部位狙い攻撃する事で攻撃を受けます。 そして攻撃を受けた場合、魔導兵器のHPの10分の1を超えるダメージは魔導兵器のHPではなく、その部位の砲座に着席していた砲手に適応されます(例えばHP500の魔導兵器の場合、50点のダメージで砲座が破壊され、51点以降のダメージはそこに座っていた砲手に適応されます)。なお、破壊された砲座に座っていた砲手は、この余剰ダメージに対して一切の能動防御ができません! 当然ですが魔導兵器自身はこれらの制御が一切行えませんので、潜入工作員などが乗り込んできて兵器の一部を乗っ取られ、自分の兵器で自分のボディが破壊されるといった危険性が生じます。 この限定は、初版ルールの「状況限定」の非常に特殊な一種として解釈して下さい。 |
■その他 詳細ルール |
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[魔導兵器の操縦者] 魔導兵器は通常、内部に「制御エリア」が存在し、操縦者はそこにいる必要があります。具体的な制御エリアの様子は、「水晶占いに使うクリスタルのようなものが置かれている」「作戦会議室のようなテーブルが置かれている」「演説台みたいなところ」と様々なデザインです。広さはだいたい半径1~3ヘクスの範囲に収まっています(作成段階で設定して下さい)。 「操縦者」と認識されるためには、制御エリアに入った上で、魔導兵器作成者が決めた「特定の行為」を行う必要があります。大抵の魔導兵器の場合、「指定されたパスワードを口にしながら、特定のジェスチャーを行う」になっています(バトルテックのメックの識別方式と同じ)。ものによっては「魔法の素質が必要」などといった、使用者を限定するために生まれつきの素質を条件としている場合もあります(頭の悪いヤツに使われないための処置)。 複数の者が制御エリアに殺到し、操縦権利の「取り合い」をした場合、最初に行為を終えた者が操縦者となります(敏捷力の即決勝負でもして下さい)。 基本的に魔導兵器の制御全般は、封入された魂が行っているので、操縦者は運転業務を含む兵器の制御を「命令」するだけです。 ただし、操縦者がある程度の仕組みを理解しているのであれば、魔導兵器が取るべき動作を細かく指示する事で、多少の運用効率上昇が見込めます(「船首をあげろ」とか「右のバラストを捨てろ」とか「左舷弾幕が薄い!何やってんの!」等)。操縦者がその魔導兵器の扱いに慣れており、〈指揮〉判定に成功すれば、魔導兵器が行う移動の動作(飛行要塞なら〈飛行〉、潜水艇なら〈水泳〉、多脚戦車ならば敏捷力)や、魔導兵器自身が操る搭載火器の射撃判定に+2の修正を与える事が可能です(「手動」の火器には適応されません)。逆に判定に失敗したら、-2修正を受けて判定せねばなりません。 運行システムは通常、素人でも大丈夫なように優秀に作ってあります。慣れないうちは下手に介入しない方が良いでしょう。 なお、魔導兵器は自身の「目」と「耳」から見ている光景を、操縦席にあるテーブルなどに《幻影》と《作音》の呪文を使って疑似映像をリアルタイムで見せる事ができます(SF作品などで登場する、いわゆるホログラム映像のようなものです)。そのため、操縦者は魔導兵器の中から直接外を見る事ができなくとも、外部を確認する事が可能です。 [プロトコルの変更] 魔導兵器の名称や操縦者認識のパスワード、自律行動時の設定、習得技能の追加・変更などの「魂」の設定を変更したい場合は、製作者が制御エリアに立ち、命令する事で変更する事が可能です。 これらを行う権利者を「マスターアカウント保持者」と呼びます。初期状態では、作成者1人がマスターアカウント保持者となります。 [マスターアカウントの譲渡] 上記の「マスターアカウント」は、作成者以外にもう1人、作成者が任命した者を権利者にでき、通常は合計2名までとなります(製作者が魔化の段階で人数を決められますが、あまり多くする意味はありません)。 作成者が3人目の権利者を指名した場合、2人目の権利者が権利を喪失します。また、作成者から権利を譲渡された2人目が、他人に譲渡する事も可能ですが、この場合、2人目は自身の権利を失い、新規権利者に保持者が移ります。つまり、どんな状況でも所有者となるのは作成者+1名までです(作成者が寿命などで死ねば、譲渡された1人のみになります)。 作成者と現在の権利者は同等の権利を持ちますが、運用面で意見の相違により権利を争った場合、自動的に作成者の命令が優先されます。 アカウント保有者たちが誰にも譲渡せぬに全滅した場合、魔導兵器自体はパスワードを知る者がいる限り、下位の一般ユーザーアカウントでも運用し続けられますが、以降は設定変更ができなくなるため、運用に支障をきたすかもしれません。例えば、古代遺跡で発掘された製作者不明の魔導兵器などが分かりやすい例です。 さらにパスワードまでが忘れ去られると、誰も動かせなくなるといった状況に陥ります。 [権利者の追放] マスターアカウント保持者の権利を抹消したい場合、作成者が命じるか、権利者が制御エリアで自ら権利を放棄する事を宣言すれば抹消できます。 あるいは、権利者を直接殺害するという方法もありますが…。 なお、作成者に関してのみ、マスターアカウントの権利を放棄できません(通常のゴーレムの所有者と同じで、ゴーレムは決して創造主を裏切れません…一種の「呪い」とも言えます)。そのため、魔導兵器製作者が生きている間は常に2人目の権利者が発生する可能性があります。 [魔導兵器の機能停止] マスターアカウント所有者は、対象の魔導兵器を永久に機能停止させる事も可能です。この命令の実行の際には、魔導兵器の側からも再確認を求められます。 命令が実行されると、魔導兵器は速やかに機能停止し、封入されていた人工の魂は焼失し、本体は残骸として残ります。ゴーレムのように、その場で全体が即座に消えたりはしません…なぜならば、魔導兵器は単一の魔化アイテムではなく、複数の魔化アイテムが組み合わさって構成されているためです。魔導兵器としては停止しても、個々のパーツは魔化アイテムとして機能します(例えば「時間感覚」の特徴を得るために内蔵されていた「《時計》の魔化アイテム」等)。 そのため、停止して遺棄された古代の魔導兵器は、魔化アイテムというお宝が満載した遺物として残る事になるでしょう。冒険者にとって「残骸と化した古代魔導兵器」の探索もまた、魅力的な冒険の1つなのです。 [魔導兵器の「目」と「耳」] 魔導兵器の視聴覚は、特に特殊性能を取らない限り、人間と同じようになります。 目に関しても二つあり、外を見るための《魔法の目》の魔化アイテムがはめ込まれた「カメラ」のような部位が外側に1か所、そして上記の「制御エリア」を監視するカメラが「体内」に1か所存在します(操縦者を認識するためのものです)。 聴覚に関しても、アンテナの受信機のような部位が「目」に付属して一か所ずつ配置されています。 巨大な艦船型魔導兵器の場合、魔導兵器自身が機体内部(自分の体内)を直接見る事はできません(人間が自分の体内を見れないのと同じです)。もし、内部にも監視用の追加カメラを置きたい場合は、「全周視界」(25cp)か「レーダー感覚」(50cp)の特殊性能を獲得すれば、体内全域を魔法で探知している扱いになります。あるいは「余分の目玉」(15cp+2cp/L」で船内の特定の場所を監視する事も可能です。 |
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[魔導兵器の射撃] 魔導兵器自身の制御下にある特殊能力は、人間が射撃するのと同じように扱います。「移動可能」の増強が施してあれば、移動しながらの射撃も可能です。移動中の射撃は「走りながらの射撃」と見なされ、-2の修正を受けます(ベーシック完訳版p153)。特殊能力は射撃呪文や妖術と同じで、発動と射撃はターン冒頭のタイミングで解決されます。 魔導兵器が射撃するのではなく、乗っている人間が携帯火器を使ったり、魔導兵器に備え付けられた「手動」の限定が施された特殊能力の砲座で射撃を行う場合、魔導兵器が完全に静止状態でないかぎり、「移動する車両からの攻撃」(ベーシック完訳版p175サイドバー)と見なされ、「ドライバー以外が手持ち武器で射撃」となるので-2の修正を受けます。 発動と射撃のタイミングに関しては、「手動」であっても妖術と同じくターン冒頭とします。 まとめると、誰が射撃するのであれ、魔導兵器が移動中の射撃には-2修正がかかると覚えておけばよいでしょう。これに加えて、距離修正と目標のサイズ修正(次項参照)がさらに加算されます。 [魔導兵器に対する射撃、部位狙い攻撃に関するルール] 対象の魔導兵器が「巨大」の特徴を持つ場合、そのレベル分だけ命中修正にプラスされます(実際は、対象の「全長」でサイズを図るのですが、魔導兵器によって形状が大きく異なり、「全長」の算出が非常に煩雑になるので、ここでは簡略化されたルールにしています)。 例えば、「巨大8レベル」の大型艦船タイプの魔導兵器の胴体を狙う場合、普通に撃つだけでも+8修正を得られます―――距離が近ければ、「狙い」をつけなくても当たる事もあるでしょう。 魔導兵器に対する部位狙い攻撃は、その部位が存在する限り有効です。 ただし、特殊能力(妖術)での部位狙い攻撃を行う際、(「ピンポイント攻撃」の増強が為されていない限り)ペナルティが倍になる事に注意して下さい。そのため、魔導兵器同士の撃ち合いで部位狙いを行うのは辛いはずです(撃ち合う距離からして距離修正もかなり大きいはずです)。 また、部位狙いでもサイズ修正は加算されます。例えば上記の艦船(巨大8レベル)の「カメラ・アイ」(=目)を狙う場合、目を狙う際の修正-9に+8されて-1で狙えます―――ただし、上に書いたように、特殊性能で部位狙いする場合、修正が倍になる事を忘れないでください。今、挙げた「巨大艦船のカメラ・アイ」を魔導兵器のバリスタなどで狙う場合、部位狙い修正が倍になるので、実質-18修正に+8されて「-10」が最終修正値になります。これに距離修正も付いたら……よほど精度レベルが高くないかぎり、ほとんど当たらないでしょう。 魔導兵器への部位狙い攻撃に関するダメージ計算は、生命力ではなくHPを基準として下さい。例えば「生命力の2分の1のダメージを与えると翼が使えなくなる」といった部位狙い効果の場合、生命力ではなくHPの2分の1となります。 [魔導兵器のヘクス表示] 魔導兵器の形状は千差万別で、人型とは限らず、むしろそうでないものの方が多いでしょう。基本的なサイズは「巨大」の特殊性能で記載した内容となりますが、体積が変わらない範囲であれば自由に形状を変更しても構いません。 例えば、巨大2レベルで5へクス・高さ6mの魔導兵器の場合、高さを半分にする代わりに幅を倍にすることで、大きさ10へクス高さ3mの大型トラックのような横長の形状に変更する事が可能です。 |
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これにより、細長い艦船型の魔導兵器も、比較的低い体力で再現できるはずです。 また、飛行に必要な大きさの翼はこのサイズ計算には入ってないので、「身体補助パーツ」や「攻撃部位」の大きさまで含めて全体サイズを考慮する必要はありません。とりあえず「本体」(胴体部分)のサイズさえ再現できれば、付属部位のサイズは無視して構いません。 [魔導兵器の重量] ルールブックの「巨大化」の項目には、「体重も単純に倍化していって下さい」とあるのですが、このルールをそのまま鵜呑みにすると、早々に矛盾に突き当たります。 例えば「巨大」9レベルの場合、体力650・大きさ10へクス・身長20mとなり、ルールの記述で体重を求めると1t(1000kg)になりますが、ここで「ベーシック」の象の項目をご覧下さい……象は体力300・大きさ10へクスですが、体重は優に6t(6000kg)を超えています(笑)。要するに、体重は純粋に体力から換算したほうがリアリティがあるという事です。 ガープスでは、体力20以降の体重を算出する方法がないため、単純に同じ体力の動物の体重を適応するという手が有効です。例えば、体力30の小型のラバとポニーの体重は400kgと、見事に一致しています。なので、体力に応じた体重を動物から換算すると良いでしょう。 また、体を構成する物質の比重によって重さも変わってきます。動物の体重は、同じ体積の水とほぼ同じ重さですが、例えば鉄など金属の場合、おおよそ5倍程度の体重になります。材質に応じて、体重に各物質の比重をかけると、よりリアリティのある体重になるでしょう。 ただし、艦船型の魔導兵器などの場合、外装は金属でも、中身はほとんどスカスカで何もない空間で占められており、内部が肉でみっちり詰まった同じサイズの通常生物と、重量的にはあまり変わらないといった事があるかもしれません―――例えば、大型の石油タンカーが水に浮かぶのも、中身がほとんど空洞で軽い空気で満ちており、船体が押しのけた水の体積から発生する浮力の方が、船舶の重量を上回るためです。 このように、体重の厳密さに関してルール上で追求し始めるときりがないので、リアルの似たようなサイズの艦船の重量をネットで調べて適応するのが無難です。 [魔導兵器の資産価値と所有に関するルール] 魔導兵器は、作成の過程で多くの魔化アイテムが組み合わされて製造されるため、単純にエネルギーコストからの算出では表現できません。かといって、「こういう魔化アイテムが●個使われています」といった、マイクラの作業台でアイテムを生成するかのごとく、原材料や部品の詳細を設定するのは、それこそリアルで機械製造に関わっている人でないと、詳細を決めるのはほとんど不可能に近いでしょう(少なくとも管理人はお手上げです)。 そのため、非常に簡略化した価格計算式を挙げておきます。 簡略化した魔導兵器の価格計算式は「魔導兵器のCP総計の二乗×25ムーナ」とします。例示として、いくつかの例を挙げます。 200cpの魔導兵器:$1,000,000 350cpの魔導兵器:$3,062,500 500cpの魔導兵器:$6,250,000 600cpの魔導兵器:$9,000,000 800cpの魔導兵器:$16,000,000 1000cpの魔導兵器:$25,000,000 1200cpの魔導兵器:$36,000,000 1500cpの魔導兵器:$56,250,000 「高すぎる!」と思われるかもしれませんが、ルナル世界は100点のパワーストーンの取引価格が$2,000,000で、「極めて強力な組織の後援者(小国家規模)」の保有資産の総額が$1,000,000,000程度の世界です。その経済規模からすれば、こんなものでしょう。 当然ですが、これを個人で所有するのは「財産」のルールからすると不可能です(「富豪」でも$100,000しか持てない世界です)。 そのため、こういった財産は「法人」が所有し、その組織に所属する人間が共同管理するのが普通です―――例えば中世の海上帆船は、個人で所有するのは到底不可能なので、それを建造した職工ギルドの職人たちや、船舶利用権を持つ商人(複数)、船を動かす船長などで所有権を「分配」していました。 PC(プレイヤー・キャラクター)として、魔導兵器の所有に関わりたい場合は、「地位レベル」を上げて軍人キャラクターにするか、冒険者であれば魔導兵器を有する「後援者(組織)」を取得する事で表現する事になります。 「毎回の冒険で使いたい!」などとワガママを言うのであれば、「中堅組織の後援者( +15cp 資産額$10,000,000/標準資産額を超える装備の配給+10cp)」で25cp(×登場頻度)を支払えば、500cp程度の魔導兵器($6,000,000)なら支給して貰えるかもしれません―――後援者は、地方の魔術師団あたりでしょうか。 もし壊したら、《奴隷》の呪文か何かをかけられて、弁償するために一生使役されそうですが… [CPを支払って個人所有する] 魔導兵器を所有するもう一つの手段として、「妖怪のしもべとして個人所有する」手法があります。これは主に〈多足のもの〉に適応されるルールです。 また、「独占前提」で1人で魔化の儀式を行い、全生涯をかけて作った!…と主張するのであれば、ウィザード個人がこの方法で取得しても構いません(ウィザード以外の種族は不可)。 魔導兵器に限らず資産価値というのは、万人が扱える事が大前提です。「共通の価値」を持つからこそ「価格」が設定され、取り引きの材料となります。 しかし一方で、〈多足のもの〉が発明した巨大兵器というのは、再生産ができず、発明した本人にしか理解・運用できないといった事が往々にしてあります。そういったものは、発明者本人にとってはとてつもない額の資産かもしれませんが、赤の他人にとっては資産価値ゼロの、ただのガラクタに過ぎません―――つまり、そういう「作った本人にしか価値がない」資産というのは、「財産」ではなく「しもべ」としてCPを消費して所有するのが妥当です。 以下は、CP換算で所有する場合の価値を挙げます。 200cpの魔導兵器:30cp 350cpの魔導兵器:60cp 500cpの魔導兵器:80cp 600cpの魔導兵器:100cp 800cpの魔導兵器:140cp 1000cpの魔導兵器:180cp 1200cpの魔導兵器:240cp 1500cpの魔導兵器:300cp 上記は「登場頻度:常に登場」で計算されています(妖怪ではないただの資産なので、登場頻度が「いつも」以外になる事はないでしょう……多分)。 |
[編集手記] ルナル・サーガ小説やリプレイの後半に登場する巨大魔法兵器関連が、「妖魔夜行」のルールで動かそうとしていたのは分かっていました。管理人個人としては、安易に「ガープス・ウルトラテック」(未訳)などに走らず、敢えて「妖魔夜行」の器物妖怪として兵器関連を表現しようとした部分にはずっと興味があったので、それを今回、自前で具体的に再現しようと思い、作成してみました。 これも結構昔から考えていたんですが、具体的に「どの程度の体力が適正か」で悩み続け、なかなか形にできずにいましたが、ガープス第4版で車両や船舶の具体的な体力の数値とか出てるのを見て、それを参考に作ってみました。 ■基本セット 魔導兵器基本セットですが、あれこれ調整するうちに上手い具合に100cpになってくれたので、これなら器物妖怪を作る感覚で兵器を作れる!…と喜んだのも束の間、実際に作ってみると、輸送重量の関係でとんでもない量のCPが必要と分かりました。 とてもではないが、350cp程度では個人携帯装備の延長としての魔導兵器くらいしか作れない事が判明しました―――やはり、PCとしての妖怪では当たり前のように使われる「妖怪時のみ(-30%)」の限定が、全体のCPコストのダウンに大きくつながっていたようです。 セットの内容ですが、妖怪とはかなり大きく異なっています。主に、ガープス第4版に記載されている「AI」と「オートマトン」の種族共通特徴を導入しています。また、マジックのゴーレムやアンデッドが「HP0で自動的に停止」するのを表現するのに「百鬼夜翔」で登場した「即時退場」(-40cp)という弱点がちょうどその趣旨に合致しているので適応しました。 ■「追加体力」のルール ガープスに関する質問箱が運営されていた時期のグループSNEのサイトにて、「わざわざCPを支払って巨大化するメリットがあまりに乏しいので、もっとリアルに大きいことによるメリットを再現すべき」という提案が投稿者の一部から為された結果、「巨大化2レベルごとに移動力が+1される」「巨大化1レベルごとに腕と足の長さも1へクス伸びる(白兵距離の延長)」といった追加ルールが加わり、それが「百鬼夜翔」の正式ルールとして採用された歴史があります。 当サイトでも、この部分は追加しないと巨大なボディを持つメリットがないと思ったので、このルールを採用しています。 ■運搬量の問題 ガープス第4版キャンペーン(p440)に記述されている中世の船舶(コグ船)のデータによると、体力147、積載量60t(60,000kg)とあります―――言うまでもありませんが、通常の(人間基準の)荷重ルールだと、体力147程度では60tもの重量物を載せて移動できません。 ですが実際問題として、最大積載量まで積み荷を載せて運行するなど危険極まりない行為ですし(本格的な貿易航海が始まった黎明期ですら、積載物の運搬量はギルドの法律でかなり厳密に決められていました―――沈没したら船の所有者たちが大損して元も子もないからです)、当サイトでは魔導兵器にマウントされた装備の重量を差し引いた分の余剰積載量が、体力×10(「荷重拡大」を持っていれば×15)の範囲内であるという認識になっています。 確かに、運べる積み荷は通常の船舶に比べるとはるかに少ないものの、操縦は魔導兵器自身が自動で行ってくれて、しかも風や海流の影響を受けずに自由に移動できる高い機動性というメリットを考慮すれば、TL3の環境下では積載量のデメリットなど消し飛ぶほどの利便性があると思われます。 ■「ダメージボーナスなし」の歴史 おそらく妖魔夜行でシステム的に大きな改変を求められたのが、「ダメージボーナスなし」の妖力かと思われます。 そもそも「切りや刺しのダメージボーナスがない身体」というものが、しっかり概念的に説明されてなかったのが問題の発端でした。で、一部のガープス・ユーザーが「ダメージボーナスがない=内蔵とか脳とか重要器官もないと考えるのが妥当」と主張し、その主張は部分的に受け入れられ、紆余曲折あって「百鬼夜翔」の内容に収まってます。 このサイトでは、「重要器官や脳がなくなる代わりに、切り・刺しダメージボーナスは残る」という-75%の限定バージョン(10cp)を採用しています。 実際のところ、現代の最先端を行く複雑な電子機器などには、人間と同じく重要器官や脳に相当する繊細な部分は存在するので、機械=重要器官がないとはなりませんし、身体を構成する素材が鉄の塊ではなく、プラスチックやシリコンなどの「人体とよく似た性質を持つ物質」で出来ている場合、「切り」「刺し」のダメージボーナスも普通に有効かと思われます。 ですが、魔導兵器は「固い物体の塊に人工の魂を封入して生き物のように振る舞わせてる」というシステム構造なので、そもそも重要器官などのように「極端に身体コントロール制御に集中特化した部位」はないと考えるのが妥当です。なので、そのように処理しました。 ■「個別連動」は軍事オタクの夢 管理人は「妖魔夜行」時代から、戦車や戦艦などの乗り物系の妖怪を作るのが好きでしたが、「異なる種類の火器を同じタイミングで使うルールがない」事にずっと不満を感じてました。「妖怪伝奇」で「連射」「連動」および「独立連動」の増強が追加されましたが、「二つの異なる攻撃妖術を同じターンに個別で発射する」ルールは、百鬼夜翔になっても相変わらず実装されませんでした。 で、結局「こうなったらもう自前でルールを作るしかないな」と考え、今回の「個別連動」(+40%)という増強を作るに至りました。この増強をすれば、「バリスタ(刺し増強が為された石弾)とカタパルト(曲射増強が為された石弾)を同時に撃つ」とか、「主砲(石弾)を撃ちつつ、敵の妖術を対空ミサイル(群れの召喚)で「止め」る」いった性能も再現可能です―――効率的に考えた場合、それが有効かどうかはかなり微妙ですが。ただ、兵器の「再現性」を考えた場合、やはり必要な増強だと思います。 ■「手動」はメカ・マニアのロマン ルナルのリプレイに登場した魔導兵器は全てそうなんですが、魔導兵器に搭載されてるバリスタとか魔導砲とかを撃つ際、乗組員の〈砲術〉技能で判定されてるんですよね。なら、そのルールも別途で作らないといけないことになり、「手動」(-100%)の限定を作りました。魔導兵器自身の管制下ではなくなるので、この限定を取った場合に限り、精度レベルも撤廃されます。 代わりに、侵入者がそれらの兵器を乗っ取って、自身に向けて攻撃をしてくるという大きなリスクが加わることで、限定としての調整がなされています。 |