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最後の使者 |
夢の世界の出口、北の果てに到達した。 |
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この曇り空の世界において、ひと際濃く暗雲が垂れ込めたその地には、一つの祭壇と、それを守る大柄な守護者が待ち構えていた。 それは、ルナル最強の生き物――― 黒の月最強と謳われるエリート種族トロールであった。 小さな竜巻を周囲にまとい、空中に浮いている彼女は、なぜか水着のような露出度の高い衣装を身に着けており、ほとんど裸に近い恰好である。手には雷光を備えた巨大な槍(グレイヴ)を持っていて、武器はいかにも戦闘を想定しているが、鎧の方はおおよそ戦いに赴くような恰好ではない。 |
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トロールの女 「わたくしは『闇風』のバルバリシア。 この夢の守護者よ。 ――あなた、この夢の住人ではないわね? 何者かしら? どこから入り込んだの? 答えなさい!」 君は自分の名を名乗り、入ってきた経緯を正直に答えた……答えさせられた、といった方が適切か。君のこの夢での「役割」上、答えるべきだと心理的誘導があったのは確かだ―――おそらく、主催者のエフォメラが描いた脚本の影響だろう。 闇風のバルバリシア 「あいにくだけど、 この夢は1体の風の元素獣が見ているもの。 他人がどうこうできる類のものではないわ。 ――ーなるほど。 どこぞの月の干渉によって、 一部で部外者が干渉しているのは 感知していたけれど、 あなたとその主催者とやらが元凶なのね。 …でも、あなたたちにとっては残念な事だけど、 夢の主は「目を覚ます」事を良しとしていないのよ?」 |
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―――なぜだ?君は問うた。 闇風のバルバリシア 「この夢の主は現実世界に戻れば、 何一つ、望みがかなわなかった世界へ戻る事になる。 そこは、苦痛だけが満ちた絶望の世界――― そう、黒の月に等しい 素晴らしい場所と言えるわ! ……でも。 黒の月の種族でない者が、 わざわざそのような場所へと戻る意味など、 ないのではなくって? もっともその場合、 安易にここへ踏み込んでしまったあなたたちもまた、 永遠にここで足止めとなるのだけれど。 ほっほっほっ……」 |
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「それでもなお、 夢の主を不幸にしてでも現実に戻りたい! というのであれば、 力尽くで押し通りなさい…… 「善」を標榜するあなたたちに、 それができれば、だけど。 ほっほっほっ……!」 しかし目の前にいるトロールの女性は、元素獣が見ている夢の産物でしかなく、最も大きなマイナス・イメージがトロールの番人という形で現れているに過ぎない。だが、最低350cpで作成されるトロールであることには違いない。100cpの君がまともに戦って、勝てるような強さではない。 ―ーーしかし、君の返答は一つしかない。 |