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■第18節 The Lost Universe |
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このシナリオは、アメリカ航空宇宙局(NASA)が2024年3月5日にサイト上で公開したTRPG用シナリオ「The Lost Universe」をベースにしており、当サイトのルナル世界独自の展開に書き直したしたものです。 |
■プロローグ |
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トルアドネス帝国ペテル=トルア公国領パルマ市の特命領主にして英雄女剣士〈剣の巫女〉アリサ=ランディール(350cp)が、市の上空550kmの衛星軌道上に居座っている〈暗緑竜〉イシリアス(火竜ファゾルブ/老年期)に対し、迎撃行動を開始します。 |
アリサは、サリカ神の下位従属神の加護によって「真空耐性」(宇宙空間で活動可)「酸素供給」(「酸素不要」のバリエーション。どこからか酸素が供給される)「マナ集積」(マナ濃度「濃密」として処理)の特殊能力を一時的に得ています。 イシリアスは、自らが仕える〈赤龍〉エリュトロンの加護によって「真空耐性」「酸素不要」「魔力による飛行」「高速飛行L2」(飛行速度4倍)「陽光撃のブレスPL3」(レーザー光線のブレス使用可能)を一時的に得ています。 今回は相対距離だけが重要なので、「高さ」の概念は無視します。初期配置での相対距離は100mです。 |
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イシリアスが先行で戦闘開始。 イシリアスはアリサへの突撃を敢行するため、軸合わせ移動を行います。同時に「高速飛行L2」の妖力を起動。妖力の起動には「集中」も判定も必要ありません。しかし、ONの状態にするのに1ターン待つ必要があります。 |
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対するアリサは、ターン冒頭に封龍剣ラコニウム・ソードの鞘に封じられた《倍速》を起動。これにより、1ターンに2回行動行えるようになります。 倍速の魔化アイテムは、「集中」も発動判定も必要なく、所有者が望めばターン冒頭にいきなり発動させられるのが強力です。 そして、このターンの行動は《すばやさ》の呪文に「集中」。 起動した倍速効果で、さっそくセカンド・アクションが発生。 ターン冒頭に《すばやさ》を発動し、敏捷力+5状態になりました。そしてこのターンの行動は「待機」を選択。突っ込んでくるイシリアスが攻撃範囲に入った瞬間、カウンターの一撃を食らわせるつもりです。 |
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第2ターン。 イシリアスの「高速飛行L2」が起動し、直進移動力が約100メートルに到達。そのままアリサに向かって「体当たり」を仕掛けます。 敏捷力の即決勝負は、イシリアスが成功度9を出したので「これは当たるか?」と思いましたが、敏捷力21に達していたアリサが成功度12を出したために命中せず、巨大な竜はアリサの脇を掠め通っていきました。 その通過時、アリサが「待機」行動によるカウンターの一撃! 移動中は「後退」防御ができない事もあり(第4版のルールを当サイトではそのまま適応しています)、反撃は見事命中!11点のダメージを与えました。 しかし、恐ろしい事が起きるのは、この後でした。 |
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続いてアリサの手番。 通過したイシリアスは、背後20メートルの地点にいたので、振り向いて移動して隣接。「大振り」で攻撃します。ところが―――この大振り攻撃がクリティカル!さらに、クリティカル表の結果が「ダメージ3倍」! …え?「大振り」がクリティカルヒットして3倍ダメージ? そんなん、反則だろ(笑) これにより、なんと79ダメージとかいう意味不明な致命傷を食らわせます。 …いやいや、アリサさん?空気読んで下さいよ?(笑) え?宇宙空間だから空気がない?ごもっともですな… 続くセカンド・アクション。 問答無用で全力2回攻撃を浴びせます。背面を見せているイシリアスは、HPがマイナスになって移動力半減している事もあり、まともに回避できませんでした。1撃目で7ダメージ、2撃目で12ダメージと蓄積していき、HPがマイナス39まで低下。 |
続く第3ターン目ですが… ターン冒頭、イシリアスが何度目かの死亡判定で失敗し、戦闘が終了してしまいます。実質、2ターンキルでした。 アリサ=ランディールの勝利です。 地表に向かって降下したイシリアスの遺骸は、大気圏での断熱圧縮と、地表への衝突時の衝撃によって粉々に砕け散りました。 |
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■本編 |
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[編集手記] 今年2024年の3月5日の話です。 おそらく世界で最も有名なアメリカ航空宇宙局「NASA」が、何の前振りもなくいきなりTRPG用シナリオ「The Lost Universe」を発表しました。それと、こちらはメディアで報道されませんでしたが、3月6日に日本の国立天文台が「サンドキャッスルTRPG」なるTRPGのシステム(!)を発表しました。「日本語版を出した」とあるので、元は英語版なんでしょうかね? …はて? 一体、何が目的なんでしょう?(汗) 頭をひねりましたが、さっぱり分かりません。少なくとも国立天文台の方は「教育目的ではない」と宣言しています。純粋に娯楽として出したと…ならば余計に意図が不明ですよ(笑) な、何を企んでるきさまらー!? …とりあえずTRPGユーザーとしては、これに対して何かリアクションは取りたいと思ったので、NASAの方が発表した「ハッブルたんが奪われるシナリオ」を下敷きにして、当サイトなりのストーリーをでっち上げました。 (原作シナリオの内容) 「The Lost Universe」の原作シナリオの舞台となるのは「エクスラリス」という名称の自由浮遊惑星で、ファンタジー世界なのに天文学が異様に発達した妙な世界です。かつて故郷の恒星系にブラックホールが飛来してきて、それが原因で惑星が弾き飛ばされ、軌道から大きく外れて恒星系から追放されたとか。 …その時点で、全員凍死してるような気もするのですが、なんか魔法で生態系ごと住人を守ったという設定らしいです。個人的には「いくらファンタジーでも、ちょっと無理があるかなー?」と思い、「もうルナル出身の竜が召喚魔法で地球からハッブルを盗んだ事にすればいいや」となり、原作の世界設定の大半はすっぱり切りました。 …NASAの人、見てたらごめん(笑) 原作では、惑星エクスラリスの竜イシリアスがハッブルを盗み、それに呼応してNASA職員の精神がエクスラリスの冒険者の脳に転送され、ハッブルを取り返すためにイシリアスのダンジョン(古代の図書館)を探索するという、シナリオ構造自体は単純な流れになっています。 (当サイト版「The Lost Universe」) まず、主役を当サイトの代表的ヒロイン「アリサ=ランディール」にしました。 …だって、あの天下のNASAが貴重な時間を割いてTRPGとかいうマイナーなジャンルのゲームのシナリオとか書いてくれたんですよ?(笑) ならば、当サイトとしても全力でキャストを組まないとダメでしょう?なので、最強ヒロインを充てました。 シナリオの方ですが、「イシリアスの迷宮に潜って異世界の装置を取り返す」流れを少し変えて「イシリアスがぶっ壊した装置を修復するために、装置の情報を探りに行く」という流れになっています。飛空艇を運用したり、国家レベルの魔化儀式を計画したりと、こちらの方が大きなプロジェクトを扱う特命領主らしい流れになるな、と思ったからです。 その結果、いきなり冒頭でラスボスが倒されてしまいました(笑) ■暗緑竜イシリアス 知識に価値を見い出すタイプの竜で、「戦争再開するにしても、このままだと引き分けに終わるのは分かってる。そこで、銀の月の故郷に探りを入れて、奴らの弱点を探し出そう」という軍師みたいな考えで行動した結果、異世界のアーティファクトに興味を持ち、召喚してみたという流れになっています。ルナルのようなローテク環境の場合、神さまレベルの策謀でもない限り、わざわざ異世界からオーバースペックの宇宙望遠鏡なんて盗もうとは思わないでしょうから。 イシリアスのデータは、ルナルでは最強の「火竜ファゾルブ」をほぼそのまま使ってます。別レポートで登場した「転生竜」アートルムとほぼ同じです。ステータスはもちろん上限値にしてますが、まぁそれでもアリサには勝てませんでした。 なんか最初にやってみたセッションでは、大振り攻撃がクリティカル命中して、そこまでならまだいいんですが、クリティカル表の結果が「ダメージ3倍」と出てしまい、イシリアスは何もできないまま2ターンで死にました…さすがにアレなんで、やり直しても良かったんですが、どうせ雑魚なんでもうこれでいいや…ということに。独自の呪文まで設定したのになぁ?(笑) 一応、作ったデータを下に掲載しておきます。 ■自称「カーディナル」 「大規模戦闘ルール」のレポートでヒロインを演じたリルガ姫その人です。今は、青の月の女神として活動しています。今回はアリサを支援するため、サリカ高司祭の枢機卿という名目で地上に降臨していました。 彼女は神になって間もない「神」初心者であり、1000年の間、青の月に引き籠って修行をしていたおかげで、とりあえずルナルでは神らしく振る舞えるのですが、一方で他の世界の事は何も知らない「箱入り娘」ならぬ「月篭り女神」でして、お友達になったばかりのレア様や赤の月の女神イアに引っ張り出され、ようやく異世界の学習をし始めたところです。 これは生前、自国から出られず、外国の事は全く知らない「国縛りプリンセス」状態だったことのくり返しだったりします。 ■アドル・クリスティンとリリア イースシリーズの主人公と、イース2のヒロインのカップリングです。別ページで書きましたが、管理人は「リリア派」の人なので、メーカーの設定も取り入れた上で、彼女を現役ヒロインに充てました。 私個人の感想としましては、たぶんアドルは最初の冒険で「二人の絶世の美女」という報酬を前払いされてしまったので、それでもう「お腹いっぱい」なんじゃないかと考えています。だからイース5以降は美女に遭遇しても、全然関係が進展しないまま終わる理由になるんじゃないかと。 リリア推ししたのはもう1つ理由がありまして、アドルは晩年、家族と共に過ごして冒険物語の書を書いた、という公式設定があるんですが、その「家族」がいないと後の世にアドルの冒険譚が伝わらないので、妻役として2のリリアを持ってくるのが無難だと思い、このような関係にしました―――でも、彼の記憶で一番印象深かったのは、初恋の女神なんでしょう。 なお、二人が持っている「運命」の特徴ですが、「ガープス・ベーシック完訳版」にのみ掲載されています。運命を敢えてデータとして管理するのもガープスならではって感じですが、個人的にはその辺を触り始めると「予定調和」のシナリオばかりになってしまう気がしてつまらないので、あんまり導入したくない感じです。 ですが、この二人に関しては明らかに女神の加護を受けてる展開の作品が多いので(イース4とかOVA版「イース天空の神殿」とか)、データとして獲得させました。 ■ルフレツィア ファイアーエムブレム「覚醒」のマイユニットです。別のページで、男性のルフレのキャラクターシートを出したので、女性版も出しとこうと思って登場させました。どちらかというと研究に特化してるので150cpながら戦闘力は低く、代わりに「何でも屋」としての能力を重視させています。情報収集は得意なので、軍師としてなら役立つでしょう。 ■〈天空の龍の島〉エリュトロン アリサの宿敵に相当しますが、今は封印されてただの岩の塊です。今回の冒険の舞台となりました。 実はエリュトロン自身は、さほど封印解除に意欲的ではありません。彼は長期間封印されていてヒマなので、たまには現世で戦って憂さ晴らしをしても良いか程度にしか考えていません。彼を崇め、必死に封印解除しようと頑張ってる〈転生竜〉アートルムや〈暗緑竜〉イシリアスに関しても、「力は貸してやるから世を楽しませろ」程度にしか考えていなかったりします。 なお、イシリアスに「異次元視覚」の特徴を与え、ハッブル召喚のきっかけを作ったのも彼なので、実質黒幕とも言えます。 ■葬送のフリーレン 最近、「葬送のフリーレン」というアニメをちらっと見たので、ちょうどウィザードが欲しかったので出しました。MMDモデルはあるみたいなんですが、配布がなされていないので、MMDエディターで適当にモデルをくっつけて作りました…というか、ルナルのエルファは長身キャラなので、原作のフリーレンとは全くサイズが合わない事から、どのみち自分で調整するしかなかったんですな。 原作と同じく相当な年数を生きてるという事で、アリサと同じ350cpキャラにしています。展開によっては彼女と対決するシーンも十分ありえたのですが、二人の性格からして戦いにはならんだろうな、と思い、彼女から別の依頼を受ける形で収まりました。 なお、実際に戦ったらアリサより強いです。彼女は自前で《倍速》を使える上、《凍傷25》と《火炎噴射25》を1ターンに合計5回叩きつけてきます。いずれも3Dダメージという一撃必殺の威力です。そして、アリサは攻撃回数で負けてるので、単純にフリーレンが先にクリティカルヒットを出して撃破してしまう展開が多いです。 一応作ったキャラクターデータを下に掲載しておきます。 ■〈達人〉ドウギ ルナル小説「〈龍〉を守る者」に登場したドワーフの〈龍〉闘士です。小説では理不尽な死に方をする哀れなドワーフなんですが(そもそも小説の「試練」、島で生まれ育った〈龍〉闘士が受けても絶対クリア不可能だろ、これ(笑))、当シナリオでは〈龍〉の力を得て一人前となった彼の晴れ姿を描きたかったので、こんな感じになりました。なお、「〈龍〉の紋章」に関するルールは以下に記しておきます。 「〈龍〉の紋章」を追加した理由ですが、さすがにいくつかの能力は魔法的にフォローしてやらないと、いくらCPを積み重ねても強い格闘家にならないので、魔法的な生得能力を後天的に獲得させるシステムを作る事でフォローする事にしました。実際には「妖力・妖術」のルールなんですが、扱いとしては「魔法」なので「ガープス・マジック」の呪文と相互作用します。無論、マナ濃度が低くなると支障をきたしますし、エネルギーコストにパワーストーンを充てたりもできます。 ■宮廷魔術師長ルツ アリサの冒険仲間にして親みたいな立場でもある、美貌のカルシファード出身魔術師です。当サイトでは何度か登場していますが、キャラクターシート自体は100cp時代のものしか出していません。 主な能力としては宮廷魔術師に必要そうな各種情報操作呪文、アリサの魔化アイテムを作るための魔化呪文に長けたタイプなので、戦闘に全振り気味のフリーレンよりは弱く、現在のアリサの冒険についていくにはスペック的に辛いです。なので、自前で創設した魔術師団の弟子の1人ルフレ♀を派遣しました。 ■青銅の猫ミャウ この世界のミャウは、厳密にはネコではなく猫型ゴーレムです。高所から落っこちると、衝撃で構成素材(青銅)が割れて受け身を取る間もなく破壊されてしまう事から、飛空艇などでの高所の旅を極度に怖がっており、今回も大好きなアリサについていきませんでした。 結果、後半にちょろっと登場するのみとなってしまいます。にゃーん。 ■歌の女神イア 当サイトにおいて、異世界『ブルー・スフィア』(現実世界の地球に相当)を一番よく知っているのは、ブルー・スフィアからは近接平行している世界『アリア・オン・ザ・プラネテス』出身の精霊イアたんなので、彼女に現地でのワープアウト位置調整を担当してもらいました。 なんか、ISSのJAXAモジュールの上を堂々と陣取って歌ってますが、ヒマするとどこでも歌い出す性癖があるようです。 なお、彼女が使用したのは「ガープス・グリモア」に掲載されている《門作成》の呪文で、別に神専用オリジナル必殺技ではありません―――ただし、ハッブル宇宙望遠鏡を楽に通過させるだけのサイズのゲートを作ろうとすると、人間程度ではコストを支払いきれないと思うので、気軽に使おうとすれば神や竜クラスの存在でないと無理でしょう。この呪文を人間が使うのであれば、魔化として固定ゲートの作成に使うのが無難です。 ■ハッブル虚空天眼鏡 ルナル世界では「宇宙」という概念はなく、「風さえ吹かぬ虚空」という名称で言い表されます(ガープスルナル完全版の世界観解説ページでちらっと出てきます)。なので、そこは言い換えないとダメなので変更しました。 あと、望遠鏡自体はドワーフが作った試作品が存在するのですが、現状のルナルのものでは、宇宙の果てを見るには到底スペックが足りません。一方でハッブルは、天眼鏡で字の小さい新聞紙を読むくらいの感覚で、虚空の果ての「壁紙」を覗く事ができます。 で、「天眼鏡」の名の由来なんですが、「人相見が、運命など普通には見えないものまでも見通すところ」から付いた名称であり、「ドワーフが作った望遠鏡でも見えない神の視点で虚空の果てを見る」部分から、望遠鏡よりも天眼鏡の名称の方がマッチしていると考え、「虚空天眼鏡」という名称になりました。 そんなハッブルたんですが、《ゴーレム》の呪文で人工の魂を封入され、妖魔夜行の妖怪のごとく「地球の人々の想いが具現化した」形で、意志や人格が発生しました。しかし、魔導兵器のようなコンソールを置くスペースなどないので、別途でアイアンゴーレムが製造され、そこがコンソール扱いになるという変則処理で対応しています。 このゴーレムのPMDモデルは、映画「インターステラー」に登場する自律型ロボット「TARS」(たーず)が配布されていたので、そのまんま拝借しました(さすがに名前の部分は画像を差し替えましたが)。また、しゃべり方とか性格もTARSを真似ています(名称元となったエドウィン・ハッブル博士も第1次、第2次世界大戦で軍歴があり、TARSの経歴と似てます)。 最後は、アリサの策謀(?)によって「この宇宙ではない別宇宙の天体画像を多数持ち帰った」結果、「ハッブルは本当に異次元を旅していたのではないか?」とNASA職員たちに疑いをかけられ、マルチバースを検証する上での貴重な被験者という名目で延命される事になりました。 ―――という管理人の妄想話です。実際にそうなれば面白いのになぁ…(笑) |