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■第16節 投石兵
 弓と同時代に発明された射撃武器の1つにスリングが存在する。いわゆる石を投げる武器だが、紐を使う事で素手で投げるよりはるかに遠方へ、威力の高い攻撃が行える。単純だが、その攻撃性能は意外と高く、現代でもなおスポーツや牧人の習慣として残っている。
 紀元前、既に発明されていた弓矢だが、発明された当時は威力・射程共にスリングより劣っていたらしく、戦争では弓兵部隊と並んで投石部隊というものが存在したらしい。特に日本では、火縄銃(マスケット銃)や弓矢と平行して投石紐(スリング)が運用されていた記録が残っている。日本では、投石技術全般をまとめて「印地」(いんじ)と呼んでいたようだ。

 なお、TL3のルナル世界においては、「ベーシック」のデータ上でクロスボウが異様に強く設定されている関係から、投石器どころか弓矢すらもかなり存在意義が危うい状態である。さらに追い打ちをかけるかのように、魔法が一般運用されているルナルでは、魔化系呪文《豊穣の角》を矢筒にかける事で「弾丸を無限に供給できる」ため、スリングの数少ない優位性である「弾丸調達コストがタダ同然」というメリットも喪失している。

 ―――だが、そのような環境下においても、敢えてスリングを運用するメリットは存在する。それは「ガープス」というゲーム・システム上だからこそ、浮上してくるメリットでもある。ここでは、そのレアなケースを紹介しようと思う。
■状況
 以下のような状況において、投石器が弓を上回る事がある。
●古代の射撃戦
 まだ弓矢の性能が低く、投石の方がスペックが上だった紀元前の頃のお話。

 弓兵部隊に対し、右手にスリング、左手にシールドを構えた投石兵部隊が用意されたという。
 この状態で撃ち合った場合、シールドを装備していて矢を止めれる分、投石兵部隊の方に軍配が上がったとされる。さらに記録によれば、当時はスリングの方が弓矢より最大射程が長かったといわれる。

 …どこまでが真実だったかは、当時の記録が少なすぎて何とも言えない。しかし、少なくとも「ガープス」のルール環境下では、有効射程内での撃ち合いをすれば、スリングの方が防御面で有利なのは間違いない。
●有効射程距離は気にしなくていい
 〈弓矢〉と〈投石器〉技能は両者共に「難易度/難」であり、技能上の有利・不利はない。ただし、武器の性能にはそこそこ差が存在し、スリングは弓矢に比べると精度で大きく劣り、有効射程も3分の2以下と負けている。
 特にスリング側は、「狙い」行動をとった際に目標値に加算される「正確さ」がゼロなのが痛い。そこを考えると、「ガープス」の環境下ではクロスボウより弱くて立場がないとされる弓矢も、投石器よりはマシである。

 …しかし実際のところTL3の文明社会のおいて、必ずしも「射程が長い=絶対的に有利」とはならなかったりする。

 というのも、TL3の個人携帯火器はいずれも精度(正確さ)が低く、結局のところ
どの射撃武器を使っていても「距離40~50mくらいまで詰めないと、ほとんど当たらない」現実がある。つまり、せっかくの長い有効射程も、命中精度が低いのであまり生かせないのである。そのため、有効射程の話だけをすれば、マスケット銃、クロスボウ、弓矢、スリングいずれの性能も、実は大差なかったりする。少なくとも「ガープス」の環境下ではほとんどない。
 「ガープス・マジック」を導入すると少し話は変わって、光/闇系呪文《鷹目》によって、有効射程目一杯で撃っても判定目標値が現実的な値となり、有効射程が長い側が一方的に有利に展開する。
 ただしこれは「魔術師が同席している」または「射手が魔術師を兼ねている」(または、該当する呪文が使える高価な魔化アイテムを所持している)という特殊な例で、プロの暗殺者や精鋭同士の少数戦闘の環境に限られるため、一般兵士にはあまり関係ない話である。

 リアルでは命中精度の低さを補うため、多人数を動員して面攻撃するように弾幕を張った。確かにそういう戦い方であれば、射程は長い方が有利である。ただ、ガープスでそのような限界射程での撃ち合い判定は、個人戦闘レベルだとほぼ行われないので(威力が低すぎて防具を貫通できず、ほとんど意味を為さない)、今回は無視して良いだろう。


●威力最大
 ガープスの環境下で、スリングの数少ないアドバンテージは
「致傷力を上げるのが楽」「最大致傷力の概念がない」の二つであろう。

 スリングの致傷力は、体力に応じた「振り」ダメージで決定されるため、他の射撃武器に比べると威力向上のためのコスト・パフォーマンスが高い。そのため、高い防護点を持つ標的に対して貫通重視で攻撃するのであれば、スリングという選択肢は十分にあり得る。その上、射程距離も弓矢に迫るものがあるとすれば、言うほど「前時代的な射撃武器」ではない。そのため「命中率重視の弓」「貫通力重視の投石器」という住み分けは、一応出来ている。

 また、弓矢や弩には弾丸のサイズに応じた
「最大致傷力」が存在し、それを超える事は物理的にできない。しかし、質量兵器であるスリングにそういう概念はなく、極端な話、体力20以上のオーガーやトロールが射撃武器を使うのであれば、弓矢よりスリングを使った方が威力は高い事になる。
 なお、これを極端に推し進めたのが攻城兵器で、カタパルトやトレビュシェットといった投石型の攻城兵器は、中世の戦争において主力兵器であり続けた。


●「財産」の節約

 これは、ガープスというゲームのルール上のメリットである。

 ガープスでは、所有する財産すらCPに数値換算し、個人の能力として厳密に計算する独特なシステムである。そのため「低価格・長射程」のスリングは、同じ額の「財産」を持つ者同士で軍拡競争を行った場合、長射撃武器にかかるコストを大幅に下げられるメリットが発生する。
 …で、そうやって得た余剰予算を何に使うかというと、
防具の購入に充てる事ができるわけである。同じ条件下で撃ち合いをするのであれば、やはり高価な防具を装備している方が有利になる。
■対策
 以上の「状況」から、実際の運用を考案する。
●特殊戦闘ルールの運用
 以前のレポート「第7節 長弓兵と弩兵」で使用した特殊ルール「10ターン毎に交互で攻撃するルール」を今回も採用する。
これを互いに繰り返し、最終的に半数がやられた側が逃走状態となり、敗北とする。
 なお、具体的には以下のようなルール変更がなされる。

(マップに関するルール)
▼10ターン分の行動を連続して行う。これを敵味方が交互に行う。
▼相手との距離は最初から決まっており、「移動」行動は行えない。
▼「移動」を選択した場合、逃げるにせよ相手に接近するにせよ、このルールでの戦闘は即終了とする。

(戦闘処理に関するルール)
▼シールドを所有している場合、1ターンにつき「止め」が1回行える。よって、敵の射手単体からの射撃は毎回「止め」で対応できるものとする。
 ただし、同ターン中に複数の射手から同時射撃を受けた場合、「止め」は1回だけのルールに基づき、2発目以降の回避で「よけ」を使う必要に迫られるだろう。なお、防御呪文による射撃防御に関しても、同様の使用回数の制約が発生する。
▼〈準備/矢〉などの弾を準備する技能は、15レベル以上あれば判定不要で成功するものとする(判定省略による簡易化)。
▼ダメージにより「衝撃」の効果を受けた場合は、処理の仕方は2通りに分かれる。
・雑魚の集団戦では効果無視(管理が面倒すぎるので)。
・少数での対決の場合、自身のターン中(10ターンの間ずっと)、攻撃や呪文の判定値に-1のペナルティ修正が加わり続ける(「痛覚過多」の特徴がある場合は-2)。「我慢強さ」の特徴があれば、これらのペナルティを一切受けない。
 なお「衝撃」のペナルティ値は、受けた攻撃の回数やダメージ量は関係しないものとする(1ダメージでも受けると「衝撃」効果が発生するが、どれだけ大量のダメージを受けようとペナルティ値は一定である)。
▼負傷による「朦朧」「転倒」の効果は一切無視する(判定省略による簡易化)。
▼生命力がゼロ以下になった時点で戦意喪失し、気絶判定の成否に関わらず戦線から離脱するものとする。
■サンプル・キャラクター
 今回、投石兵部隊を率いるために作成されたキャラクターが以下である。
【基本設定】
 「ファイニアの聖女」の異名で知られるフラウスは、グラダス半島ファイニア低地王国の北部海岸沿いに位置する小さな火山島「ロードス島」出身のガヤン神官戦士です。

 ロードス島の地質は農業に向いておらず、村で唯一の農家である彼女の実家は、薬やエリクサーの素材となる薬草の栽培で生計を立てており、村では裕福な家系のお嬢さまでした。幼少期の彼女は、いつかサリカ司祭として村を盛り立てていくつもりだったのですが、彼女が10歳の頃、司法神ガヤンの啓示を受けました。その内容は「農夫たちを導く先導者となり、この国の食料事情を安定させよ」というものでした。
 サリカ司祭になる予定だった彼女は、サリカではなくガヤンが声をかけてきた事に戸惑いました。しかし、啓示と共に《光》の呪文(光/闇系呪文の初歩)を下賜されたため、もはや選択の余地はありません。また実際問題として、彼女のように積極的に自己主張して社会を変革していくタイプの人材は、聞き上手である事が求められるサリカ信徒としては不向きな性格であるのも事実でした。
 村は啓示を受けた彼女を聖女と認め、少ない財産をはたいてファイニア本土の王都イルゼのペローマ学院へと留学させました。そして15歳の頃には、武器も魔法も扱えるエリート魔法戦士となります。

 しかし、そんな彼女に更なる試練が課せられます。
 ファイニアは赤の月信仰が有力な国であり、青の月の信徒は肩身が狭い状況で、本来青の月の信徒が携わるような国家の役職は、赤の月信徒が占めている国です。
 そんな環境において、ガヤンの神殿は表で活躍するのを諦める一方、司法を司るのを良いことに裏で超法規的活動を行いながら、汚職に手を染めて利益を貪る腐敗した組織へと変質しており、ガヤン本来の教義(法による正義)に対して誠実に生きようとする彼女は、神殿内では鼻つまみ者でした。
 そして、余計なガサ入れをして不正を利用した利権構造を破壊しにかかる彼女は、貴族や神殿上層部からは嫌われ、彼女の意志をくじく目的で、誰もやりたがらない政府の仕事依頼を率先して押し付けられます。それは、「サリカ神官戦士団を率いて隣国との国境ギリギリを徘徊し、隙あらば領域侵犯して農地を奪え」とか、「ジェスタ傭兵隊を率いて〈大堤防〉でのディワンや〈姿なきグルグドゥ〉との抗争メンバーとして参加せよ」といった、他国ならば裏や闇タマットのクズがやるような汚れ仕事でした。
 正義とは程遠い仕事を押し付けられ、理想と現実がかけ離れ過ぎた状態に置かれた彼女は、やがて精神的に擦り切れ、攻撃的な性格へと変貌していき、神殿内では真面目すぎるのが原因で孤立し、自分自身に限界を感じ始めました。
 通常ならば、この時点で祖国を見放して他国へ逃げるのでしょうが、司法神からの啓示を重く受け止めている彼女にはそれもできず、やがて「この国を真に救うには、全ての体制をひっくり返せるだけの強力な覇王が必要だ」などという危険な思想に染まり始めています。

 一方、通常の国家では支持基盤となる農業がほとんど成立しないこの国のサリカ神殿では、農業改革を行い、一般庶民を救おうと奔走する彼女の評判はとても良く、サリカ信徒だけは全面的に味方してくれています。しかし、サリカ神殿は抗争能力が高いとは言えず、彼女の助力になるかは微妙なところです。果たして彼女が受けた啓示を達成する日など、このファイニアにやってくるのでしょうか…?

 キャラクターの元ネタは、「ロードス島伝説」に登場する「ファリスの聖女」フラウスです。

【設計思想】
 《怪力》の呪文をフルパワーで発動し、体力18でメイスやモーニングスターを振るう事で準備時間をゼロにして毎ターン攻撃できるようにした、パワー重視のガヤン魔法戦士です。
 このコンボはスリングにも適応でき、体力18の状態で投石を行えば、威力は「叩き3D」に達します。精度の低さは《鷹目》の呪文でフォローし、距離修正を「-4」で固定して下さい。この状態で「狙い」を付けて抜撃ち修正を打ち消せば、どうにか目標値10(成功確率50%)で射撃が行えます。さらに命中率を上げたい場合、余分に3ターン狙いをつければ目標値13まで上げられるので、これでほぼ命中させられるはずです。
 ちなみに、呪文に必要なコストは内蔵型パワーストーンで補います。《怪力》なら2点引き出し(4点軽減)、《鷹目》なら1点引き出し(2点軽減)を行う事で、実際の疲労は7点で抑えられるはずです(残り疲労点が3点以下になると移動力が半減するので注意)。

 なお、彼女がソードブレイカーを使わず、敢えてサリカ信徒が好んで使う農機具派生の武器を使っているのは、本当はサリカ信徒になる予定だった事と、ファイニアのガヤン信徒がおおむね腐りきっていて愛想を尽かしたため、神殿武器を使う事を拒否したといった事情があります。
■実戦
 ――――舞台となるのは、リアド大陸南東部のグラダス半島。

 国土の大半が森林に覆われた、林業の盛んなトリース森林共和国と、国土の9割が海抜高度ゼロ以下のため、海水による塩害でまともに農業を営めないファイニア低地王国。この2国の国境付近で起こった話である。
 現在のグラダス半島は「バドッカの盟約」に基づき、表向きは戦争しない事になっている。

 しかし、TL3の通信網が未発達な世界において、国境付近における「世間には見えないレベル」での小競り合いなどは日常茶飯事であり、実効支配を示す国境線の書き換えは常に起こっている。そういった不穏な情報が、すぐさま国全体に伝わらないというだけの話だ。

 このような環境において、「攻めた方が悪い」などという、現代地球のような奇妙な倫理観など存在しない。
 この世は基本「弱肉強食」。犬や猫と同じで、「攻められて縄張りを守れなかった方が悪い」のだ。
 …何やら「主人公の妨害に失敗した悪の美形幹部の申し開きシーン」みたいになっていますが、簡単に説明しておきます。

 フラウスは、サリカ神殿所属の「開拓神官兵団」なる民兵集団を率いて、お隣のトリース森林共和国の国境ラインを超えた事があります(詳細は「第3章 ルナル世界の考察「第15節 柔は剛を制すのか?」を参照のこと)。
 その目的は「国境に隣接する領土を少しだけでいいので掠め取って勝手に開墾し、畑を運営し続ける事で実効支配を確立し、正式に自国領土だと主張する」といった、現代地球でも主に発展途上国がやっている「せこい侵略方法」です。

 問題は「〈バドッカの盟約〉にかからないのか?」なんですが、盟約がどの規模の戦闘行為を「盟約の反故」と見なすのかによります。詳細設定がないので、当サイトでは「この程度ならTL3の文明社会では日常茶飯事なので見逃され、「戦争」とは見なされない」という事にしています。
 今回、フラウスが招集した部隊は、彼女の故郷ロードス島の傭兵部隊で、「ロードス投石紐兵」と呼ばれています。
 ファイニア領ロードス島は小さな火山島で、主に漁業で成り立っているため、住民の多くはリャノ信者の漁師です。その中に、海賊などの外敵からの島防衛を専門とする少数のジェスタ信者の戦士たちがいます。
 ロードス島は全体が火山地質であるため、十分な数の弓矢を作れるほどの樹木が生えておらず、代わりに動物の皮を用いた投石器(スリング)が使われています。これをメイン武器とした「投石兵」が、ロードスの戦士たちのデフォルトというわけです。
 かつては海賊相手に投石兵が活躍しましたが、現在は対岸のすぐ近くにファイニアの海軍港があるため、島が単独で防衛する事はほぼなくなりました(軍港のお膝元な上、お世辞にも裕福な島とは言えないので、海賊は来なくなりました)。
 そんな事情から島は平和になりましたが、代わりに戦士たちはファイニアの傭兵として、本土に出稼ぎに出るようになりました。

 現状、ファイニア本土で弓矢やクロスボウ、それらの矢を無限に供給できる《豊穣の角》が魔化された魔法の矢筒などを購入すればいいので、投石器にこだわる必要性などなくなったロードスの戦士たちですが、万が一に備え、ある程度の独立性を維持しておく観点から、いまだにスリングをメイン武器としています。
 メンバー全員が投石をメインとする正規の傭兵隊など、少なくとも今日のグラダス半島では非常に珍しいため、傭兵業界ではちょっとした名物部隊となっています。「時代遅れの武器を使うウケ狙い集団」と笑う者も多いのですが、言うほど投石器の性能も悪くなかったりします。今回は、それを実践してみたいと思います。
 …どうやらフラウスの国境侵犯作戦は、既に敵に察知されているようです。

 実はタレコミを命じた黒幕は、先ほどフラウスに作戦行動を命じた上司であるガヤン高司祭本人だったりします。
 司祭としては、「政府の命令に応じて、フラウスの部隊に越境させてトリースの衛士隊を殴りに行かせるが、あまり深入りされて相手に本気にされても(〈盟約〉を発動されても)困るので、事前に敵に位置情報を知らせて進軍を止めてもらう必要がある」「トリースに対しては真相を伏せ、「事前に危険を知らせてやる」事で恩を売る(金を貰う)」といった二重の思惑があります。
 フラウスの勝敗に関しては正直どうでも良くて、勝てばファイニア政府の顔を立てられる一方、負けたら彼女を左遷処分するための口実にするといったところです。

 …ファイニアのガヤン神殿の腐り具合がよく分かる一例なのかもしれません。
●戦闘開始
 国境侵犯を行っているファイニア低地王国の傭兵ゲリラ部隊「投石紐兵部隊」(投石兵10名/50cp)と、トリース森林共和国の国境警備の任に就く「森林衛視隊」(長弓兵10名/50cp)が交戦状態に入ります。


 初期配置は、互いに45メートル離れた位置の地上にいます(射撃距離修正
-8)。また、互いに「薄い遮蔽物」の後ろにいる扱いとなり、射撃に-2修正が加わります(合計で-10修正)。待ち伏せしていた森林衛士隊が、自動で先手行動となります。

■ロードス投石紐兵 (50cp 簡易表記)
体力:13 敏捷力:13 知力:10 生命力:11
移動力:6 能動防御:よけ5/うけ6(格闘8)/とめ6
受動防御/防護点:5/5 体重:75kg 大きさ:1へクス
攻撃:
スリング/技能レベル15=叩き/2D-1(抜撃12/正確さ0/射程78m)
*スリング2つ所持。

 ファイニア領ロードス島独自の守備兵で、投石兵に分類されます。基本的にジェスタを信仰しています。着用しているスケイル・アーマーは防具魔化系呪文が魔化されており、軽量かつ堅牢な防具を実現しています。
■トリース森林衛視 (50cp 簡易表記)
体力:11 敏捷力:13 知力:10 生命力:11
移動力:7 能動防御:よけ7/うけ6(格闘9)/とめ-
受動防御/防護点:3/3 体重:70kg 大きさ:1へクス
攻撃:
ロングボウ/技能レベル15=刺し/1D+1(抜撃15 正確さ3 射程165m)
ショートボウ/技能レベル15=刺し/1D-1(抜撃12 正確さ1 射程110m)
特殊:戦闘即応 魔法の矢筒(弾数無限化)

 一般的な国家における地方領主に仕える一族郎党の職業兵士の一種で、国境地帯などの未開地を巡回するレンジャーです。森が多いトリースでは、このタイプの兵士が多いようです。基本的にはガヤンを信仰しています。《豊穣の角》が魔化された魔法の矢筒($110 0.2kg)により、矢が無制限に放てます。
 今回の戦闘は、1フェイズ(10秒)交代で簡易戦闘で処理します。ちなみに、それぞれの行動は以下のようになります。射撃にかかるペナルティ修正は、両者共に「距離45m」(-8)+「薄い遮蔽の後ろ」(-2)の合計で-10となります。


【ロードス投石紐兵】 (1フェイズ間の行動一覧)
●「弾準備」→「装填」→「狙い」→「狙い」→「狙い」→「狙い」→「射撃」(7ターン/精度+3)
 〈投石器〉技能15レベル、致傷力「叩き2D-1」です。4ターンかけて「狙い」をつけ、合計+3の修正を得て
目標値8での射撃を1回行います。この行動を毎フェイズ繰り返します。

【トリース森林衛視】 (1フェイズ間の行動一覧)
●「矢準備」→「装填」→「狙い」→「狙い」→「狙い」→「狙い」→「射撃」(7ターン/精度+6)
 〈弓矢〉技能15レベル、致傷力「刺し1D+2」です。4ターンかけて「狙い」をつけ、合計+6の修正を得て目標値11での射撃を1回行います。この行動を毎フェイズ繰り返します。


 両者共に命中精度を重視し、目一杯狙ってから1射だけ放ちます。行動時間が3秒ほど残ってますが、細かい位置変更や味方との連絡、ファンブル時の武器の持ち替えなどのために消費すると考えます。
 果たして、どちらが有利でしょうか。
 第1~5フェイズ。

 さすがに弓矢の精度は高く、2フェイズ目には森林衛視隊が投石紐兵1人を集中砲火で打ち倒しました。矢自体は大量に命中し(11本命中)、そのうち半分は装甲で止められましたが、確率の法則で貫通し、ダメージ蓄積によって1人倒しています。
 対する投石部隊は、森林衛視1人に運良く手傷を負わせましたが、攻撃がほとんど命中しません。やはり目標値8(25.9%)では、そもそも命中数が少ない上、森林衛視側は目標値10(50%)で「よけ」が行えるため、ダメージ判定まで到達しません。

 第4フェイズには、さらに投石紐兵1人が倒れ、投石部隊の最前列は1人になりました(両者共に3人(第1列)・3人(第2列)・4人(第3列)の3列で並んでいます)。対する森林衛視は、最初に手傷を負ったきりで、特に損傷はありません。第5フェイズの時点で、既に大きく差が出てきました。
 第6~10フェイズ。

 6フェイズ目に、投石部隊の最前列3名が全て打ち倒されました。対する投石部隊は、最後列4人の一斉射撃で、ようやく森林衛視の最前列1名を倒します。

 そこから3フェイズほど、膠着状態になります。投石紐兵の魔化呪文で強化されたスケイル・アーマーは、確かに高い防御効果を発揮しました。大半の矢は受動防御で受け流され、辛うじてダメージロールに至った矢も、固い防護点に阻まれます。
 一方、投石攻撃も何度か命中し、じわじわとですが森林衛視隊のHPを削ってはいます。ですが、撃破までには至りません。

 そして10フェイズ目。
 森林衛視隊の集中砲火が上手く刺さり、中列の投石紐兵1人を打ち倒します。この時点で、投石紐兵4名撃破 VS 森林衛視1名撃破という状況。これをひっくり返すのは、やはり困難でした。
 ―――勝敗は決しました。

 15ターン目に、投石部隊はようやく森林衛視の二人目を撃破しますが、17ターン目にしぶとく踏み止まっていた投石紐兵05の排除に成功。これにより、投石部隊は半数の戦闘不能者を出し、撤退を開始します。


 
トリース森林衛視隊の勝利です。


 撤退する投石部隊を、フラウスが守ります。
 本来、指揮官は部隊を先導するため、真っ先に後退せねばなりません。しかし、フラウスはこのまま帰還しても、今度こそ王都イルゼのガヤン本神殿から追放されるだけです。何とか最後まで意地を見せたいようですが…。
●戦闘再開
 ロードス投石紐兵部隊を率いる「ファイニアの聖女」フラウス(150cp)と、トリース森林衛視隊の部隊長マリー・リヴィエルノワール(150cp)が戦闘を開始します。

 初期位置は、互いに40メートル離れた位置におり(修正-8)、間には薄い遮蔽物(修正-2)が挟まってます(合計
-10修正)。
 移動力の高いマリー隊長が先行で第1フェイズ開始。

 マリーは1ターン目にパワーレベル3の《すばやさ》に集中。ターン終了時に発動して〈弓矢〉17レベルまで上昇。なお彼女は、軍隊の号令をそのまま詠唱ワードとして使用しています。
 さらに2~3ターンで《鷹目》の呪文の集中を行い、ターン終了時に望遠視力を得ます(標的までの距離を100分の1で計算できます。ただし最低でも10メートルとして扱われます)。
 二つの呪文で合計8点疲労しました。残り疲労点は5点です。ここまでで3ターン消費しています。

 そこからさらに残り7秒を使って、「矢を準備」→「装填」→「狙い」→「射撃」という一連の行動を行います。彼女の〈準備/矢〉技能は12レベルですが、先ほどの〈すばやさ〉の呪文で+3されて15レベル。今回のルールでは「〈準備〉技能は15レベル以上で判定不要」となっているので、最初の「矢の準備」は自動で「ゼロ秒で矢を準備した」扱いとなります。よって、一連の行動は3秒です。残り7秒なので、2回射撃が行えます。

 目標値16で1射目―――命中しましたが、フラウスのシールドで「止め」られてしまいます。しかし、2射目の命中判定でクリティカル!問答無用でダメージロールに突入し、4点貫通して8ダメージ!…フラウス、いきなり
残りHP3で大ピンチです。
 後攻のフラウスは、相手のフェイズ中にダメージを負わされているため、このフェイズ中は「衝撃」の効果を受けます。この特殊射撃戦闘ルール下での「衝撃」の効果は、「ダメージの度合いに関係なく、自分のフェイズ中は攻撃・呪文発動に-1修正を負う」となっています。瞬間的な痛み度合は小さいですが、1フェイズ丸々ペナルティが継続するという形です。

 フラウスは第1ターン目に《怪力》を集中。手持ちの内蔵型パワーストーンの支援も受けて最大パワーレベル5で発動します。ターン終了時に体力+5の修正を受け、スリングの致傷力が「叩き3D」にまで上昇しました。
 続く2ターン目から《鷹目》の呪文を集中しますが、痛みで手元が狂ったのか、1回目は発動に失敗。さらに2秒集中し、今度こそ発動。ここまでで5ターンも消費してしまいました。

 残る5秒を使い、1回だけスリング・ショットを試みます。
 「弾の準備」→「装填」→「狙い」→「狙い(追加+1)」→「射撃」でちょうど5ターン。「衝撃」によるペナルティは余剰の「狙い」で打ち消し、目標値10で発射!

 ―――弾は命中し、マリー隊長は「よけ」(目標値10)にからくも失敗。ダイスロール3Dで10が出て、装甲貫通して7ダメージ!こちらも
残りHP4と、致命傷一歩手前まで迫られます。
 第2フェイズ。

 マリー隊長は先ほど被弾した上、「痛覚過多」の特徴を持っています。なので「衝撃」効果が2倍となり、攻撃・呪文発動に-2のペナルティを負います。それでも、1ターン「狙い」を付けて撃てば目標値14(90%)で命中するので、「矢の準備(ゼロ秒)」→「装填」→「狙い」→「射撃」を3セット(合計9秒)行い、矢を3本飛ばす事にしました。
 しかし、矢は全て命中しましたが、フラウスの盾による「止め」(目標値14)を突破する事はできず、全て防がれてしまいます。

 反撃のフラウスのフェイズ。
 「弾の準備」→「装填」→「狙い」→「狙い」→「射撃」の合計5秒を2セット(目標値11)。
 射撃は両方とも命中し、1射目は「よけ」られてしまいましたが、2射目が見事命中!ダメージロールが振るい、先ほどと同じ7ダメージをマーク。これにより、マリー隊長のHPが-3まで低下してしまいます。マリーは気絶してしまいました。


 
「ファイニアの聖女」フラウスの勝利です。
[編集手記]
 ガープスにおけるスリングの価値は、やはり「とにかく安い」ところにあるでしょう。特に「財産」レベルが低い者同士の戦いだと、わずか$10~20で遠隔攻撃手段を得られるのは破格の安さです。残った財産で分厚い装甲を用意し、シールドを構える事で、弓矢やクロスボウとも対等に渡り合える可能性が出てきます。
 また、片手で弓に近い射程を攻撃できるのは、実はスリングだけだったりします。そのため、シールドを装備したまま遠距離攻撃するキャラクターを作りたいのであれば、唯一の選択肢となります。弾の装填は「両手が必要」とありますが、シールドを保持している手でも装填作業は可能なので、問題ありません―――これはガープスのルールだけでなく、現実の投石兵もそうでした。ガープスでは、装填作業中は盾が非準備状態となって「止め」が行えなくなりますが、受動防御自体は有効という処理になっています。
 ただし、雑魚兵士クラス(25~50cp)がスリングを用いても、精度が悪すぎてそもそも攻撃が命中せず、単純に競り負けてしまうようです。となると、100cp以上の英雄候補生の戦い限定の環境を想定した方がいいでしょう。

 威力に関してですが、使用者の体力依存ではなく、弾丸そのものに致傷力を持たせる事でできるならば、体力が低いキャラでもメイン武器として使えなくもありません。
 例えば、有名どころとしてエルファのプファイト氏族の「プファイト・スロウアー」があります。体力の低いエルファでも固定で「叩き2D」のダメージが出せるので、これなら実用性もでてきます(戦いを生業とする氏族のキャラクターが、CP節約のために体力9のままってのも設定的に違和感がありますが)。
 あと原作ルールでは、デルバイ信者の爆裂弾を遠方に投擲するための「爆裂弾投擲器」というのもありますが、これも「叩き3D」の固定ダメージを与えられるスリングの亜種と考えてよいでしょう。
 今回のレポートでは、致傷力の底上げを《怪力》の呪文で補い、さらに精度の悪さを《鷹目》の呪文でフォローする事で、ようやくコンポジットボウ持ちの射手と対等に渡り合えるようになってます。

 弓矢やクロスボウはどんなに頑張っても、弾丸のサイズにより致傷力2Dまたは3Dが限界なのに対し、スリングには威力の限界値がありません。そこを上手くフォローすればいいわけです。一番ストレートなのが、アイアンゴーレムなどの怪力の魔法生物にスリングを持たせて射撃させる事で、5Dとか6Dといったルナル世界では聞きなれない致傷力を再現できます。
 …実は今回のレポートも、当初はゴーレム使いの魔化師を主役にしようと考えてました。しかし、冒険者のセッションでゴーレムを持ち込むのは難しいと思うので、あくまで個人レベルでの再現に留めました(「スリングが強い」んではなく「ゴーレムが強い」ことの証明にしかならないって話もあるので(笑))。

 つまり、「魔法でフォローをすれば、スリングもまだ実用価値はある」というのが、管理人の出した答えです。


【実在したロードス投石紐兵】
 地中海にロードス島という島が実在し、現在はギリシャ国の領土の一部です。古ギリシャ時代以前、弓矢の性能が低かった頃は、ロードス投石紐兵が傭兵として雇われ、ペルシャの弓兵よりも猛威を振るったと言います。
 ロードス島民は、子供のころから投石の練習を行っていたようで、子供は食事の時に食べ物を「的」として投石をやらされ、当てるまで「的」をご飯として食べさせてもらえなかったそうです。こうして、生活習慣として〈投石器〉のレベル上昇を強制され、成人したら投石兵として本土の各国家に雇われていたようです…なんか、モンゴル弓騎兵と同じ生活環境ですな。

 西洋では、弓矢やクロスボウ、防具の発達により、投石器は早々に実戦で用いられなくなりました。

【日本の投石兵】
 一方、日本ではなんと江戸時代手前くらいまで投石兵がいました。主に、刀剣類の所持を認められていない民間兵が、スリングを主武器にしていたようです。
 日本の戦国時代における戦死者の死因のうち、30%が刀剣類によるもので、残り70%が射撃武器によるものだと言われています。射撃武器による死因のうち、約10%が投石によるものだと言われてますので、投石も捨てたものではなかったと言えます。投石兵の主な役割は殺す事よりも、武士団が白兵戦を行う前に、敵の武士の鎧を砕くのが主な役割だったようで、「戦闘前の牽制射撃」として用いられたわけですね。

 日本で投石兵が運用され続けた理由ですが…
 日本の武士が着用する鎧は、西洋のプレートアーマーのような完全密閉型ではなく、主要部分は板金も使われているのですが、大半は鱗状の金属片を紐でつなぎ合わせた柔軟な構造で、一部では布や木材も使用する事で軽量化が図られています。兵器上の分類ではラメラー・アーマーです。
 そのため、衝撃を完全に受け止められない構造であり、投石でも衝撃によってダメージが与えられたのだと推測できます。ガープスのルール下でも、日本鎧は「スケイル・アーマー」に分類され、頑丈で軽量だけどプレート鎧ほど固くはないという扱いになってます。

 つまり、高温多湿という気候が着用する鎧に制限を与えた結果、投石でもまだダメージが入るといった状況を生み出したのではないかと。火縄銃、弓矢と並んで投石器が残り続けたのも、そんな理由なのでしょう。
 あと、宗教上の理由(投石を行う神事が実際にあり、民間でも頻繁に投石大会が行われた)とか、山岳地系で川が多く、河原で適当な石を調達しやすかった等も考えられます。

【ファイニアという国家】
 原書「ガープス・ルナル」では「スペインをイメージ。傭兵制はスイスのイメージ」との事ですが…管理人個人はファイニア=現代の「アメリカ合衆国」という認識です。
 赤の月信仰による「自由」を愛する国民性、中立の傭兵業と言いつつも、実質グラダス半島のミリタリーバランスをほぼ掌握している部分などは、「自由の女神像」を愛し、NATO軍事同盟の盟主としての実質西側陣営の主戦力などといった被る部分が多く、世界最強の経済軍事大国!その名も……って、もうそんなイメージしか湧きません(笑) 軍事面から見た国際的な立ち位置が、実質アメリカ合衆国なんですよね、ファイニアは。
 まあ、産業の部分は似ても似つかない貧困国ですが、既に石油を発見し、利用方法を探っている段階ですし、国土全体もそのうち《土作成》の呪文か何かで埋め立てられて大穀倉地帯と化し、農業生産力でも隣のソイル選王国と張り合えるようになるかも…色々と将来設計が楽しそうな国ではあります。

 ただ、リプレイでも紹介されてるように、ファイニアの各組織はかなり腐敗進行度が酷く、お世辞にも健全な国とは言えません。青の月関連の組織(警察、教育機関など)も、尋常でない腐り方をしています…まぁその辺も、現代のアメリカにそっくりなんですが(笑)

【トリースという国家】
 リプレイなどでは、特にこれといった特徴のある国ではないんですが、リプレイ終盤や小説のラストで主人公アンディが月に至り、ガヤン神と契約を行った直後、彼は祖国に戻って政治改革を行い、「象徴天皇制 民主主義国家」みたいになりました(共和国なんて言ってますけど、象徴としての「王家」が残ってる以上、共和制ではなく民主制です)。そこから急に、トリース=現代の「日本国」みたいな認識になりました…だいたいアンディのせい。

 そのイメージの影響かもしれませんが、当サイトでフラウスが初登場した「柔は剛を制すのか?」のレポートで、異世界からやってきた蟹平玲愛さんが自衛隊の服装を民間動員兵に配ったのが原因で、この国のレンジャー部隊は我々の世界の自衛隊にまことによく似た服装をフェリアの服飾デザイナーに再設計してもらい、生産・着用するようになりました。なので今回登場した国境警備隊も、そのような姿恰好になってます…だいたい某歌の女神のせい。

【フラウスというキャラ】
 別項目のレポート「柔は剛を制すのか?」でも分析しましたが、フラウスはロードス島伝説の主人公であり、日本の小説ではほとんど主役に選ばれないマッチョ系女子です。
 性格も男っぽく、かなり過激な性格をしています。女性って普通、他の女子と群れたがるので自己主張しなくなる傾向が強いのですが、フラウスは完全に我が道を行き、孤立する事もいとわない。「私についてきたいものだけが来なさい!」みたいな性格です。原作でも男だらけの群れの中で普通に泳いでます(笑) 無論、女性らしい部分もたくさんあるんですが。

 最初に登場したレポートでは「サリカ信者にしようか」と考えていたのですが、やはり性格的にも見た目的にもガヤンのマッチョ戦士の方がどう見てもマッチしていると思い、結局はガヤン神官としてのお披露目となりました。というか、投石兵として違和感のない女子キャラって、フラウスしか思いつかなかったんですな(笑)
 まあ、ガヤン信徒はリーダー的存在として集団を率いる信仰なので、別にサリカ開拓兵団を率いても、ジェスタ投石兵団を率いても問題なかろうかと思います。

 あと、フラウスはどちらかというと知恵よりも力でねじ伏せる方が絶対似合ってる脳筋女子だと思うので(笑)、レポートでも気合と根性だけで踏ん張ってもらいました。管理人個人は、こういうパワフルで表裏のない女性、割と好きなんですがね。でも日本のオタク界隈では、この手の女性はさっぱり人気がありませんよね。

【マリー・リヴィエルノワールって誰?】
 実は、当サイトのオリジナル・キャラクターではなかったりします。

 原作は『GATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』という小説、マンガ、アニメで、日本人の自衛官の二等陸曹「黒川 茉莉(くろかわ まり)」の名で登場します。
 ルナルでは和風名称だとおかしいので、フランス語に訳した結果、このように長ったらしい名前になっています(茉莉→マリー、黒川→リヴィエール(川)+ノワール(黒い) *フランス語では名詞→形容詞の語順になります)。

 身長190センチという、女性としては異例の長身ですが、それ以外に目立った特徴はなく、アニメ版では視聴者人気を考慮したのか、長身設定も削られて175センチくらいまで下げられ、ほぼ脇役扱いです。管理人はこのアニメを1回だけ通して最終話まで閲覧しましたが、丁寧語でしゃべり、主人公に対してちょっと毒舌なところがある衛生兵という事以外、ほとんど印象に残りませんでした…原作者は、なぜこんな異様な(活用すらできてない)長身設定にしたのだろう?(笑)
 そんなわけで、別に思い入れがあったわけでもないのですが、ご存じのように管理人は変態レベルの長身女性フェチなので、役割的に「トリース森林共和国のレンジャー部隊の衛生兵」としてちょうどマッチしていたので、出演してもらいました。PMDモデルは、適当にそのへんのモデルの頭部と胴体を合体させて作りました。
 衛生兵の設定は残したかったので、医者が務まるレベルでの〈医師〉技能は持たせてあります。主治医になるのはまだ無理でしょうが、看護婦としての役割であれば、これくらいの実力で十分務まるでしょう。


 最後に、その黒川茉莉ことマリーさんのデータを表示しておきます。
【基本設定】
 トリース森林共和国の富裕農家生まれの女性で、最初はサリカ信徒の医師を目指していましたが、ペローマ学院で同じ医師志望の男子学生にストーカーまがいの事をされたため、逃走&自衛しようを考えてガヤン信仰に走ったという、ちょっと可哀そうな過去があります。そのため、ガヤン信徒でありながら医療技術を持った特殊な人材となりました。

 本来はサリカ司祭になる予定だったため、性格的にはサリカ司祭、持ってる技能もサリカ司祭だったりしますが、自衛を考えて職業兵士になりました。幸い、仕事先でもサリカ系のスキルは大いに役立ち、現場で医療行為が行える衛生兵として重宝されています。
 またガヤン神から啓示を受け、いくつかの戦闘呪文を学んだ結果、スナイパーとして高い実力を有するようになりました。こうして、少なくともストーカーされても即撃退できるだけの実力と威圧感(笑)をゲットするに至ります。現在は実力を認められ、国境警備のレンジャー隊の指揮官を務めています。

 現実主義でクールな性格ですが、本当はロマンチストらしく、信仰とは全く逆のシャストア神殿の舞台俳優などに憧れていたりもします。今の仕事に不満はないのですが、何かしら変化を求めて、新しい事にも挑戦してみたいという気持ちもあるようです。

【設計思想】
 《すばやさ》と《鷹目》の呪文を習得した「弓術に特化した狙撃手」を目指して作成されています。弓矢の基礎威力を可能な限り高めるため、体力にやや多めのCPを振っています。また、回避手段が「よけ」しかないので、「戦闘即応」の特徴でカバーしています。
 戦闘が始まったら、《すばやさ》をパワーレベル3で発動し(5点疲労)、射撃の腕を向上させます。その上で《鷹目》の呪文でフォローすれば、大体の標的は1回の「狙い」でほぼ必中状態になるはずです。余分に「狙い」を付けて目標値を17以上に上げれば、足などを狙っての射撃も可能になります。
 その他、《閃光》の呪文で味方を支援する事も可能です。

 なお「痛覚過多」の特徴を持つため、近接戦闘には向いていません。荷重レベルを下げない事で移動力を最高状態に保っているので、接近されたら素直に逃げた方がいいでしょう。
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