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■第18節 ボドキン矢
 中世の100年戦争(14~15世紀)の頃、ちょっとした革命が起きた。それまで使用していた矢じりでは、チェインメイルやプレートアーマーを貫通するのが困難だった頃から、徹甲弾のような効果を発揮する矢じりが発明されたのだ。
 俗に言う「ボドキン」とは、この矢じりの事を言う。
 ボドキンによって、金属鎧が当たり前になりかけていた当時の戦場でも、弓矢や弩が有効であり続けたのだ。

 実はガープスの環境でも、このボドキン矢のルールはある。
 第4版のベーシック・ルールp267のサイド・バーにある「太針状の先端(文明レベル3)」というのがそれだ。これの導入によって、ルナルでも弓矢の性能を向上する事が可能だ。
 このレポートでは、第3版の環境でボドキン矢を実際に運用し、その有用性を証明して見ようと思う。これから第3版ガープスを始める人も、是非ともこのボドキン矢はハウス・ルールとして導入する事をオススメする…というのも、そうしないと現状の弓矢そのものが実質死んでいるからである。
■状況
 実は、魔化アイテムが一般的なルナルにおいて、現行ルールの弓矢はほとんど有用性を失っている。簡単に言えば「性能が低すぎて使い物にならない」のである。
●精度低すぎ問題
 ガープス第3版の弓矢は、技能の難易度が「難」であるため、同じCPを投入すると、クロスボウより命中判定値が2点も下がってしまう。
 ガープスにおける射撃武器は「精度」がほぼすべてと言っていい。そのため、この2レベルもの差は絶望的である。

●防具硬すぎ問題
 卓にもよるだろうが、基本的にルナルでは魔化アイテムが一般的であるため、受動防御や防護点を+1するだけなら、$50~100で魔化してしまえる。
 これは、基本致傷力が低めに設定されている弓矢には致命的である。

 
「致傷力1D前後しかない弓矢の環境で、わずか$150でチェインメイルが受動防御4 防護点5になる」と言えば、その深刻さが伝わるだろうか。
●射撃対策多すぎ問題
 大量に技能にCPをつぎ込んで、「狙い」を付けてようやっと当てたと思ったら、相手の対抗手段によって命中を阻まれる。

 まず、盾を装備していれば高確率で「止め」られてしまう。これを突破するためには、大勢の射手で制圧射撃するしかなく、少数精鋭の冒険者には無理な注文だ。
 さらに、上で書いたように防具の性能が普通に向上しているため、弓矢の低い致傷力では防護点を貫通できずの弾かれる可能性が非常に高い。ただでさえ1発撃つのに3秒以上かかるのに、あっさり弾かれてしまっては労力に見合わない。

 極めつけは、魔術師が《矢よけ》の呪文を使えば、ほぼ完全に通らなくなる現実。この呪文はクリティカル命中も通さないため、もはや弓矢は何の役にも立たない。
 以上のように、弓矢は当てるだけでも至難の業なのに、装甲もほとんど貫通しないとなると、はっきり言って投資CPに対するリターンが釣り合わない状況になってしまう。
 実際、第3版環境下では、少数精鋭の冒険者が射撃武器で遠距離攻撃をやるなら
クロスボウ一択である。それ以外の選択肢は事実上ないと断言していい。難易度が「易」で、しかも威力は弓矢最強のコンポジット・ボウよりも高い。
 クロスボウは弦の巻き上げで+2ターン必要になるという欠点があるが、通らない攻撃を必死で高速で回すより、通る攻撃を1発狙いを定めて撃った方が確実に効率が良い。

 まとめると、第3版環境下における冒険者にとって、弓矢はほぼ役に立たない武器と言って良い。
■対策
 以上の「状況」から、訂正案を提案する。
●矢じりの改革と弾頭の選択
 13世紀頃から、戦場に現れる主力の騎士がチェイン・メイルやプレートアーマーを装備して現れるのが当たり前となった結果、従来のブロードヘッド矢は貫通しなくなった。
 そこで、錐(きり)のようにとがった矢じりの矢を使うようになる。これにより装甲貫通力が上がり、騎士にも有効打が通るようになる。

 勘違いしないでほしいのだが、じゃあ旧来の矢が役に立たないのかと言われると違う。装甲が薄い相手には、肉を引き裂き、内蔵に致命傷を与える従来の矢じりは十分に有用であり、動物の狩猟では、相変わらず使われ続けた。

 要するに、状況に応じて通常矢とボドキン矢を使い分ける必要が生じたのである。これは弓兵の戦術眼の見せどころでもあり、重装甲の騎士が立ち並ぶ戦場においても、馬など装甲が薄い相手を狙う場合は、通常矢に切り替えて運用する事があった。
●ガープスにおける性能
 第4版では「貫通」という攻撃型があるが、第3版では一般的ではなく、銃弾の一部に適応されるだけのルールだった。だが、第3版でボドキン矢を導入するのであれば「貫通」も導入すべきである。

 攻撃型「貫通」の処理は、「相手の防護点を半減(端数切り捨て)で適応し、防護点を抜けた点数分がそのままダメージとなる(1倍)」という処理になる。ただし、「重要器官」を抜いた場合は「刺し」の時と同じくダメージ3倍、「脳」に対しては4倍となる。
 急所を外した場合、装甲貫通力は高くとも実ダメージは小さいのが特長である。

 なお、ボドキン矢は弓矢の矢とクロスボウの太矢のバリエーションが存在する。どちらも基本性能は同じである。
●価格と重量
 ガープスでボドキン矢を取り入れる場合、矢の価格は従来の価格と重量で問題ない。

 「それって有利過ぎるのでは?」と思うかもしれないが、よーく考えてほしい。防護点が低い相手には、ボドキン矢はむしろ通常矢と比べてダメージが低く、かなり損をしている。
 実際に計算すればすぐ分かるが、例えば防護点2の相手に「刺し5点」と「貫通5点」を適応した場合、「刺し」は6点ダメージ、「貫通」は4点ダメージとなる。

 装甲が薄い相手であれば、通常矢を用いた方が明らかに有利である。
 なお、製造コストであるが…実はリアルでは、むしろボドキン矢の方が製造コストが低く、通常のブロードヘッド矢の方が職人技で高価だったのである。
 ボドキン矢は先端をとがらせるだけなのに対し、ブロードヘッド矢は切断可能なブレード構造や、引き抜く時にダメージを与える「返し」を丁寧に鍛造せねばならず、実はあまり量産に向いてなかったのである。

 そのため、ゲーム的にも通常矢もボドキン矢も同じ価格・重量で問題ないだろう。
■サンプル・キャラクター
 今回、試験のために作成されたキャラクターは以下である。
【基本設定】
 第7節「長弓兵と弩兵」に登場したエルファの女弓手です。今回は彼女の後日談となります。詳細は、そちらをご覧下さい(→こちら)。

 反帝国陣営の傭兵として、現在も活動を続けています。人間社会に長く居続けたせいか、繊細なエルファ種族でありながら、かなり脳筋方向に成長しています。どうやらメイド兵の長のクロスボウで一撃で倒れてしまった事が、かなりトラウマになったようで、それからはあんまり好きでなかった肉食もガンガン行い、体格が一回り大きくなった見事な恵体になっています。

 あくまで正面から装甲貫通を目指す彼女にとって、ボドキン矢の普及は、非常に心強い存在となっています。

【設計思想】
 以前の100cpから150cpへと上がり、データ内容も色々と変更されています。

 弓矢の最大致傷力を求める設計構造は同じですが、現在は体力13の筋肉娘であるため、《弾丸強化》の呪文をかけた普通のボドキン矢を使っています(以前は+1の魔法の矢にさらに《弾丸強化》を施していました)。この状態で「貫通/2D」の致傷力を確保できるため、装甲兵に対しても普通に矢が通るようになっています。

 また、射撃戦に備えて《鷹目》の他、《韋駄天》を習得しています。戦闘開始と同時にこの二つで自己強化します。《韋駄天》はパワーレベル3でかければ移動力と「よけ」が+3されるため、徒歩の状態でも「よけ」が12となり、回避がかなり安定します。
 さらに、鎧をブリガンダイン(構造的にはスケイル・アーマーと同じ皮と鉄板の複合アーマー)に変更し、防護点の底上げを行っています。基本的にはよけるのがメインではありますが、万が一命中した時に備えて防護点6という、レンジャーとは思えない程の重装甲になっています。さらに以前は9しかなかった生命力を11まで上げており、タフな体になっています(体重もかなり増えました)。

 キャラクターの元ネタは、カプコンのコンシューマ・ゲーム「D&DRコレクション」に登場したエルフの魔法戦士「ルシア・ルグラース」です。
★ルール変更
①敵味方の数が多いため、通常戦闘ルールのヴァリアントを用います。
■実戦
 どうやら、エルファたちのゲリラ活動は予期されていたらしく、逆に待ち伏せのような状態になってしまったようです。しかし、エルファたちのリーダー・ルシアは攻撃を続行します。

 果たして、最新のマスケット銃を装備した重装甲の歩兵に対し、ロングボウ程度の攻撃で撃破できるのでしょうか…?
■戦術フェイズ
 エルファ種族のレスティリ氏族の魔法弓兵で編成された森林守護兵(50cp/5名×3)が、トルアドネス帝国ハントルア公国の商会「シンラ・オーディナンス・ワークス」(Shinra Ordnance Works)の兵器実験部隊として設立された正規軍所属部隊・通称「ワークス」(50cp/5名×3)の掃討を行います。

 初期配置は、互いに100メートル離れた位置にいます(射撃距離修正
-10)。森林守護兵側は全員〈偽装〉15レベル以上につき、相手の命中判定にさらに-1修正を加えます(ワークス側は-11修正で射撃)。

 今回は、互いに5人1組で3つのチームを作り、A、B、Cそれぞれのチームが相手のA、B、Cチームと戦ってもらいます。総合で2勝以上した側が勝利とします。
 ドワーフたちは、最初のターンの一斉射撃にかかっていました。これを外すと、6フェイズもの間、無防備状態となり、第2射まで持つかどうか怪しくなるからです。

 ところが、エルファたちは〈偽装〉技能によって隠蔽効果を高め、相手の射撃目標値にさらに-1修正をつけるように訓練していました。このおかげで、どのチームもマスケット銃の命中目標値が9になってしまい、命中率38%まで落ちました。
 無論、合計15人のドワーフが撃つんですから、確率の法則で5~6人はやれるだろうと思っていたのですが、ダイスツールの機嫌が悪かったのか、どのチームのドワーフもことごとく目標値9の判定にミス。面白いように当たりません。

 結局、Cチームで1発だけ命中を出し、敵のエルファ1体を一撃で即ノックアウトしたのですが、残りは6フェイズもの準備中に次々とボドキン矢で少しずつ削られます。装甲の防護点7といっても、ボドキン矢の前では半分の3点しか効果がなく、1フェイズに10発ほど飛んでくる矢を6セット(合計60本の矢)繰り出されて細かくHPを削り取られ、マスケット銃の再装填が終わる頃にはチーム人数が半減(3人以上脱落)状態まで追い込まれます。

 3チームとも2射目を撃つ間もなくドワーフ側の敗北で終了しました。エルファ側の犠牲者は15名中、最初の偶然の命中弾で一撃で瀕死に追い込まれた1名だけ。
 エルファ森林守護兵団の勝利です。


 正直なところ、矢をボドキンに変えるだけで、ここまで弓矢の使い勝手が良くなるのは完全に想定外でした。これなら、難易度/難なのでクロスボウより命中目標値が2点小さくなるペナルティを受け入れてでも、連射可能な弓矢を使う意味も大いにあると感じました。
■戦闘再開
 エルファの森林守護兵団を率いるルシア・ライトグレース(150cp)が、帝国貴族にしてシンラ商会のオーナーであるルーファウス・シンラ(150cp)と決闘を行います。

 初期配置は、互いに100メートル離れた位置にいます(射撃距離修正
-10)。ルーファウスは魔化アイテムの効果で《暗視》《鷹目》《浮遊》《韋駄天L1》の効果を受けています。お互いに暗視能力があるため、照明不足によるペナルティは発生しません。
―――第1ターン目。

 移動速度が速いルシアの先行。
 最初の4秒で《韋駄天》パワーレベル3と《鷹目》を発動したルシアは、残り6秒で「《準備/矢》で矢を準備(成功して一瞬)→矢の装填→狙い→射撃」(目標値13)の手順を2回繰り返します。
 射撃は2射とも命中し、ルーファウスはマトリックス銃弾よけを行いますが、二発目の防御で失敗。ボドキン矢は6点の装甲服を貫いて5点ダメージ。

 ルーファウスのターン。
 先ほどダメージを受けたため、このターンは「衝撃」で攻撃的動作に-1修正を受けます。ルーファウスは「財産」に物を言わせて用意したマスケット銃でもって、撃っては持ち替え、撃っては持ち替えを行い、連射します。
 「狙い→狙い→射撃」(目標値15)「銃を準備→狙い→狙い→射撃」(目標値15)「銃を準備→狙い→射撃」(目標値14)で10秒を使い切りました。

 彼が所有しているホイールロック式マスケット銃は、金をつぎ込んで作らせた特注品です(1丁で$1,600します!)。この時代のホイールロック式点火装置は、武器というより芸術品に近いものであり、腕の良い職人が時間をかけて製造した高級時計のようなものなので、量産には全く向きませんでした。そのため、貴族が趣味で買うような贅沢品でした。
 この最新鋭のマスケット銃を、湯水のごとく使い倒して連射して短時間で獲物を仕留めるのが、帝国貴族ルーファウスの財産マンチキン的な戦い方となります。ホイールロック式点火装置は、事前に火縄に火を点けておく手間がいらないのが最大のメリットであり、TL3のマスケット銃黎明期のルナルでも、このような無茶な戦い方を可能にします。

 しかし、最初の3連射は、《韋駄天》で「よけ」が12まで上昇していたルシアにひらりとかわされました。
 第2ターン目。

 ルシアは「《準備/矢》で矢を準備(成功して一瞬)→矢の装填→狙い→射撃」(目標値13)の手順を3回繰り返します。
 射撃は3射とも命中し、ルーファウスは最後の一発をよけそこなって2ダメージ。残りHP3となり、追い詰められます。

 しかし、直後のルーファウスのターンで逆転します。
 先ほどダメージを受けたので「衝撃」の効果を受けつつも、残り二丁のマスケット銃を発射。「銃を準備→狙い→射撃」(目標値14)「銃を準備→狙い→射撃」(目標値14)の2回射撃を行い、最後の射撃がついに命中。実に18点ものダメージを与え、ルシアは一撃でHPマイナス域にまで突入してしまいました。さすがに今回は生命力が高いので生きてはいますが、致命傷です。


 ルーファウス・シンラの勝利です。


 ブリガンダインの装甲は、受動防御の底上げという点では役に立ちました。しかし、銃弾の貫通を防ぐには到底足りませんでした。
[編集手記]
 クロスボウとは異なり、弓矢は結構長く兵器として生き残っていました。原因は連射速度です。マスケット銃は、再装填でどうしても1分近い時間がかかってしまうため、弓矢の圧倒的射撃速度にはかなわない面がどうしてもありました。
 西洋では、主に英国の長弓兵が頑張っていましたが、日本では武士が弓矢と火縄銃の両方を大々的に運用し、火縄銃の装填中は弓矢でサブマシンガンのごとく制圧射撃するのが通常戦術として組み込まれていました。射撃速度がない/威力が低いという互いの弱点を補い合っていたのです。さらにそこに民兵の投石兵が大量動員されたため、日本の戦場では射撃のバリエーションが豊富でした。

 しかし、ガープスのシステムの観点から見ると、弓矢は威力も精度も低すぎて、銃器どころかクロスボウにも勝てない状況です。ただし、第4版のコラムに記載された「ボドキン矢のルール」を実装する事で、ようやく史実に近い性能を持たせられる事を発見しました。
 今回驚いたのは、前にクロスボウとの撃ち合いですら負けた弓矢が、なんと重装甲のマスケット銃兵との撃ち合いに普通に勝てた事です。当たればとりあえず小さいけどダメージが通るという事実が、これほどまで結果に響くとは…。この性能なら、マスケット銃と弓矢の混合運用も実用性があると思われます。


【ボドキンの普及とマスケット銃の台頭】
 かなり以前、長弓とクロスボウの撃ち合いのレポートを挙げた時にも例に出しましたが、英仏の100年戦争におけるクレシーの戦いとアジャンクールの戦いの解説で、イギリスの長弓兵が勝った要因として挙げられるものの1つが「ボドキンの普及」です。
 管理人は当初、「ダメージが+1くらいに補正されただけだろ~」と軽く見ていたのですが、どうやらそうではないらしく、弓矢に「徹甲弾」の概念をもたらしたのがボドキンだったみたいなんですよね。これなら、当時のごく一部の上級騎士が着用している最先端のプレート・アーマーでも、普通に貫通する可能性が出てきます。要するに「お金をかけて高価な装甲を身に纏っても非効率なだけ(=旧来の騎士の終焉)」の時代の幕開けでした。

 ボドキンは弓矢だけでなくクロスボウでも大々的に用いられ、しばらくはこの二つが射撃武器界の貴公子状態だったわけですが、17世紀頃からマスケット銃が登場します。ここで、「習得が簡単」「装填速度が遅いが威力は高い」というクロスボウと役割が被っていたため、威力上昇技術が限界に近かったクロスボウが急速に廃れ、「延び白」がまだまだあったマスケット銃に置き換わります。
 一方、「習得が困難」「装填速度が速く連射が可能」な弓矢は、競合する新兵器が登場しなかったため、しばらくマスケット銃と共存し、役割分担がなされます。
 ただ、西洋の場合は騎士が重装甲でのランス突撃にこだわったためか、弓矢は民兵の役割のままで、マスケット銃だけが騎士に受け入れられます。特に、馬上で片手で撃てるホイールロック拳銃によって、重装歩兵が無力化され、戦場のユニットがまた一つ、大きな転換期を迎える原因にもなったようです(ガープス第3版のホイールロック拳銃は異様に弱いですが、実はこれ、史実に沿うなら攻撃型が「貫通」らしいです。「貫通」属性なら致傷力1D+1程度でも、重装歩兵に十分対抗できるでしょう)。

 それに対し、日本の武士は戦いの効率に関しては貪欲かつ柔軟で、西洋の騎士のような戦い方に関する妙なプライド(射撃武器は卑怯!など)はありませんでした。元から弓矢がメインウェポンだったため、銃も同じようにあっさり受け入れられ、平行して運用されます(なおクロスボウは、日本では軍事を武士に特化するかなり無茶な政策の影響で、10世紀頃には既に廃れており、騎馬戦闘主体の武士の射撃武器は弓矢一択でした)。
 さらに民間動員兵による投石器での援護射撃も行われます。戦時中に一番ダメージ・スコアを稼いでいたのは、実は投石器だったりします(相手の鎧を砕くダメージ・ディーラー役として運用されていたため)。
 日本でも、ボドキンのような徹甲弾の概念はありました。ですが、高温多湿の日本においては、鎧が西洋ほど高い密閉率と防御性能を持たなかったため、鎧の隙間を狙うという戦法の方が重視され、状況に応じてブロードヘッドとボドキンが使い分けられました。


【ホイールロック式のマスケット銃なんてあるの?】
 ガープスの武器表には載ってませんが、史実ではありました。当時の記録によると、ホイールロック式のマスケット銃1丁でマッチロック(火縄)式の標準的なマスケット銃が4丁くらい購入できたらしいです。なので、品質の良い剣と同じく4倍価格にして入手できることにしました。

 価格が高騰する理由は単純で、ホイールロック式点火装置は、高級時計のような超精密機器であり、職人が1つ1つ手を加えて作り上げる武器というより工芸品に近いものだったためで、量産するのはほぼ不可能でした。
 後に登場するフリントロック式は、ホイールロック式と同じく火縄なしでも点火できたんですが、点火性能が悪く、不発が多かったようです。そのため、確実性を取ってホイールロック式のマスケット銃を使う貴族がいたため、市場でも細々と生き残っていました。これは、さらに後の時代に登場するパーカッションロック式(雷管式)が登場するまで続きました。

 現代でも、当時の武器がオークションに出品される事がありますが、フランス王ルイ13世が所有していた金銀装飾の豪華なホイールロック式マスケット銃が、75万ドル(日本円で約1億円)で落札されたこともあります。


【ルーファウス神羅】
 元ネタは、ファイナルファンタジー7に登場する新羅カンパニーの社長の息子です。リメイクされたFF7で、かなり手の込んだ形で再登場を果たし、原作をさらに上回るかっこいい(厨二病じみた)登場を果たします。

 …まぁそこまでは良かったんですが、リメイクが分作で作られたため、リメイクの売り方自体が激しく不評だったのと、リメイク二作目でもしつこく登場したので、新羅カンパニーという世界企業がなんかちっぽけな存在に格下げされてしまい、新社長ルーファウスは「ワンマン経営の中小企業の孤軍奮闘する忙しい社長」にイメージダウンしてしまった感じです。
 仮にも世界企業の社長なんだから、就任式(?)は一回こっきりにして、後は政治的に(ストーリー的に)主人公たちと張り合う原作と同じ扱いにしておけばよかったのになぁ…?

 なお、ルナル世界のルーファウス・シンラは、トルアドネス帝国の貴族の息子であり、父親のプレジデント・シンラ侯爵はまだ存命なので、父親の陰に隠れながら独自の勢力を構築しようと頑張ってる最中です。人間のデルバイ信徒という珍しいポジションの彼は、銃の力を帝国軍の中核に据え、侵略を再開してリアド大陸全土を帝国領に塗り替えようという野望に燃えています。

 最後に、その若き貴族ルーファウスのデータも挙げておきます。
【基本設定】
 トルアドネス帝国の貴族プレジデント・シンラの息子で、人間の貴族としては非常に珍しいジェスタ神の従属神デルバイの信徒です。彼は、最新鋭の技術を結集した武具の製造ラインを自ら構築する事で帝国軍に取り入り、将来的には父の領地を受け継いだ後、宮廷で上層部に入り込み、帝国宰相の地位を狙っています。
 彼は自前の資金を投資して、ドワーフたちの国「ハン=トルア公国」で、「シンラ・オーディエンス・ワークス」(Shinra Ordnance Works)という名の鍛冶屋の商会を設立し、腕利きのドワーフ鍛冶屋を囲い込みました。彼は父親のツテを利用して、まるで商人のようにうまく上級貴族に取り入り、帝国軍のマスケット銃の製造の受注を取りつけました。どうやら補給・装備配給面から軍の実権を握り、上層部に入り込もうとしているようです。
 建国して間もない帝国では、彼のような野心を持つ若い貴族は他にもたくさんいるため、今のところは父親の影にうまく隠れおおせており、他のライバルの関心を引くのを極力回避しています。

 今回、登場したドワーフの装甲擲弾兵部隊は、帝国軍陸戦機動歩兵第32分隊・通称「ワークス」(Works)という正式名称があり、正規軍の1部隊です。ただし、兵士たちはシンラ商会と深くつながっており(シンラ商会に所属する鍛冶屋ドワーフの兄弟たちが部隊の主力メンバーです)、この部隊は実質ルーファウスの私兵集団と言えます。
 表向きは、シンラ商会が開発する新兵器の実験部隊として銘打たれており、他の正規兵からは「何をしてるか知らないが、とりあえず兵器の実験台になってるモルモット部隊」という認識しかなく、帝国軍の裏の汚れ仕事を一手に請け負い、部隊メンバーの経験値を稼ぎつつ、帝国中枢での実権を握ろうとしている最中という事実は、今のところ知られていません。

 ルーファウスとしては、現在は高過ぎて量産に向かないホイールロック式の点火装置を量産化できるような発明(フリントロック式の開発)を行い、火縄に火を点けるという工程なしで運用できる部隊を作ろうとしています。
 将来的には、火縄なしのマスケット銃を装備した、種族的に暗視持ちのドワーフを中核とした夜間戦闘部隊を構築し、帝国の精鋭部隊に仕立て上げるつもりです(火縄式だと火が闇夜で目立ってしまい、夜襲に使えないというデメリットがあるためです)。

【設計思想】
 いわゆる「財産マンチキン」であり、通常は再装填速度が遅すぎて連射不可能なマスケット銃を、財力で強引に連射するのが設計コンセプトになっています。主な課金場所(?)は鎧で、ブリガンダインにあれこれ魔化を施し、5丁ものマスケット銃を単独で運搬するため、《浮遊》の呪文を維持して移動する事が前提になっています。
 鎧の魔化には《矢よけ》も含まれているため、本来なら射撃武器相手なら一方的にやれるのですが、今回はマスケット銃連射が戦術的に有効か?を確かめるため、反乱軍を相手に敢えて切断して試験運用を試みていました(TL3の標準的な兵士が《矢よけ》の魔化アイテムを所有するのは価格的にほぼ無理なので、戦術の有効性を確認したかったようです)。

 彼は商会のオーナーなので、自身が戦う必要性など皆無ですが、まだ商会は小さく、彼の権力も限定的なので、自ら陣頭に立つ事で特務部隊ワークスの士気高揚を行い、関係を強化しようと頑張っています。冷徹な合理主義者ではありますが、有用な人材にはあれこれ利便性を計ってやり、自分の陣営に加えるために配慮する側面もあります。統治者としてはまだまだこれからですが、行商人としてなら現状でも十分な実力を備えています。
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