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太陽が最も高くなる方角 |
君が次に向かった方角は、同じように密林が生い茂る「南」である。 密林を進むと、やがて小さな砦のようなものが見えてきた。ふと君の脳内に、エフォメラ嬢の声が聞こえてくる。 エフォメラ(心の声) 『―――今、辿っているのは「選択なき茨の道」ね。 あの子は荷物運搬用の元素獣。 それ以外の目的で呼び出されることなど、 通常はありえない。 けど、ある程度知恵がある生き物は、 生存とは直接関係がない欲望を、 少なからず持つものよ。 あの子はこの世界にやってきて、 タマット神殿が経営するカジノで、 ディーラーをやりたいという、 本来の役割とは違う夢を抱いた。 …でも、当たり前だけど、 召喚者はそんな事、望んでるわけがないからね。 ―――夢はかなわなかったのよ。』 |
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帝国兵 「…もっと、腰を入れて剣を振れないのか! この無能がっ!!」 風の元素獣 「ぼ…ボクには… 兵士なんて…向いてないよ……(涙) はぁ…はぁ…」 帝国兵 「―――まぁ、いいだろう。 頭の悪いお前にも分かるよう、 ちゃんと説明してやろう。 この世は焼肉定食…もとい、弱肉強食なのだ! 戦って、敵を駆逐して、初めて平和な暮らしが得られる。 ゆえに国民は全員、 最低限の兵士としての技量を備えねばならぬ。 貴様が飯を食って、 安全な場所で眠りにつけるのも、 全ては軍事力と金があっての事。 「向いてないから」を口実に社会貢献を怠るなど、 この国で生きていく資格などない非国民だと思い知れ。 …だいたい分かったか?」 風の元素獣 「………。 そ……そうかもしれないけど…… でも…… ボクには明らかに向いてないのに… こんな大雑把すぎるやり方… かえって非効率じゃないか……? ボクにはボクなりの、 貢献のやり方があって… それなら精一杯がんばれる自信があるのに……! それに…… 全体のためだけに生きろっていうんなら… ボク個人の意思は何の意味があるんだろう……? ボクは何のために… 生まれてきたのだろう………?」 帝国兵 「…貴様ぁぁぁっ!! それ以上、無駄口をたたくな! 無能な貴様は、 ただ戦う事だけを考えて、 死ぬまで国のために働けばいいんだ!! 無能な貴様のために、 わざわざ金と時間を割いて 訓練を施してやってるっていうのに、 何なんだ!その言い様は!? これ以上、逆らえば、 国家反逆罪で処刑するぞ!!!」 …どうやら軍事教練中らしいが、しごかれている元素獣は、楽しそうにも士気が高そうにも見えない。無理やりやらされているそれは、見るからに非効率な教練である。 さて、君の行動は… |