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■第20節 プロトランザー |
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ガープスに限らず、TRPGのほとんどは「罠」に関する技能は存在するものの、「具体的な罠の例やデータ」がほとんどない。これはおそらく、プレイヤーがリアルで犯罪行為を行う際の参考資料にされると困るからといった、社会倫理に対する配慮が理由と思われる。 …だが、ファンタジー世界で冒険するにあたって、盗賊キャラクターが罠解除の専門家で終わってるのは、さすがにもったいないと思わないか?仮想空間で仮想体験するのがTRPGの本懐であるならば、「罠を仕掛ける側」のプレイも体験できて然るべきであろう。 また、昨今では深刻な後継者不足ゆえか、Youtubeなどでも動物相手の狩猟用罠の解説動画が数多く公開される一方、特に運営が規制している様子もない。 そこで当レポートでは、「中世ヨーロッパの文明レベルの狩人や密偵が頻繁に使いそうな罠」に関して、具体的なデータ化とルール設定を試みようと思う。 なお、タイトルの「プロトランザー」だが… 既にサービス終了したSEGAのオンラインゲーム「ファンタシースターユニバース」(PSU)に登場する「罠を扱う事に特化した上級クラス」の事である。 このプロトランザーという聞きなれない単語、意味合い的に見れば「Pro-Tranzer(プロ・トランザー)」で区切るのが無難と思われるが、それが意味するのは「Pro-Transer」(プロの変換者)なのか、「Pro-Trancer」(眩惑の達人)なのか、はたまた「Pro-Tranzer」(アニメ「闘将ダイモス」に登場した惑星開発用大型トレーラー(戦闘用巨大ロボ))なのか不明である。 だがここでは、とりあえず罠師(Trapper)の達人クラス的な意味合いで使用させてもらう事にする。 |
■〈罠〉技能のルール設定 |
とりあえず、「ベーシック」の〈罠〉技能には、軽い「さわり」程度の説明文しか載ってないので、これでは「GMが一方的に設置した罠を、PCはただ発見・解除する」だけの技能で終わってしまう。なので「PCが罠を仕掛ける」側を想定し、きっちりとルールを決める。 〈罠〉(精神/並) 技能なし値:知力-5 主に対人向けの罠を設置したり、発見して解除する技能です。なお、狩猟用の動物向けの罠は〈生存〉技能で扱います(このレポートでは軽い説明だけに留めます)。 技能判定に成功すると、仕掛けた罠がうまく起動したり、逆に罠の標的となった者は罠を起動前に発見したり、解除を行えます。また、解除できた罠を利用して再設置も行えます。各罠は罠の名称と設置者の〈罠〉技能レベルに加え、「作動・発見・解除」の3つのステータスを持っています。 (専門化について) 「罠設置」「罠発見」「罠解除」のいずれか、または2ジャンルにまたがって専門化する事ができます(専門分野の判定+5。それ以外は-1、2ジャンルの場合は-2)。野生動物などは罠にかかった際に「罠発見」に専門化して技能を習得する事で、以降は罠にかかりにくくなります。 以下、それぞれのステータスについての詳細ルールです。 |
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■罠設置(作動) 指定の罠を設置します。設置の段階では〈罠〉技能判定は行わず、仕掛けた罠の技能レベルだけをどこかに記録しておいて下さい。 実際の判定は、罠が作動する際に行われます。作動判定は戦闘ルールで言うところの「命中判定」に相当します。判定にかかる修正はトラップの種類に応じてほぼ決まっており、判定に成功すれば罠が作動し、犠牲者に「命中」します。これに対し、回避できるかどうかは罠ごとに決まっているので、各罠の説明を参照して下さい。 この判定で失敗した場合、起動しなかった事になり、犠牲者は罠に気づかないまま通り過ぎた事になります。罠は引き続き、そこに残り続けます。 ファンブルの場合、作動はしますが正常に動作せず、中途半端な形で停止してしまいます。これによって犠牲者が被害に遭う事はなく、さらに罠の存在が露呈してしまいます。 (故障判定) 罠の主要パーツに購入した製品ではなく、現地で調達した天然素材や、急場しのぎで作った粗悪品を用いて罠を組み上げた場合、部品の精度が低い事が原因で機械的にうまく作動しない場合があります(素材欄に「※主」の記載があるアイテムが該当。ない場合は全て現地調達品でも問題なし)。これに関しては、選択ルールである「故障値」のルールを用います(銃器などの機械式武器に適応されるルール)。 作動判定を行う際、目標値とは関係なくダイス目が故障値以上だと、自動的にファンブル扱いとなります(罠は作動しますが中途半端な形で停止します…罠が露呈する一方、犠牲者は被害を受けません)。なお、本来の目標値でも判定が失敗している場合、そもそも作動しなかった事になります(ファンブルではなく通常の失敗扱いとなり、罠は健在のままです)。 なお、ルナル世界(TL3)における故障値は「12」です。 修正:設置者の〈罠〉技能が15レベル以上だと+1。20レベル以上だと+2。 例)〈罠〉技能12レベルの罠師が、ありあわせの現地素材だけでワイヤー起動式の罠(作動+2)を作りました。作動判定の目標値は14ですが故障値は12なので、ダイス目で12~14が出たらファンブルとなり、故障して作動に失敗した上、その存在も露呈してしまいます。なお、ダイス目15~16だと通常の失敗となり(罠は起動せず、存在し続けます)、17~18でファンブルとなります。 (屋外の罠) 比較的自由に動ける屋外に設置する罠の場合、犠牲者が罠のある座標を正確に通ってくれない可能性が高いため、罠が作動しない可能性も高くなります。そのため屋外で仕掛ける罠は、作動判定ペナルティがあります。 ▼屋外での作動修正 通行のガイドとなる目印が何もない完全な自然地形 -5 獣道など、ある程度の「歩きやすい」ポイントがある地形 -3 〈追跡〉技能で足跡などを発見できれば、ある程度は作動しやすい場所に罠を仕掛ける目安になります(修正を-5から-3に下げる事ができます)。 このように屋外の罠は、獲物がかかりにくいデメリットがありますが、一方で罠を偽装するのに使える障害物や地形が豊富な事から、偽装し辛い罠(主にワイヤーがトリガーになっているタイプ)を積極的に使いやすいメリットもあります。また、罠をたくさん仕掛ける事で判定回数を増やす事で、命中確率をあげる方法もあります―――後片付けが大変ですが。 |
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■罠発見(発見) 標的が罠にかかる前に罠を見つけるかどうかの判定で、上記の「罠設置」より先に発生します。設置者と罠の犠牲者が〈罠〉技能で即決勝負を行います。 即決勝負時に、以下の修正がかかります。 ▼犠牲者側の修正 「鋭敏視覚」「鋭敏感覚」1レベルごとに +1 暗闇の度合いに応じて -1~-9 ※動物に関しては、感覚判定の基準値14のルールがあるため、〈罠〉の技能なし値も「9」として判定できます。一度でも罠にかかって難を逃れた経験のある動物は、基準値に+4修正があります(基準値18)。「罠発見」に専門化した〈罠〉技能を学習し、罠感知の基準値が大幅に上がったと解釈して下さい。 ▼設置者側の修正 視界を遮る障害物が何もない荒野、屋内の広場 -5 視界を遮る障害物が少なく開けた平原、屋内の通路 -3 罠の種類に応じて +4~-4 ※「罠の種類に応じた具体的な修正値」に関しては、各罠の「発見」の修正値を適応して下さい(プラスだと発見されにくく、マイナスだと発見されやすい)。 犠牲者が即決勝負で勝利すれば、罠にかかる直前にその存在に気付き、罠の作動を回避する事ができます(不自然なトリガー構造の存在に気づきます)。なお、自分で仕掛けた罠は判定不要で発見する事ができます。 |
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■罠解除(解除) 既に発見済みの罠を解除します。解除者が〈罠〉技能判定を行います。 「事前に罠を発見した時(事前解除)」と「すでに罠にかかってしまった後(事後解除)」では解除方法が異なり、修正値は主に「事前解除」に適応されます。一方、事後の場合は〈罠〉技能が関係しない場合が多いです(「力業」で外すため)。それぞれの罠の説明を参照して下さい。 (事前解除) 解除者が〈罠〉判定を行います。判定の修正値は、罠ごとに異なります。各罠の「解除」の項目を参照して下さい。解除にかかる時間は「罠設置」と同じです。 判定に成功すると、罠を安全に解除した上、罠に使われている素材一式を無傷の状態で入手できます。 判定に失敗した場合、罠が作動してしまい、解除者は罠にかかってしまいます。ただしこの場合、不意は打たれないので解除者は「戦闘即応」を持っているものとして扱います(回避行動が可能な罠の場合、回避しやすくなります)。 ◆わざとかかる 罠を丁寧に外して解除するのではなく、単純に棒などで突っついてわざと作動させ、罠を無効化する場合は解除判定に+4の修正があり、解除時間は数秒で済みます。 ただしこの解除法の場合、罠に使われている素材は全く回収できませんし、解除の成否に関係なく罠を起動する音が発生するため、大がかりな罠の場合、仕掛けた側に作動音で気づかれる可能性があります。 また判定に失敗すると、解除者が罠にかかってしまう点は通常の解除と同じであり、相応の危険を伴います。 ◆仕掛け直す 解除した上で「仕掛け直す」事も可能で、この場合、解除判定に成功した上で、今度は上記の「罠設置」を行います。これを行う場合、判定を行う前にあらかじめ「再設置する」事を宣言して下さい。 判定に成功すると、以後は対象の罠を自分が設置したものとして扱われます。解除からの再設置にかかる時間は通常の設置時間の10分の1で、再設置者の〈罠〉技能レベルが「上書き」されます。 「上書き」された罠は、元の設置者から見ると「他人が仕掛けた罠」に変更されるため、過去に自分が仕掛けた罠をチェックしに行った際、罠発見の判定からやらねばなりません。 (事後解除) 主に罠にかかった後、罠から脱出するための判定です。罠ごとにかかった後の惨状が異なるため、それぞれの罠の説明を参照して下さい。物理的、肉体的に何かせねばならない事が多く、かなりの時間を費やす事になります。 自力で解除する方法があるならまだよい方で、自力では実質脱出不可能なタイプだと、第三者の救助がなければ時間経過で衰弱して死ぬ可能性もあります。 |
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■各罠の紹介 |
以下、代表的な罠を1つずつ紹介していく。 求めている罠がない場合、GMと相談して自作する事をお勧めする。また、以下の罠の亜種であれば、少しデータを変更するだけで再現できるはずだ。 [データ解説] 作動 罠の命中判定。修正値は設置者の〈罠〉技能に付く補正。 発見 罠の偽装判定。設置者と被害者の〈罠〉技能同士で即決勝負。修正値は設置者の〈罠〉技能に付く補正。 解除 罠の解除判定。修正値は解除者の〈罠〉技能に付く補正。 |
■括り罠(くくりわな) 作動±0/発見±0/解除±0 |
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【概要】 設置時間が短い割に効果が強く、長持ちもするという特性があり、狩人たちの間では最も愛用される罠です。対人用途よりも、動物の捕獲罠としてよく使われます。 この罠には「バネ」構造が利用されます。一番簡単な代用品は、近くの木の枝をしならせて縄でつなぎ、犠牲者がトリガーを起動するとストッパーが外れるようにしておき、枝が元の状態に戻ろうとする力を利用する手法です。 |
■トラバサミ 作動±0/発見±0/解除±0 |
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【概要】 TL3では機械仕掛けのトラバサミはまだ発明されていないため、ルナルでは括り罠の強化バージョンとして扱います(現代のような金属製の携帯型トラバサミは、17世紀(TL4)以降の発明品です)。 この罠は元々「ベア・トラップ」と呼ばれ、熊を狩るために作られた強力な罠です。足を刃物で負傷させる事で、遠くへ逃走するのを阻止しようとするロジックの罠です。 |
■落とし穴 作動+2/発見+2/解除+2 |
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【概要】 最もポピュラーな罠であり、比較的見つかりにくい上にかかりやすく、簡単に致命傷を与えられる危険な特性を持ちます。ただし、設置に膨大な時間がかかるのと、構造自体は単純なので事前発見されると解除されやすいのが弱点です。 防衛拠点など複数の作業人員が常駐している場所で、複数人動員して穴掘り作業を短縮し、計画的に設置されるのが一般的です。 |
■落下物 作動+2/発見-2/解除-2 |
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【概要】 人は足元を警戒するため、上からの落下物を見切るのは難しく、回避が難しい罠です。ただし、空中に重量物があったり、起動にワイヤーを用いる事といった目立つ構造であるため、隠蔽が難しく、事前に発見されやすいのが弱点です。 重量物の代わりに、瓶や壺に有毒な物質(毒や酸など)を入れ、それをぶっかけるタイプも存在します。ただし、長期間放置していると中身が蒸発するため、即席トラップとしてのみ利用されます。 |
■仕掛け弓(据銃) 作動+2/発見-2/解除±0 |
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【概要】 ゲームや映画などではよく登場するセントリー・ガン(自動砲台)のような罠です。複数連動させる事で火力も確保でき、仕掛ける時間も短いのがメリットですが、トリガーとなるワイヤーが見破られやすいのと、仕掛ける射撃武器自体の価格がかかるデメリットがあります。 また、射撃対策をしている相手(盾持ちや《矢よけ》の常備化)に対しては、効果が低いのも欠点と言えます。 |
■撒菱(まきびし) 作動-2/発見-4/解除+4 |
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【概要】 ただ撒くだけで設置可能なお手軽な罠です。ただし基本的に偽装しないので発見されやすく、本来の効果はあまり期待できず、「相手を通行させない」「移動速度を下げる」といった二次的な効能を狙う側面が強い罠です(感覚としては「地雷原」に近い)。 実戦で使うならば、視界が暗い夜間の逃走中に咄嗟に撒くとか、逃走ルートの曲がり角などにあらかじめ設置しておき、追手の不意を突いて追撃速度を下げるといった使い方が実用的です。 |
■偽装爆弾(ブービートラップ) 作動+2/発見-2/解除±0 |
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【概要】 ルナルにおける偽装爆弾(ブービートラップ)とは、デルバイ信者のみが扱える神殿装備「爆裂弾」を用いた罠であると定義します(一般に「ブービートラップ」という単語は、殺害目的の罠全般(落とし穴なども含む)を指します)。 TL3のルナルにおいて、爆裂弾をトラップとして遅発点火させる方法は、ホイールロック式の点火機構を信管の代用品として使うしかありません。そのため、ホイールロック拳銃($700)1つを使い潰す覚悟が必要です。 |
■その他の罠 |
以下、対人用途がメインではないもの、対人用途だと大掛かり過ぎて建物の建築の段階から考慮せねばならないものなど、冒険者の立場では使う機会が少なそうな罠を、簡単に解説だけしておきます。 プレイヤーが使う機会がある場合、ある程度の具体的な設置方法と必要な材料を考案した上で、GMが罠のデータを設定して下さい。 |
■鳴子 いわゆるアラーム(警報器)。犠牲者がワイヤーにかかると、 その振動がそのまま接続先の警報器(鳴子やベル)を揺らすといった単純な仕掛け。 冒険者が使う機会は少ないだろうが、敵の拠点など戦力が集結した場所では一般的な防犯トラップだろう。罠のデータは「仕掛け弓」の効果だけを変えてそのまま流用すればよいだろう。 |
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■かすみ網 視認性の低い細い糸で作った網を空間に張りめぐらせ、鳥類などの飛行生物を捕える罠。主に狩猟用。 対人罠としての活用を考えた場合、「括り罠」のネット・バージョンと考え、ネットなどで犠牲者を拘束するタイプとなるだろう。効果も「括り罠」と同じようなものなので、コスパ面であまり良くないかもしれない。 |
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■箱罠 箱の中に入って来た獲物を閉じ込める。天井が落ちてきて圧殺するタイプは「箱落とし」という。主に、小動物を狩猟する際に用いられる道具で、狩猟用罠として使うのが一般的。 なお対人用は、大型動物相手の巨大な檻や、建物を利用した屋内トラップの形になるだろう。1個の罠としてではなく、ダンジョン内の1イベントとして扱う方が良い。 |
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■囲い罠 柵を囲ったエリアに対象を閉じ込める箱罠の亜種。箱罠よりも範囲が広いため、群れごと動物を捕まえる時などに利用される。基本的に屋外で仕掛けられ、天井がないのが普通。 対人では、箱罠と同じ使われ方が想定できるが、非常に大型の施設が必要になるだろう。 |
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■トリモチ 粘着性の強い樹脂や化学物質を通路に置き、通過した獲物を絡めとる。主に鳥類や昆虫、ごく小さい動物(ネズミなど)を捕獲するのに用いる。 対人用だと、巨大な蜘蛛系のモンスターの巣に足を踏み入れた場合、蜘蛛の巣がこれに近い動きをするだろう。人間がこれを仕掛けるのは、かなりの手間と「絡みつく糸」の代用品を作り出すためのアイデアが要る。 |
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■実践例 |
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当てのない旅をしていた黒髪のシャストア神官の女性が、村人の集団と遭遇しました。 村人たちの話によると、武装したゾンビの群れが小さな村を次々と壊滅させ、都市部に迫っているとの事。 ゾンビの戦闘能力は、元となった死体の生前の能力に依存します。一般市民のゾンビは大した強さではありませんが、職業軍人の死体だと脅威になり得ます。特に、それらがまともな武装をしている場合、生きている兵士並に危険な存在となります。 今、この辺りを徘徊しているゾンビ軍団は、ロングソードとプレート鎧で武装しており、それを動かしていると思われるネクロマンサー(死霊術師)は、なかなか資金が潤沢なようです。《死人使い》の呪文のベースとなった死体も元騎士・兵士のものらしく、相応の技量を持つようで、数は20を超える大軍団とのこと。 ルナル世界における末端の人間の村は、1人の騎士とその騎士の一族郎党から成る歩兵集団数名で守られていますが、その程度の兵力では少数のゴブリンは追い散らせても、無数の兵卒からなる「軍隊」には対処できません。そうなるともう、町の領主は配下の騎士たちを集結させて「戦争」の準備をするしかありません。 黒髪のシャストア娘は善意か何かに突き動かされ、このアンデッド軍団の侵攻を止める事にしました。報酬など誰とも約束してませんが、彼女にとってアンデッドの群れというのは、さしたる脅威ではないようで、通りすがりの片手間で勝手にやるつもりのようです。 避難中の村人たちの足跡を逆に辿っていくと、村というには小さすぎる数件の家屋で構成された集落に辿り着きます。先ほど遭遇した村人一団の住居らしく、今は人の気配がありません。彼女はここで反抗作戦を練るつもりでしたが… |
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―――誰もいないと思っていた集落に、エルファの女性がいました。 杖を持っていたり、肌が白かったり、ローブを羽織っているのを見るに、どうやらエルファ種族出身のウィザードという、ルナル世界ではかなりレアな存在のようです。 そのエルファ・ウィザードによって、黒髪のシャストア娘は空き巣狙いか何かと疑われているようです…しかしそれを言うなら、このエルファの女も「空き家に張り込んでた怪しい存在」なのですが。 とりあえずシャストア娘は事を荒立てないよう、まずは自己紹介する事にしました。 |
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【設定】 リアド大陸を渡り歩く、黒髪のシャストア信徒の女性です。見た目はまだ20代前半、小柄で少女といってもいい風貌ですが、実際はその倍近く生きており、神の加護(あるいは呪い)によって「永世者」として存在する女性です。親しい者たちからは「エフィ」という愛称で呼ばれています。 彼女は、かつて〈聖なる母の結社〉と呼ばれる組織に所属していました。この〈結社〉の目的は「予言された未来の災厄に対抗するため、古の時代に双子の月との契約を果たした超英雄〈月に至りし〉サンダミオンを再び再現しよう」というもので、それは儀式魔法に裏打ちされた壮大な計画でした(ルナル・サーガ小説参照)。 ところが実際は、この計画こそが世界滅亡のトリガーだったという壮大な皮肉でした。計画によって生み出された子供たちの中から〈四姉妹〉と呼ばれる反逆児が生み出されてしまい、彼女らは黒の月を利用して世界の破壊を目論みました。彼女らは「新秩序」にかこつけた世界を滅ぼす〈悪魔〉以外の何者でもなかったのです。 いくつもの暗闘の後、〈四姉妹〉は滅ぼされます。ところが今度は、彼女らを倒す際に利用した「月に至る扉」が閉じれなくなりました。開きっぱなしの扉から人々の願いを聞き届ける双子の月は、ダイレクトに人々の求めに応じてしまい、なんと地上に向かって物理的に激突するという急展開を迎えます。これを阻止する方法はなく、世界は滅亡しました。 ―――と、ここで終わってしまうと、今存在するこの世界が何なのか分かりません。 実は現在の世界は、神がルナルの過去に干渉し、分岐した後に生き残った「歴史平行世界」の1つに過ぎないのです。ベースとなる「本来の」時間線は、「ムーン・ストライク」と呼ばれる大災害により滅亡しています。 この歴史分岐の基点となった存在こそが彼女です。月に至る扉を開く「鍵」の資格を持った人物は、本来は一人っ子として生まれてくるはずだったのですが、シャストア神が干渉し、生まれてくるはずのない「想定外の子」が付随し、双子として生まれてきました。 計画を推し進める〈結社〉としても想定外でしたが、計画の一環として生まれた子には違いないので、彼女も〈結社〉の幹部として扱われます。そして、その情報網を利用して、滅亡回避のために暗躍します。 やがて、「鍵」の資格を得て生まれてきた兄アンディ・クルツは、運命に従って月に至り、〈四姉妹〉を倒します。そして、兄がやり残した使命を引き継いだ妹エフェメラ・クルツは、長い長い旅を経て「月に至る扉」を閉じる事に成功します。こうして、新たに生成された歴史平行世界は滅亡を回避しました。 役目を終えた現在の彼女は、世界を当てもなく旅しています。一応「世界の監視」が目的なのですが、彼女自身は「好奇心」に従って自由気ままに行動しているだけです。 なお彼女は、過去の旅の仲間の1人であるエルファの男性と結ばれ、1人の子供を出産しています。その子は樹人となった伴侶(一応《変身》の呪文でエルファの姿に戻れる)の元でエルファ種族として育てられており、将来的には母を追って森から出てくるかもしれません。 【運用】 戦闘では、常時維持している《浮遊》で浮きながら、マンチキン上げした《念動》で相手の武器を取り上げたり、相手の体ごと浮かせたりするといったサイキッカー的な戦いをします。しかしその本領は「罠の構築」にあり、〈罠〉技能16レベルと《完全幻覚》21レベルを用いた魔法トラップによる防衛戦を得意としています。 彼女が得意とする罠は「落とし穴」であり、マジックアイテム「四大元素の杖」と《念動》、《完全幻覚》による偽装を用い、ごく短時間で複数の完全偽装の落とし穴を設置できます(詳細は以下の本編をご覧下さい)。 その他、《完全幻覚》と《幻覚変身》を組み合わせて、風景を身にまとって隠れるといった事を得意とします。状況こそ限定されるものの、実質《透明》の呪文で隠蔽しているのと同じような効果を発揮するでしょう(空の風景を身にまとって浮遊で飛行していれば、多少違和感があるでしょうが普通は「見えない」となるはずです)。 他にも《作成物》の呪文で簡単なアイテム(剣とかランタンとか)を生成したり、《動物作成》の呪文でチンパンジーなど軽量の動物を作成し、力仕事に従事させたりできます。 なお彼女は「月に至る扉」を抜けた際に、シャストア神の加護によって「運命L3」(15cp)を得ており、その内容は「『永遠の少女』として世界を観察し続ける」というものです。データ的には「不老」(15cp)と同じ扱いになっており、いわゆる「永世者」として存在し続けます。 |
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【設定】 彼女は「第18節 The Lost Universe」で登場したエルファ・ウィザードと同一人物です。詳細はそちらをご確認下さい(→こちら)。 パルマ市の英雄領主〈剣の巫女〉アリサ・ランディールに説得されて〈天空の龍の島〉での管理人ごっこを辞めた彼女は、地上に降りてきてリアド大陸各地を旅しています。どうやら、過去に〈悪魔〉討伐の冒険で仲間だった者たちとの再会が目的のようです。 今回、路銀稼ぎのためにアンデッド軍団の首領討伐の依頼を受け、ネクロマンサー暗殺を狙って暗躍しているようです。 【運用】 あれこれ維持呪文を張り巡らせた上で、《倍速》の効果を利用して「《凍傷》→火炎剣で二回攻撃、《凍傷》→火炎剣で攻撃」の連続5回攻撃を繰り出す戦闘魔術師です。呪文防御や呪文除去の技術も達人レベルであり、戦闘魔術師としてはほぼ最高クラスと言えます。 一方、ダンジョン探索による魔化アイテムの発掘が好きな割には、自身で魔化アイテムを作る技能にはそれほど入れ込んでおらず、物作りに関してはさほど興味がないようです。 |
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フリーレンが上空で敵を警戒する間に、エフェメラが集落を使って罠を張り巡らせます。フリーレンは脈絡もなく唐突に現れたエフェメラを警戒はしてますが、彼女が「カリスマ」の特徴を持っている事もあり、少なくとも敵ではないと感じています。 …まあ実際のところ、フリーレンが受注しているクエスト内容は「敵のネクロマンサーを討伐する」事なので、アンデッド軍団の方はどうでも良いのです。依頼書にも軍団の掃討任務は明記されてないので、率先してやる義務もありません。 ただ、術者が死んでもゾンビたちは居残り続け、最後の命令(周囲の人間を殺せ等)を実行し続ける事から、どのみち処分して回らねば、依頼人(領主)の自分に対する印象が悪くなる可能性があるので、面倒ですが掃討するつもりでした。 そして、そのかったるい作業をしてくれる慈善事業者がちょうど良いタイミングで現れたのですから、フリーレンとしては「まぁやらせておけばいいか」といったところです。 それでは、「プロトランザー」ことエフェメラの作業を見ていきましょう。 |
■兵站フェイズ |
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エフェメラが集落全体に対し、罠設置を開始します。 トラップ(罠)というのは「相手が来る前に準備し、敵に踏んでもらう」という防御的なアプローチの兵器であるため、相手が踏み込んで来そうな場所を予想して、そこに設置する必要があります。何もない平野部でトラップを設置したところで、相手がそれに都合良くかかってくれる確率が相当低いのは、素人でも分かると思います。 そして、そのような偶然性に頼っていては、いくつもトラップを設置してランダムで命中する確率を上げるしかなく、非常に非効率です。 そのため、相手の移動が特定通路に制限されるような場所を選び、そこに罠を仕掛けるのが罠設置の基本セオリーと言えます。現代のハンター(狩人)たちが、森林や山岳に好んでトラップの仕掛けるのも、動物たちの歩く「獣道」と呼ばれるルートがある程度固定されており、足跡を辿ってそのルートを見つけ、そこにトラップを仕掛ければ、獲物がかかってくれやすいからです。 |
今回の小さな集落において、「敵が通るルートが固定されている場所」は、ずばり「家の扉」です。古きダンジョンRPGゲーム「ウィザードリィ」などで、トラップの設置場所が扉や宝箱に固定されているのも、冒険者たちが必然的にそこを「通る」からです。 フリーレンが得た事前情報によると、アンデッド軍団たちは「堂々とドアから家に押し入り、住人たちを殺害した後、マスターである死霊術師が後からやってきて、そこを宿泊施設として利用する」というやり口だと判明しています。 それを聞いたエフェメラは、罠の設置場所を扉の前に指定しました。 |
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次に、エフェメラは《動物作成》の呪文を用い、体重50キロのチンパンジー2体を幻創します。エフェメラの《動物作成》は15レベルなので、熟練により体重50キロまでの動物ならノーコストで延々と維持できます。労働力として使うのに最適でしょう。 ペットを引き連れて森へと踏み入ったエフェメラは、長さ2m・太さ10cm前後のサイズの木の棒に加工できそうな低木を探します。 ペットたちが首尾よく発見してくれたので、今度は《物体作成》の呪文でハチェット(小型の手斧)を2つ作成し、それを持たせて木を切るように命じます。 《動物作成》で幻創された動物たちは、術者と精神的につながっており、心で命じるだけで忠実に命令を実行します。 |
チンパンジーが斧を使って木を切る作業を行う事ができるのか?…という問題ですが、リアルのチンパンジーは簡単な道具を使う事が知られており、その中には「石を叩きつけて固い木の実を割る」文化もある事が知られています。 斧のような「道具と道具を紐などで接合して、より高度なツールを作る」といった能力はさすがにないのですが、人間が「完成品の道具」を渡してお手本動作を見せれば、上手くマネして使いこなせる可能性はかなり高いと思われます。 エフェメラは斧で木を切る動作を見せ、それをマネするように促しました。 |
丸太の重量ですが、同体積の円柱として計算します。計算式は以下。 重量=π×(直径/2)²×長さ×密度 ※単位はcm(センチメートル)/g(グラム) 中世の西洋建築でよく使われた木材は、おそらくオーク材です。オーク材にも色々種類があり、それぞれ微妙に密度が異なるのですが、ここでは、一般的なオーク(ナラ)を切ったということにして、密度は0.67で計算します(水1㎤=1gを基準とした相対密度)。 重量計算式から算出された重量は、およそ10.5kgでした。ちなみに、最小サイズのチンパンジーの体力は14なので、2匹で運べば余裕でしょう。 |
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エフェメラは、これを3回繰り返しました。「村の横にある森に入る」→「目的の木を切る」→「村に運ぶ」の時間は、おおよそ30分かかるとします(管理人の適当な憶測)。 最初は、チンパンジーに木を切ったり物を運んだりする姿勢を教えたりするので倍の時間(60分)がかかるとしても、慣れれば2回目以降は30分でいけるとして、3本の木材を準備するのにかかった時間は合計120分(2時間)としました。 なお、エフェメラは指示するだけでほとんど動いてなかったので、《動物作成》と《物体作成》で生じた疲労は、2時間の間に回復したものとします(彼女は《体力回復》も15レベルで習得しているため、休息5分毎に1点の疲労が回復します)。 |
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よく働いたチンパンジーにはご退場願い、森から伐採してきた木材の端っこをダガーで削り、簡易の杭を作成します。 …ここまでやれば分かると思いますが、エフェメラが作ろうとしている罠は「落とし穴」で、この杭は落とし穴の底に仕掛けるためのものです。 この作業を魔法で瞬間的に行う方法もあるにはあるのですが、シャストア信者のエフェメラだと、非常に高価な魔化アイテムがないとそれは不可能なので、杭の作成の部分は自作しました。 作業時間ですが、〈木工〉技能がなくてもできる簡単な作業と思われるので、杭1本作成につき10分で、これを3本分やって30分とします。 |
問題はこの後です。穴を掘り、底に杭を仕掛け、蓋を偽装せねばなりません。特に穴を掘るのに数時間かかるわけですが… しかしエフェメラには、それを瞬時にやる裏技があります。 |
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エフェメラは、《土変化》と《発電L1》の呪文が魔化された魔法の杖を持っています。《土変化》は、1へクス(高さ2メートル)の土を毎秒2メートルの速度で移動させる事ができる呪文です。これを使えば、幅1×1メートル・深さ2メートルの穴をわずか1秒で空ける事ができ、余分な土は適当に脇によけておくことが可能です。 ちなみに、平均的な体力10の人間1人が鉄のスコップを使ってこのサイズの穴を掘ろうとすると、およそ2時間かかります(土が固いと倍)。 つまりエフェメラは、本来なら2時間以上かかる採掘作業を、わずか1分弱で終えてしまえる穴掘り無双娘なわけです。さらにこの杖は《発電L1》の魔化もかかっているため(マナ濃度「密」のルナルではコスト2点を自家発電可能)、《土変化》の維持コストのみならず起動コストまで、完全にゼロなっています。そのため、その気になればいくらでも周囲を穴だらけにする事が可能です。 しかし今回は、3件ある家の入口手前にそれぞれ深さ6メートルの穴を掘るだけにしました(作業時間は1つの穴で3分×3)。 |
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次に、先ほど作った長さ1メートル、太さ10センチの杭を1本ずつ、それぞれの穴の底に刺します。 エフェメラは《念動》を21レベルで習得しているため、消費コスト1点で12kgの杭を自由に浮遊移動させられます。それぞれの穴の底に、高さ2メートルの杭を立てました(作業時間は1つの杭設置で1分×3)。 深さ6メートルもある穴の底に尖った杭を刺す作業は、魔法なしだと非常に危険が予想されます。しかしエフェメラは、自身を《浮遊》で浮かせつつ(維持コスト0)、杭を《念動》で遠隔操作できるため、事故の危険はほぼありません。さらに《暗視》の呪文もノーコストで維持できるため、陽光が直接届かない穴の底でも、はっきりと見通しながら悠々と作業ができます。 こうして、杭の設置作業は速やかに作業が終了しました。 そしてさらに、先ほど横にのけた土のうち1立方メートル分(1×1×1m)だけをそれぞれの穴の底に戻します―――これは、杭の長さのうち半分を埋め戻して、しっかり地面に固定するためです。深さ6メートルの穴は深さ5メートルに戻る代わりに、高さ2メートルの杭がしっかり固定され、上部1メートルだけが伸びた危険な穴が完成しました。 これで基礎工事はほぼ終了。後は上部の偽装だけです。 穴掘り+杭設置の作業時間は、作業間に数分の余裕(余った土をどこかにやるので10分前後)を加算しても約20分。 なおエフェメラ自身は、杭の設置工程で合計3点疲労しています。 |
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「あとは《完全幻覚》で地面を偽装すれば1秒で終了!」―――とは、なりません。というのも、《完全幻覚》は術者が起きてないと維持できないため、エフェメラが睡眠休憩中、落とし穴の偽装が消え、丸裸になってしまいます。なので、とりあえず今は普通に偽装しておきます。 「落とし穴」の設定によると、蓋の偽装は30分とあります。これは材料集めの時間を含んでませんが、エフェメラは《浮遊》で浮きながら《念動》で5キロまでなら完全ノーコストで運搬し続けられるため、すぐ横にある森から蓋の材料を直で持ってこれると考え、蓋を作るのにかかる時間だけとしました。1つの落とし穴に付き偽装30分かかるので、3つで90分かかりました。 これでようやく、落とし穴3つの完成です。 ここまでかかった時間は、合計すると260分(4時間20分)となります。 ちなみ、魔法なしの肉体労働だけで深さ2メートルの落とし穴を3つ作ろうとすると、落とし穴設置だけで900分(15時間)もかかります。ですが、エフェメラは魔法と技能を併用する事で、材料集めまで含めても、その3分の1以下まで短縮しています。しかも穴の深さは6メートルであり、威力は通常の落とし穴の3倍近くに達しています。 これぞまさしく、「トラップの威力を何倍にもするトラップ専門の上級職プロトランザー」を名乗るのに相応しい仕事ぶりだと言えるのではないでしょうか。 |
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エフェメラは午前中6時間、フリーレンは午後6時間寝て、夜間は2人とも稼働状態を維持します。ゾンビの群れは、昼間行軍してるとさすがに目立ちすぎるので、普通は夜間に稼働するはずなので、夜間に戦力集中します。 エフェメラは起きている間、《浮遊》《暗視》《幻覚変身》(《完全幻覚》を使用)と、落とし穴3つの偽装のための《完全幻覚》3つ、合計6つの呪文を維持します。落とし穴は既に物理的な偽装がなされていますが、さらに《完全幻覚》での偽装を重ねます。理由は、この後の内容を参照のこと。 あと、《完全幻覚》による変身ですが、1へクスの「夜空の風景」の映像を作り出し、《幻覚変身》で自分の体にまとわりつかせ、《浮遊》で夜空に浮かんでカメレオンのように背景に紛れて偽装します(ギリースーツ(迷彩服)のような感覚)。動いたらさすがに不自然さが際立つでしょうが、一箇所に静止しておけば、ほぼ《透明》の呪文と同程度の偽装が可能なはずです(「ソード・ワールド1.0」の古代語魔法1レベルの「カメレオン」と同様の趣旨)。 一方、フリーレンの方は詳細を省略しますが(詳細はキャラクターシートに記載してあるので参照のこと)、《浮遊》で空に浮かび上がりつつ、自分と自分の周囲1へクスの領域に《魔法の霧》を発生させて隠れています。 《魔法の霧》に覆われた領域は、《魔法の目》などを用いないと中を見通せないので、これも《透明》に近い偽装を可能とします―――なんか不自然な白い霧が空に浮かんでるのが見えてしまいますが。 こうして、2人の魔術師が集落で待ち伏せを始めて2日後の夜。 標的であるアンデッド軍団が集落に現れました。 |
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■戦術フェイズ |
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黒の月のエリート種族トロールの魔戦将軍〈断頭台のアウラ〉(350cp)率いるアンデッド軍団(騎士のゾンビ30体)が、小さな集落を制圧します。 通りすがりのシャストア神官エフェメラ・クルツ(200cp)が、トラップでこれを迎撃します。 エフェメラは《浮遊》《暗視》《完全幻覚》×4を維持しており、他の呪文を使う際に-6のペナルティが生じます。 〈断頭台のアウラ〉はこの戦いに直接参加せず、《死人使い》で動員した騎士のゾンビ30体を差し向けてきます。 ■ダーク・サーヴァント(兵士・騎士のゾンビ) (モンスター表記) 体力:14 敏捷力:13 知力:8 生命力:16 移動力:5 能動防御:よけ5/受け7/止め- 受動防御/防護点:4/5 体重:113kg 大きさ:1へクス 攻撃: 長剣/技能レベル14=切り2D+2(長さ1-2)/刺し1D+3(長さ2) パンチ/技能レベル12=叩き1D+1(長さC.1) |
※「兵士・騎士のゾンビ」は50cpの元兵士・騎士の死体から作られています(能力値:体力13 敏捷力13 知力10 生命力11)。死体1つの資産価値は$200になります。ちなみに、平民(農民など)の死体は$50です(能力値全て10)。 兵士・騎士のゾンビは、戦闘系技能4つを14レベルまたは2つを15レベルで持ちます。〈格闘〉技能を敏捷力に等しいレベルで持ちます。ちなみに平民のゾンビの場合は、戦闘系技能2つを10レベルで持ちます。いずれの場合も、精神系技能は一切持ちません。 ゾンビが持つ装備は全て術者の持ち物扱いなので(ゴーレム等と同じ財産扱いなので)、術者が「財産」として支払う必要があります(ゾンビ本体よりも装備の方が高価というのは死霊術業界のあるある話)。 |
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アンデッド軍団が、10人ずつ列になって3件ある各小屋の扉に向かっていきます。 上空でエフェメラが、《幻覚変身》で1へクスの《完全幻覚》の「夜景の映像」をかぶり、空中に静止して偽装して観察しています(動かないかぎりは「透明」として扱います)。 やがて先頭のゾンビが、エフェメラの仕掛けた落とし穴に直進してきます。 ■■■ フェイズ01-「罠発見」 本来であれば、ここで罠発見のために互いに〈罠〉技能での即決勝負が入るのですが、ゾンビ側は感知する気がなく、判定不要でかかるとしました。 ■■■ フェイズ02-「罠作動」 続いて、罠がきちんと作動したかの判定。エフェメラの〈罠〉技能は16レベルで、「落とし穴」は罠作動に+2修正があるトラップです。目標値18で判定―――問題なく成功。 落とし穴は正常に起動し、ゾンビは回避のために〈軽業〉-4(技能なし値。荷重レベルによる修正(-2)も含めると目標値1!)判定に…判定するまでもなく自動失敗です。穴に落ちて、5メートル下に落下。杭に刺さって「刺し/5D+5」(平均24ダメージ)で38ダメージを受け、HPがゼロ以下になったので活動停止しました。 ■■■ フェイズ03-「罠解除」 既にゾンビはお亡くなり(?)になっているので、今回このフェイズは発生しません。 …と、ここまでは想定通りなのですが、なんと後続のゾンビも、何のためらいもなく同じように扉の前に足を踏み入れ―――穴に落ちてしまいました。物理的な「蓋」は最初に落ちたゾンビが持っていったため既になく、「普通に穴に飛び込んだだけ」なので作動判定はありません。落下回避のための咄嗟の〈軽業〉判定も、上記の通り目標値3未満なので自動失敗です。そして、例によって杭のダメージで即活動停止。 さらに、その後続のゾンビも同じように……(以下省略) ―――はて。 なぜこんな「レミングの集団自殺」みたいな事に? |
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原因は、ゾンビがオートマトンである事でした。 《死人使い》の呪文で作成されるゾンビ・スケルトンの類は、「魂」を持っておらず意識は存在しません。肉体技能は死体が生前に習得していたものがそのまま継承されますが、精神技能は全て喪失しており、ただ術者の命令通りに行動するだけの自動人形です。視聴覚は存在しますが、これは命令に従って行動するための最低限のナビゲーションであり、性能は生前の人間のものと全く同じです(魔法で疑似的に再生しただけです)。 そのような存在であるため、そもそも「罠」の概念も知らないので罠感知しようもなく、運良く目に入ってもそれが「罠」だと認識できないため無視します。さらに、自分以外のゾンビの失敗行動なども全く意に介しません(学習機能がない)。 なので、自分の前を歩くゾンビが穴に落ちても全く気付かず、「とにかく最短ルートで扉に向かう」命令を各ゾンビが愚直に実行し続けたのです。 無論、自分の前を歩いている者が落とし穴に落ちて、そこにかぶせてあった蓋ごと落下して穴が空けば、いくらゾンビでも穴を発見し、回避して目的地へ向かいます―――でもそれは、ゾンビ的な視点で言えば「穴の下に落ちると最短ルートではなくなる」ためです(学習の結果ではありません)。なので通常の「落とし穴」であれば、最初の1人がかかった時点で後続のゾンビは進路変更し、別のルートを使うか、なければ家の周辺でうろうろするだけでしょう。 しかし、エフェメラの仕掛けた落とし穴は、《完全幻覚》の呪文によって偽装されており、この呪文で発生する幻覚は、誰かに接触されても消えず、壊されても映像が即再生するというものです。つまり、誰かが落とし穴に落ちようと「蓋の映像」はそのままであり、見た目は「普通に歩ける何の変哲もない地面」であり続けます。 仮に、例えばこれが人間の兵士の話であれば、たとえ映像が不変でも、先行者が落ちたという事実を認識しているため、少なくとも「何かおかしい」と想像して足を止めるでしょう。 しかし、自我のないオートマトンのゾンビにそのような想像力も学習能力もなく、先行者が落ちるのを目撃しても、見た目さえまともなら「そこは歩ける」と判断し、同じルートを行こうとします―――結果、先行者と同じ失敗を繰り返します…何度でも。 以上の事から、ゾンビたちはまるで集団自決するかのごとく、次々と穴に向かって落ちていくという謎行動につながったわけです。この性質は、ゾンビのような判断能力に乏しい低品質のオートマトンの致命的な欠陥と言えます。シャストア神官エフェメラは、この弱点を知っていたからこそ、無償で雑兵ゾンビの処理を買って出たのです。 『想像力は武器だ。 それがないヤツから死んでいく―――』 …そんな事を言っていた某ゴブリン殺しもいましたが、まさにこれがその典型例と言えるでしょう。 エフェメラ・クルツの勝利です。 集落は全くの無傷でした。 しかし騎士のゾンビ30体は、綺麗さっぱり穴の中へと消えていきました。 |
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…当然ですが、今回のような連鎖的な事故が発生し始めたら、術者が即座に停止命令を出せば、そこで被害は止まります。術者がきちんと現場で指揮を執っていれば、このようなことは起きなかったはずでした。 ところが、術者である〈断頭台のアウラ〉は、村とすら呼べないごく小さな集落相手に完全に気を抜いており、「ゾンビに任せとけばすぐ終わるでしょ」と考え、自身は後方で休息を取っていました…これでは、現場で致命的な事故が起こっていても気付きようがありません。 「油断が過ぎる」と思うかもしれませんが、アウラは既にいくつかの村を制圧した実績を作っており、ある程度の規模の村や、町を舞台とした市街戦であれば、ちゃんと自分も前線に出て指揮を執っていました。 しかし、幾度も連戦を繰り返した結果、こんなわずか3軒しかない集落相手に本気で対応するのはさすがに疲れており、「この規模ならゾンビだけにやらせといてもすぐ終わる」と踏んだのです。そしてそれは、これまでのアウラ個人の戦場経験からすれば、決して間違った見解というわけでもありませんでした。 無論、エフェメラもフリーレンも、「この規模の集落ならアウラは油断する」事を想定した上で、ここを迎撃場所として選んだのです。その「読み」は当たり、元々「自身過剰」の特徴を持つアウラは、その過ちを犯してしまいました。 こうしてフリーレンは、雑兵による横槍が入る事のない「アウラとの1対1の環境」に持ち込む事に成功しました。以下、戦いの記録です。レポートと関係のない内容なので、格納してあります。戦いの趨勢に興味あればご覧下さい。 |
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フリーレンは集落に帰還する前に、「治癒」エリクサーで負傷8点を回復し、《清掃》で血のりを除去して服ごと身体全体をピカピカに磨き上げ、さらにアウラに切断された服には《修理》をかけて戻ってきました。 「超英雄の貫録」みたいなもの(=余裕)を演出したら、こうなるんでしょうか。 なお、エフェメラが寝ている間に、フリーレンが《念動》で穴の中の騎士の遺体を全て引き上げ、《火炎》の呪文で火葬しました。 100キロ以上はありそうな騎士のゾンビを、《念動》で移動するのは凄まじいコストがかかります(重量的にコスト4~5)。ただフリーレンは、エフェメラと同じく《念動》を21レベルで習得している上、大量のパワーストーンを所持しています(標準で100個!)。さらに《体力回復》を20レベルで習得しているため、休息2分ごとに1点の疲労点が回復します。休息込みで作業すれば、エフェメラがやるよりかなり早い速度で、この一連の作業を終えられます。 …フリーレンとしては、手を差し伸べてくれたエフェメラに対し、せめてこれくらいのお返しをしたいと思ったようです。ついでに、彼女の道具袋に数個の作業用パワーストーン(2点 $300)を忍ばせておきました。さすがに無報酬はあんまりなレベルの見事な仕事ぶりだったので、フリーレンなりの気配りのようです。 こうして、アンデッド軍団侵攻事件は、首魁の死霊術師を倒し、英霊たちの亡骸を眠りにつかせて無事に解決しました。 |
END |
[編集手記] TRPGというのは、「自分じゃない誰か」を演じ、そいつでしか味わえない体験を仮想的に経験し、世界を広げていくゲームだと思ってます。 ところが、システム的にそれが阻害されているTRPGの例をよく見ます。具体的に言うと、「演じたい職の詳細情報が書いてない」「各PCが想像力を働かせて何でもやって下さい!的な曖昧表記になっていて、何かしようとするたびにGMに提案し、詳細ルールを決めるために交渉せねばならない」などです。そんなルール、正直ルールとかいうレベルではありませんし、プレイアビリティもクソもないです。何か行動するたびに、いちいち会議を開くんでしょうか?(笑) TRPGジャンル全体において、特に「罠」がその傾向が強く、罠に関する技能説明はあるんですが、だいたい「罠を解除する側」限定になっていて、仕掛ける時のルールがすっぽり抜け落ちています。「プレイヤーが素敵なアイデアを出して、どんどん提案してみてください!」的な事が書かれてるんですが、そのジャンルの知識がない人にそんなことを強制されても、さっぱり身動きが取れません。まぁ、レポートの最初に書いたように「具体的なリアルの罠の情報を書くと、犯罪に転用される可能性があるから」なんだと思いますが、実質「ルールがない」のと同じで、誰も使おうとはしないでしょうね。 確かに、細かい作業の専門的な知識(実際に使う部品とか組み立て方とか)はいりませんが、せめて「具体的に何ができるのか」「道具は何が必要か」「どれくらい時間がかかるのか」くらいは書かないと意味がないかと。 他の例を挙げると、交渉系技能が全く設定されてないTRPGとかいう例もあります。有名どころで、ガープスを出す前に自作TRPGとしてグループSNEが出していた「ソード・ワールドRPG」とかですかね。 このソードワールド、なぜか交渉系技能が設定されてなくて(マーチャント技能の価格交渉だけなぜかある(笑))、「各プレイヤーが実際に演じて下さい!」とか書かれてるんですが、「それ既にTRPGじゃねーだろ」とか思ってました。 だってですよ?ブサイクで口下手な人が、ゲームの中では「葬送のフリーレン」に登場するヒンメルみたいなイケメン・口達者なキャラクターを演じたくても、実際にプレイヤー自身が演じて説得しないといけないとなると、仮想空間で違う人物を演じられないじゃないですか?リアルのプレイヤーに交渉能力を要求してる時点で、もう既にTRPGじゃないんですよ。 挙句の果てに「今のセリフ、上手かったから交渉技能にプラス修正あげるよ」とかGMが言い出す始末。それって、キャラクターのデータを設定する意味ありますかね…? 例えば他の例を挙げるなら、「リアルで剣道をやっていて、剣の振り方とか詳細に語って、実際にセッション中にGMの前で竹刀でそれを見事に披露したので、キミのキャラクターが剣で攻撃する際は+2の修正を上げよう!」…とか言ってるのと同じわけで。 …明らかにおかしいと思わんか?(笑) 個人的には、交渉の演技とかも不要で、「●●という要求を押し通すために交渉します」「OK。外交技能で判定しよう」だけで、後はサイコロを振って結果だけ決めればいいと思います。分からないところはぼかして、PCの演技は「雰囲気だけ伝わればOK」で良いんですよ。 重要NPCを説得するため、必死こいて具体的に心に響く説得をプレイヤーに要求するシナリオとか、昔は結構ありました。が、私に言わせれば、そんなシナリオは欠陥シナリオもいいところです…「説得して考えを改めさせるので、交渉技能で判定しますね(ころころ)」「はい、説得されました」で終わりでしょ?(笑) …そんなTRPGへの鬱屈した思いの1つを自力で解決しようと、今回、問題の「罠」のルールを自作して見ました。素人がネット情報を集めて作っただけのシロモノなので、おそらく間違いとか抜け落ちとかいっぱいあると思います。なので、参考資料程度で見て頂ければさいわいです。 では、各項目の詳細など。 (プロトランザーの話) 今はもうサービス終了しているSEGAのネトゲ―「ファンタシースターユニバース」(PSU)に登場するクラス(職)で、罠が強化されるという珍しい部分に焦点を充てています。他のRPG系でこういうクラスはあまり聞きません。そもそも罠を本格的に戦術に組み込んでメインとして扱えるRPG系のゲームがほとんどない。 逆にタワーディフェンス系のゲームだと、プレイヤーができる事はほとんど罠設置だけになっていて、しかもなぜか同じ罠が何度も起動できたりするんですよね。管理人個人としては「蒼魔灯」というゲームをプレイした経験があります。ヘソ出しトラップ系魔法少女が、魔法の罠だけで敵を撃破していくという不思議な感覚のゲームでした。 PSUのプロトランザーは、就くための前提条件として「ハンター」(戦士)「レンジャー」(野伏)「フォース」(魔術師)の3つのクラスのマスターを要求しますが、なぜか魔法は使えず、トラップと射撃武器(弓、グレネード系支援火器)、白兵武器(両手槍、両手斧、両手剣、格闘)で戦うクラスになってます―――使用可能な武器種から察するに、イメージとしてはおそらくファンタジー世界における森のレンジャーだと思います。魔法要素はおそらく「罠の超強化」部分に含まれているのかと。 クラスの強さは、実装された当時は正直ゴミでしたが(トラップ自体がゴミだった)、最終的にはトラップが非常に強いクラスになりました。射撃も白兵も他の上級職には一歩劣るものの、罠を使った足止めとスリップダメージの付与が魔法並に強力で、しかも同じパーティー内にプロトランザーが複数いても、ちゃんと戦力として機能していました。 で、このプロトランザーをルナルで再現したら、多分「罠技能と呪文を組み合わせて超強力な罠を作る職になるだろう」と思い、今回実践例を上げてみました。実際に強化されているのは、「罠を設置するのにかかる時間の超短縮」だと思います。設置時間の大幅短縮により、普通に罠を設置するよりも手を加えるための時間が増え、結果的に威力の向上に繋がっているのだと思われます。 (ネット情報として残っている罠) 現代社会において、わざわざ狩りで肉を得ようなどという人は、ごく少数の害獣駆除専門の狩人くらいでしょう。天然の動物は寄生虫が多く、生で食べるのは危険すぎますし、天然の動物は痩せこけていて、食べられる部分は意外と少ないものです。ですので、蛋白源としての肉が欲しい場合、普通は家畜を飼育して手に入れます。 そのため、実用的な罠の情報自体がかなり乏しく、専門の資料集も「ベトナム戦争時のトラップの例」とか、写真集みたいな情報しか載ってなくて、中世の狩人が実際に使った罠の構造データとか、ほとんど見つかりません。 なので、現代の罠師の動画などを参考にして、それぞれの罠のデータを推測で作るしかありませんでした。罠とは直接関係がない「穴掘り大会」とか「元自衛官が塹壕を掘ってみた」系の動画とか、罠を仕掛ける際に行うであろう作業の部分部分を類推し、参考資料を見て全体像を組み上げるしかない。たまーに、「仕込み弓の作り方から仕掛け方まで」とかを、資料として残してる動画もあったりはしますが。 現代において、リアルタイムで罠を頻繁に使う職業というと、カタギだと狩人以外はちょっと思いつきません。一方で、裏稼業になると犯罪組織の人とか特殊任務に従事する軍人とか、非合法や半合法活動の人たちが思いつきます。なので、そういう情報はやはり降りてこないのは仕方のない側面もあるようです。 ガープスのルールブックの文章中にも、盗賊系技能の多くは「犯罪組織または諜報機関でないと学ぶことはできません」とあるので、まぁそういうことなんでしょうね。 ■括り罠 現代の日本で数少ない使用許可が下りている罠の中で、最もメジャーなのが「くくり罠」です。動物の足をワイヤーで拘束するもので、かなり詳細な情報を公開している動画が結構あります。おそらく技術の継承者が減っていて、後継者を積極的に探しているんでしょう。 ■落とし穴 これは、事故で人間が落ちたらマジで即死する可能性があるので、現代日本においては完全に違法行為です。昔、砂浜で落とし穴を掘って誕生日の主人と一緒に落ちた妻が、2人そろって砂に埋もれて窒息死したとかいう、冗談にもなってない悲惨な事件の記事があります。それくらい危険な罠です。 逆を言えば、ファンタジー世界の盗賊が作れるトラップの中では、最も強力かつ具体的にどう作ればいいのか素人でも比較的分かりやすいものです。今回のレポートでも、これを大々的に利用して、低品質のオートマトンを一斉駆除する方法を書きました。 リアルでは珍しい「使用後に自動回復する罠」ですが、ファンタジー世界であれば、幻覚魔法と組み合わせる事で作成可能になる例でもあります。 ■トラバサミ これはリアルで使用すると、足の骨を砕き、永久に歩けなくする危険性があるため、戦場以外では違法行為になっています。ネット上でも、外観の画像はいっぱいあるんですが、具体的な使用例とかほとんど出てきません。 一方、トルネコのダンジョンなどゲームに登場するこれは、足止めだけでダメージが入らない仕様になってることが多いようです。 なお、検索すると出てくる金属製の機械式トラバサミが登場するのは、だいたい17世紀頃のようです。ルナル世界の文明(TL3)ではちょっと手が届いてないので、ロジックの原型となった仕掛けで代用しています。現代のブービートラップ系罠にも、これと似たようなダメージ+拘束系の罠がいくつかあります。 ■まきびし これ、対人で使ってたのは主に日本だったらしく、日本では長らく「わらじ」や裸足で戦場を走り回る例が多かったため、対人トラップとして非常に有効でした…踏んだら大怪我で、大抵は歩けなくなります。 一方、西洋では対人ではなく、主に鎧とか着用していない大型の馬とか象相手に足止めとして使うのがメインだったようです。騎兵やチャリオット(古代の戦車)、戦象の全力走行中、その進路にこれを撒く事で簡単に横転させられたので、当時の大型兵器対策としては有用でした。モンゴルの弓騎兵など、追いすがってくる西洋の槍騎士相手にこれを敷設し、追撃を阻止したりしていました。 そして現代においても、「地雷」という形で罠のロジック自体は継承されています。また、車両をパンクさせたり戦車が通れないようにしたりと、機械式でない古いタイプのまきびしも、まだ現役で活躍しています。 ■ブービートラップ メディアの影響か、手りゅう弾を使った殺人目的のトラップをこう呼ぶ雰囲気がありますが、実際は落し穴、仕込み槍など、殺害目的のトラップ全般は全てこう呼びます。ただまぁ、日本では過去に「偽装爆弾」という当て字がなされていたように、ルナルでも主にデルバイの爆弾を使った罠にこれを充てる事にしました。 問題は、TL3では遅延起爆させるための信管がなくて、当時は基本導火線しかありません。そんな中、点火装置としてホイールロック拳銃の点火装置がトラップと連動してその場で起爆を開始させられる「事実上の信管」として使えるので、ホイールロック拳銃一個を喪失していいなら使ってもいいよ?的な設定になってます。 なお、マスケット銃の点火装置もいろいろ歴史がありまして、最初期はマッチロック式といい、主に日本の火縄銃で見られるように「火種としての火がついてる状態の縄があり、それを点火部に押し付ける事で火薬を爆発させる」という手法でした。言うまでもありませんが、戦闘ではまず火縄に火を点けておくという手間が必要になり、現代の銃みたいに即撃つ事は不可能でした。 実はデルバイのマスケット銃もこの点火方式のはずなので、撃つためにはまず火縄に火を点けるところから始めないといけないはずなんですが、ルールではそのへん完全に省略されてます。 まぁルナルだと「マスケット銃本体に《発火》を魔化する」事で、魔法の素質がない信徒でも火を点けられるという設定にできます(というか、おそらくそういう設定なんでしょう)。《発火》の魔化はわずか$150なので、実はそれほど高価でもないです。ただその場合、撃つたびに《発火》に「集中」し、呪文コスト1点を消費するはずなんですが、そういうのは全くないので、やはり火縄を使ったマッチロック式点火機構なんですかね? で、次世代点火装置として登場した(当時の)最新式点火方法がホイールロック銃でして、これは火縄が不要で、火口箱と同じように金属同士を叩き合わせて直接その場で点火して撃てる構造でした。 画期的ではあるんですが、高価な上に構造が複雑で故障しやすかったため、後にフリントロック式にとってかわられました…が、フリントロックは点火成功率がイマイチだったため、後にパーカッションロック式(雷管を利用したもの)が登場するまで、金持ちは敢えてホイールロック式を使い続けたそうです。 もう一つ。原作デルバイの「爆裂弾」なんですが、当サイトの独自ルールでは、個人携帯兵器として設定していません。というのも、これの原型はおそらくリアルで存在したごく初期の火薬兵器「てつはう」という爆弾だと思われますが、これ、発掘された当時の原品を調べると、重さ4キロもある重量物でして、手榴弾として手で投げるには明らかに重すぎます。なので、「仕掛けて導火線で点火して爆破する」ための装備だと当サイトでは考えています(実際のところは不明です。簡易カタパルトで飛ばしたという説もあるようですが…)。 で、今回は特別にホイールロック式点火装置と組み合わせて、現代のものに近い「偽装爆弾」的なブービートラップを設定してみました。理論的にはおそらくこれで可能だと思います…実際には、1回の爆発で$700も消費するのは高すぎるので、あんまり実用性があるとは思えませんが。 (エフェメラ・クルツ) 当サイトでは、ルナル・サーガ本編に登場するキャラクターは出さない方向に振り切っていましたが、MMDモデルで「いかにもエフィ」ってモデルを作れてしまったので、「もうこれはエフィ本人を出すしかねえ!」というわけで、登場を願いました。 で、リプレイや小説のエフィなんですが、キャラクターとしては非常に中途半端でして、「出来損ないの魔法寄りの魔法剣士」で、175CPの割にはかなり弱いです。ですが、当サイト流にマンチキン改造するにしても、キャラ設定的にガチガチの戦闘仕様にするのはイメージ崩壊しすぎてて変だと思ったので、「幻覚魔法を用いた罠師」としてなら、エフィ本来のイメージを崩さずに「使える」キャラクターに改造できると思い、そういう方面で調整しました。ちょうど「プロトランザーをルナルで再現する」のにぴったりのイメージの人でもあったので、今回の大抜擢に繋がりました。 なお、当サイトの時間線(笑)のエフィは、おおよそ原作に沿った設定ではありますが、かつての仲間であったエルファのラナークと結ばれ、子供を1人出産しています(胸が大きかったり脚がフリーレンより太っといのはそのため…と言う事にしておきます)。 その子供なんですが、原作者がX(旧ツイッター)で挙げていたプチ小説「シャハル・サーガ」(リアド大陸の西マーディール大陸を舞台とした続編)の最後に登場していた「カアンルーバ氏族の小柄なエルファ娘」がラナークとエフィの間にできた実子だと、管理人は脳内で勝手に妄想しています…実際のところ、この企画は途中で更新停止しているので真相は不明ですが。 (葬送のフリーレン) 当サイトで過去にあげた最大コンステンツ「The Lost Universe」でちらっとだけ登場させたのですが、さすがにあれは不完全燃焼だったので、宿敵のアウラと一緒に登場させました。 ちょうど今回、魔法の罠でオートマトンを殲滅するネタだったので、「じゃあ死霊術師は、魔族の代わりにトロール化したアウラでいいや」となり、「アウラが出てくるんなら、フリーレンに討伐させればいいや」と、なし崩し的にコンビネーション技(?)が決まって再登場になりました。 フリーレンはほぼ戦闘特化しているキャラクターだけあって、意味不明な数の呪文を常時維持しており、管理が大変なキャラでもありますが、基本的にやる事は「ガープスにおけるマンチキンの基本戦術」に沿っています。 あと、この時間線(笑)のフリーレンは、エルフではなくエルファ種族なので、原作とは似つかぬ身長180センチの高身長のエルファのお姉さんなんですが、ようつべで「葬送のフリーレン ●●の魔法」シリーズという短編動画が公式から無料公開されていて、その中で「身長が伸びる魔法」を扱ってる作品があり、そこでは本編のフリーレンも、当レポートと同じく「高身長エルフ姉」になってたりします…ただ、それよりも足だけが伸びた高床式アイゼン(?)の方がインパクトありすぎてなんとも。 (断頭台のアウラ) 原作では、戦闘というより自滅イベントで滅びてしまったアウラですが、個人的にはフリーレンとのガチ戦闘を実現してみたかったので、それが可能な設定に置き換わってます。原作であった超ハイリスクの魅了の魔法「アゼリューゼ」ですが、ガープスだと《奴隷》と《大命》を混ぜたような独自呪文を作るしかなく、設定が面倒過ぎるんでカット。 あと、350cp程度だと、言うほど自由にトロール系のキャラクターを作れないんですよ。なんせトロール種族セットが単体で300cpとかいう超ハイコストの特徴なので、不利な特徴が-100cpまで獲得可能だとしても、言うほど自由にできるCPは無かったりします―――能力値を上げてたら、すぐにCPが底を尽きます。 データ面では、死霊系呪文によるアンデッド軍団の再現を重視しています。というものの、技能に費やせるCPがわずか55では、凝った事は何もできないので、とりあえず「財産」を最高レベルまで上げて死体と装備を調達し(死体本体よりも装備の調達に金がかかる)、《死人使い》とその周辺魔法をざっと習得しているにとどまります。 あとはもう、魔元帥ゾーンネル崇拝者は肉体操作系呪文もプラスがあるんで、《すばやさ》で剣技を20まで上げて、《朦朧》でフェイント動作を代用しつつ即・斬!という、マンチキン戦術の初歩みたいな戦い方になってます。一応、《浮遊》で浮かせる事で、空中射撃砲台化してくる魔術師対策もしてありますが。 最後に、〈断頭台のアウラ〉のキャラクター・シートを公開しておきます。 |
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【設定】 まだ若いトロールの女将軍で、第2師団の魔元帥ゾーンネルに魅了された暗黒英雄です。アンデッド専門と言う事もあり、周囲に生きている部下を1人も置いておらず、大勢のゾンビに囲まれながら一人で暮らしています。 フリーレンとは過去に遭遇しており、その時のアウラはトロールとして覚醒したばかりで、フリーレンは「相手は子供」と言う事で、らしくもなく見逃してしまいました。無論、その甘さのツケはしっかり払わされる事になり、宿敵として長年、狙われていました。 アウラの人生の目的は「死体のコレクション」であり、直接的な世界の滅亡にはあまり興味を示しませんが、個人的な「趣味」を充実させる事=世界の滅亡に繋がると言う事で、それなりに黒の月への信仰心は篤いようです。また、魔法に対するこだわりが強く、アンデッド軍団による軍略や破壊行為よりも、魔術そのものに対する執着心の方が強く、戦鬼としてよりも魔術師としての側面の方が強い性格のようです。 【運用】 《すばやさ》を最大パワーレベルで発動した後、《朦朧》で標的を朦朧状態にした直後に、首を狙って剣で攻撃するのが基本運用となっています。種族的に体重が重いトロールですが、《浮遊》をノーコストで維持できるようにレベルを上げているので、戦闘が予想される場合は、あらかじめこの呪文を維持しておくと良いでしょう。 戦闘以外のメイン能力として、死霊系呪文を用いたサーバントの作成能力があります。彼女は優秀な兵士・騎士の死体のみを集めた親衛隊のようなものを作っており、これによって村々を破壊→そこに優秀な死体があれば、新たな「部下」とするという行為を繰り返す事で、コレクターとしての達成感を得ています。 他、知識系呪文で相手のオーラや魔法関連の情報を得たり、《拡声》でアンデッド軍団を指揮したり、《超音波視覚》で透明な敵を見たりすることが可能です。 |